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8.神から与えられたのは、罰と……

自分は、一体何を見させられているのか

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トラヴィスの、ステラへの不器用すぎる恋心に気づいたアルフィーのそれからは、なかなか大変だった。
と言っても、別に仕事がキツくなったとか、身体に疲れが溜まるといった、自分自身にふりかかるようなものではなく……。

「あ、す、ステラ……さん……」
「はい?どうかしましたか?」

メルキオールの魔と、ステラの魔を総動員して作り上げた豪華なリビングルームにあるソファに腰掛け、ステラが裁縫をしていた時だった。
トラヴィスが、またもやもじもじ体を揺らしながら、ステラに話しかけていたのを、アルフィーは見かけてしまった。
ちなみに、ステラはとても器用で、魔の力がなくても美しい刺繍を作り上げることができる、まさに刺繍の達人。
この日作っていたのは、魔人たちが使うためのベッドカバー。
魔人それぞれの個性を反映させたような、全く違うデザインの柄に、アルフィーも度肝を抜かれていた。
アルフィーのは既に完成されており、そこには数学や物理で使う公式や星座を美しい図として表現されていた。
自分の好みをほとんど話をしていないのにドンピシャで当ててきたステラを、アルフィーは畏怖すら感じていた。

そして、ちょうど今作っていたのは……。

「今作っているのは、誰の……?」

トラヴィスが聞くと、ステラはにっこりと微笑みながら

「これはルカちゃんのですわ」
「へえ……ステラさん、あの女のことはちゃんづけで呼ぶんだね」
「え?」

何をいきなり言い出すんだ、と、アルフィーは思った。

「その……ステラさん……僕のことも……良ければ……トラちゃん……と……」

アルフィーは、今自分がお茶を飲んでいないことを、心から感謝した。
盛大な音を立てて吹き出したに違いないから。

「トラちゃん……ですか?」
「ダメ……かな?」
「ダメと言いますか……そうですわね……」

ステラは少し考えてから

「ちゃんをつけるには、トラヴィス様は少々カッコ良すぎではないでしょうか?」
「なっ……!?」

ステラは、ふふふと微笑むと

「あら、自覚、ありませんでしたの?」
「いや、僕は……そのぉ……かっこいいとか言われたことはなく……」

確かに。
トラヴィスの顔貌は、眼鏡をかけていても十分わかる程整っている。
だが、それを褒める発想に至るより前に、性格の悪さの方を皆が注目してしまう。
その結果としてルックスを誉める前に避けられるのだろう……と、トラヴィスは分析をした。

「そうでしたのね……もしかして、失礼なことを申し上げてしまいました?」
「いえいえいえ!ステラさんであれば……何を言ったとしても……」

何だこれは。
自分は何を見させられているのか。
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