329 / 455
8.神から与えられたのは、罰と……
破裂寸前に変わりはない
しおりを挟む
「魔の炎……だと?」
アルフィーが、そんな言葉を聞いたことはもちろんなかった。
ルカはこくりと頷きながら
「もうよく分からないから、神様の言葉そのまま伝えるね」
……いつもそんなもんじゃないか、とアルフィーは内心突っ込んだ。
「ええとね……ステラのお腹の中って、神様が言うには……この世界と別の世界と繋がってるらしくて」
「は?」
いきなりよく分からない。
アルフィーの知識の中にある世界の認識は、今自分達が生きているこの空が広がっている大地のみ。
せいぜい別世界と言われて思いつくのは、死んだ後の魂が行く先の見えない場所くらい。
その認識は、メルキオールやステラも同じだったらしく、戸惑いの表情を浮かべていた。
ステラに至っては自分の体内で起きている出来事だから、不安もあるのだろう。
唇が真っ青になっていた。
「どういうことだ?」
アルフィーが尋ねると、ルカはステラのお腹の前に大きな丸を描きながら
「ステラの空間を司る魔の中で怖い力っていうのが、コップのように魔を溜めておけることと……」
その話だけでも十分初耳だった。
ステラからも
「空間と時間をちょっと操るくらいですわ」
とだけしか聞いていなかったから。
話題の中心人物であるステラにとっても寝耳に水だったようで、肩をガタガタと振るわせていた。
メルキオールがステラを抱き寄せたことで落ち着いたようにも見えたが、今度は口元にあてていた手が小刻みに震え始めていた。
ルカは、さらに続けてこう言った。
「そのコップの中の魔を、ぐるぐるって混ぜたり、ぐにゃーんって伸ばしたりして、大きくしちゃうんだって。で、その空間に入った人に、その魔を移しちゃうんだけど……ステラの中の世界と、この世界の構造……?っていうのかな、そういう仕組み?みたいなものが違うから、ステラの中にあった魔を、この世界の人がもらっちゃうと、力が強すぎて破裂しちゃう……ってこと、らしい……よ」
ルカも、頑張って理解しようとしながらの説明だったのだろう。
所々で首を捻りながらの解説ではあったが、アルフィーにとってはここまで聞けば十分だった。
別の世界のことは一旦棚にあげておくとして。
アルフィーは端的にこれをステラとメルキオールに説明した。
ステラのお腹の中は魔が増幅する何かしらの仕掛けがあること。
その空間の魔に直接触れた人間は、ステラの中にある魔が流れ込んでしまうこと。
だけど、その魔を受け止めすぎた場合、受け止めた人間の許容範囲を超えてしまう可能性がある。
それが、爆発という形になってしまう。
アルフィーはここまで説明したところで
「神様にこれでいいか聞いてくれ」
とルカに聞いた。
ルカはすぐさまOKサインを出した。
となると次は……と考えながら、アルフィーはステラとメルキオールを見ながら頭を抱えた。
メルキオールが、ステラから流れてきた魔の力によって破裂寸前だという事実に、どうも変わりはないようだから。
アルフィーが、そんな言葉を聞いたことはもちろんなかった。
ルカはこくりと頷きながら
「もうよく分からないから、神様の言葉そのまま伝えるね」
……いつもそんなもんじゃないか、とアルフィーは内心突っ込んだ。
「ええとね……ステラのお腹の中って、神様が言うには……この世界と別の世界と繋がってるらしくて」
「は?」
いきなりよく分からない。
アルフィーの知識の中にある世界の認識は、今自分達が生きているこの空が広がっている大地のみ。
せいぜい別世界と言われて思いつくのは、死んだ後の魂が行く先の見えない場所くらい。
その認識は、メルキオールやステラも同じだったらしく、戸惑いの表情を浮かべていた。
ステラに至っては自分の体内で起きている出来事だから、不安もあるのだろう。
唇が真っ青になっていた。
「どういうことだ?」
アルフィーが尋ねると、ルカはステラのお腹の前に大きな丸を描きながら
「ステラの空間を司る魔の中で怖い力っていうのが、コップのように魔を溜めておけることと……」
その話だけでも十分初耳だった。
ステラからも
「空間と時間をちょっと操るくらいですわ」
とだけしか聞いていなかったから。
話題の中心人物であるステラにとっても寝耳に水だったようで、肩をガタガタと振るわせていた。
メルキオールがステラを抱き寄せたことで落ち着いたようにも見えたが、今度は口元にあてていた手が小刻みに震え始めていた。
ルカは、さらに続けてこう言った。
「そのコップの中の魔を、ぐるぐるって混ぜたり、ぐにゃーんって伸ばしたりして、大きくしちゃうんだって。で、その空間に入った人に、その魔を移しちゃうんだけど……ステラの中の世界と、この世界の構造……?っていうのかな、そういう仕組み?みたいなものが違うから、ステラの中にあった魔を、この世界の人がもらっちゃうと、力が強すぎて破裂しちゃう……ってこと、らしい……よ」
ルカも、頑張って理解しようとしながらの説明だったのだろう。
所々で首を捻りながらの解説ではあったが、アルフィーにとってはここまで聞けば十分だった。
別の世界のことは一旦棚にあげておくとして。
アルフィーは端的にこれをステラとメルキオールに説明した。
ステラのお腹の中は魔が増幅する何かしらの仕掛けがあること。
その空間の魔に直接触れた人間は、ステラの中にある魔が流れ込んでしまうこと。
だけど、その魔を受け止めすぎた場合、受け止めた人間の許容範囲を超えてしまう可能性がある。
それが、爆発という形になってしまう。
アルフィーはここまで説明したところで
「神様にこれでいいか聞いてくれ」
とルカに聞いた。
ルカはすぐさまOKサインを出した。
となると次は……と考えながら、アルフィーはステラとメルキオールを見ながら頭を抱えた。
メルキオールが、ステラから流れてきた魔の力によって破裂寸前だという事実に、どうも変わりはないようだから。
0
お気に入りに追加
570
あなたにおすすめの小説


転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる