【R18】処女だったのに、異世界転生したら俺様王子の伽の相手として調教されていました

8.神から与えられたのは、罰と……

知識を超えた謎の人

その出来事からしばらく、アルフィーはトラヴィスをより注意深く観察するようになった。
まだ、トラヴィスの魔の本質がわかっていないこともあり、アルフィーが持つ知的好奇心が疼いたから。
そうこうしているうちに、アルフィーはさらにトラヴィスについてあることに気づいた。
それは、誰かがトラヴィスに掃除など自分が汚れるような雑用を依頼した時だ。

「は？なんで僕がそんなことしないといけないの？馬鹿なの？」

と、突っぱねるような言い回しをする。
もちろん、トラヴィスに仕事を依頼した人間……それはアルフィーだけとは勿論限らない……は、やはりいい気持ちがしない。

「分かった、もう頼まない」

依頼した人間が、また別の人間に頼もうとすると、今度はトラヴィスが話しかけてくる。

「さっきの件だけどさ、僕は絶対にしたくないことなんだけど、ほら……どーしてもして欲しいっていうならさ……」

そう言うと、トラヴィスは依頼した人間の頭や手に触れる。
すると、トラヴィスが触れた人間が、急に自分でトラヴィスに依頼をした仕事……例えば掃除……を丁寧に、完璧にこなしてしまうのだ。
黙々と、淡々と、何も話さず。

何かがおかしいぞ……と思っていると、さらにまた奇妙な出来事が起きた。

「ほら、やっぱりこっちの方が効率が良いじゃないか」

ある程度、その仕事が終わったタイミングで、トラヴィスがまたその人間の頭や手に触れると

「あれ？今、何をしていた？」

トラヴィスに触れられた方は、自分が直前まで何をしていたのかをすっかり忘れてしまっていた。
トラヴィスは

「僕に感謝してよね」

とだけ言い残してどこかに行ってしまうのだが、残された方が訳がわからない。
この状況が複数繰り返されたので、やはりこの現象はトラヴィスが引き起こしたことなのだろう、ということはアルフィーには容易に想像ついた。
だが、トラヴィスが一体何をしているのか……その本質を理解するには、もう少し時間がかかりそうだとも、アルフィーは思った。
トラヴィスは、まさにアルフィーにとって、彼の知識を超えた謎の人だった。
アルフィーは、トラヴィスのことをもっと知りたいと考えるようになり、どうすれば彼の魔をより深く知ることができるか、真剣に考えていた。

そんな時だった。
トラヴィスが、ある人物にだけ全く違う対応をしているのを目撃したのは。