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8.神から与えられたのは、罰と……
今、彼の前にいるのがとても辛い
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メルキオールは、ごほんと咳払いをすると
「俺さ……今は6人だけのあの場所を、もっとでっかくしたいんだ」
「でっかく?」
「そう。それこそ、俺らみたいな居場所もなかった奴らにとっての故郷になるような国を、作ってみたいと思ったんだ」
「なるほど……」
アルフィーは、6人がどうにかあの場所で生きていけさえすれば、次やるべきことが見つかるだろうくらいに考えていた。
メルキオールの発想に、アルフィーは素直に感心した。
「なあ、アルフィー。俺さ、この目標を叶えるには、お前の力が絶対にいるって思ってるんだ」
「……どうして」
「色々知ってるから」
…………それだけかよ、と何故かアルフィーは拗ねたくなった。
でも、そんなアルフィーの感情は、次のメルキオールの言葉で吹き飛ばされた。
「お前と組むと……きっと、何でもできる気がするんだ。アルフィー」
「な、なんだよ……お前が真面目に言うなんて……天変地異でも起きるんじゃないか」
「そうだな、いっそそれくらいのインパクトがあった方がいいのかな」
「は?」
メルキオールは、アルフィーに手を差し出す。
「俺は、どんな人間でも幸せだー生きててよかったーって、そう感じられる国を作りたい。お前やステラ、ルカたちと。それができて、俺は初めて、この魔を持って生まれてよかったって気がするんだ。だから頼む。一緒にやってほしい」
アルフィーは、握手をするべきか躊躇った。
メルキオールは、そんなアルフィーの戸惑いには気づいていないようで、自分からアルフィーの手を握った。
「国名はそうだな……俺たちの名前をとって……アルストメリーとか、どうだ?」
「アルストメリー?」
「そう。アルフィーにルカ、ステラにトラヴィス……」
メルキオールの口から出たトラヴィスの名前に、アルフィーは体を震わせた。
それから、そっと空を見る。
月の形が、今日がその日だと教えてくれる。
ステラとトラヴィスを性交渉させる日。
そんな日だからだろう。
余計に、アルフィーは満面の笑みで語るメルキオールの前にいるのが、とても辛いと思った。
「俺さ……今は6人だけのあの場所を、もっとでっかくしたいんだ」
「でっかく?」
「そう。それこそ、俺らみたいな居場所もなかった奴らにとっての故郷になるような国を、作ってみたいと思ったんだ」
「なるほど……」
アルフィーは、6人がどうにかあの場所で生きていけさえすれば、次やるべきことが見つかるだろうくらいに考えていた。
メルキオールの発想に、アルフィーは素直に感心した。
「なあ、アルフィー。俺さ、この目標を叶えるには、お前の力が絶対にいるって思ってるんだ」
「……どうして」
「色々知ってるから」
…………それだけかよ、と何故かアルフィーは拗ねたくなった。
でも、そんなアルフィーの感情は、次のメルキオールの言葉で吹き飛ばされた。
「お前と組むと……きっと、何でもできる気がするんだ。アルフィー」
「な、なんだよ……お前が真面目に言うなんて……天変地異でも起きるんじゃないか」
「そうだな、いっそそれくらいのインパクトがあった方がいいのかな」
「は?」
メルキオールは、アルフィーに手を差し出す。
「俺は、どんな人間でも幸せだー生きててよかったーって、そう感じられる国を作りたい。お前やステラ、ルカたちと。それができて、俺は初めて、この魔を持って生まれてよかったって気がするんだ。だから頼む。一緒にやってほしい」
アルフィーは、握手をするべきか躊躇った。
メルキオールは、そんなアルフィーの戸惑いには気づいていないようで、自分からアルフィーの手を握った。
「国名はそうだな……俺たちの名前をとって……アルストメリーとか、どうだ?」
「アルストメリー?」
「そう。アルフィーにルカ、ステラにトラヴィス……」
メルキオールの口から出たトラヴィスの名前に、アルフィーは体を震わせた。
それから、そっと空を見る。
月の形が、今日がその日だと教えてくれる。
ステラとトラヴィスを性交渉させる日。
そんな日だからだろう。
余計に、アルフィーは満面の笑みで語るメルキオールの前にいるのが、とても辛いと思った。
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