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8.神から与えられたのは、罰と……
細胞の改造
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トラヴィスがしたことは、見た目には全く分からなかった。
それにアルフィーは、彼ご自慢の知識をバカにされたことにも、少々腹に据えかねていた。
そのため、
「本当に、大丈夫なんだろうな?もしここで俺が食べて味を判定してもいいか?」
と喧嘩腰で聞いてみた。
トラヴィスも、その意図をすぐに感じ取ったのだろう。
「信用できないってはっきり言えばいいと思うんだけど。キモっ」
と喧嘩を返してきた。
アルフィーは、それならばと1番美味しくなさそうな魚をあえて選び、そのまま火であぶり焼きにした。
塩も何も使わない、シンプルな料理。
これは、本当に分かるやつだ。
味の良し悪しが。
「どれどれ」
少しおこげがつくまで焼いたものを、頭からあえてかぶりついてみた。
まずかったら、このすかした顔の前で思いっきり吐いてやろうと、アルフィーは思っていたから。
だけど、いい意味で予想に反していた。
驚きのあまり、時が止まったかとすら、アルフィーは思ったほどだった。
「うまい……」
料理の知識はそれなりに持っていて、あとは材料や手先の器用さえ手に入れるだけで、一流コックが作るレベルの料理をきっと作れるであろうアルフィーは、味にうるさかった。
そのアルフィーが、認めたくなくても認めてしまえるほど、ただ焼いた魚は絶品だった。
アルフィーの言葉に、横で見ていたトラヴィスはほれ見たことか、と言いたげな表情をしていたが、絶対に自分からは触れようとしなかった。
その視線と、言葉と、行動のチグハグさがあまりにもおかしくて、アルフィーはプッと笑ってしまった。
その後、トラヴィスによってアルフィーが聞いたことは、アルフィーの右手の麻痺状態も、血抜きをしない魚がうまくなったのも、全ては神経細胞の構造を変えた結果ということ。
アルフィーには、それがどれだけ恐ろしいことか、瞬時に判断できた。
何故なら、人間が生物として積み重ねてきた進化の歴史、医学の歴史がたった1つの魔に
よって、全く違うイレギュラーなものに変わってしまう可能性を、トラヴィスの魔には秘められているから。
アルフィーは、トラヴィスに右手を治してもらう時に、じっと観察してみた。
トラヴィスがそっと触るだけで、細胞から熱が放たれ、一気に生き返るような感覚がした。
それからすぐ、右手を使ってみてアルフィーはまたもや驚いた。
トラヴィスに麻痺を与えられた時よりずっと、手が自由に動かせた。
右手だけ、自分のものではないような感覚と言うべきか……。
「どうだ。君のキモい手を、ちょっと改造させてもらったよ」
アルフィーはトラヴィスの自慢げな様子に寒気を感じた。
この時は、まだアルフィーにはその理由は分からなかったけれども。
それにアルフィーは、彼ご自慢の知識をバカにされたことにも、少々腹に据えかねていた。
そのため、
「本当に、大丈夫なんだろうな?もしここで俺が食べて味を判定してもいいか?」
と喧嘩腰で聞いてみた。
トラヴィスも、その意図をすぐに感じ取ったのだろう。
「信用できないってはっきり言えばいいと思うんだけど。キモっ」
と喧嘩を返してきた。
アルフィーは、それならばと1番美味しくなさそうな魚をあえて選び、そのまま火であぶり焼きにした。
塩も何も使わない、シンプルな料理。
これは、本当に分かるやつだ。
味の良し悪しが。
「どれどれ」
少しおこげがつくまで焼いたものを、頭からあえてかぶりついてみた。
まずかったら、このすかした顔の前で思いっきり吐いてやろうと、アルフィーは思っていたから。
だけど、いい意味で予想に反していた。
驚きのあまり、時が止まったかとすら、アルフィーは思ったほどだった。
「うまい……」
料理の知識はそれなりに持っていて、あとは材料や手先の器用さえ手に入れるだけで、一流コックが作るレベルの料理をきっと作れるであろうアルフィーは、味にうるさかった。
そのアルフィーが、認めたくなくても認めてしまえるほど、ただ焼いた魚は絶品だった。
アルフィーの言葉に、横で見ていたトラヴィスはほれ見たことか、と言いたげな表情をしていたが、絶対に自分からは触れようとしなかった。
その視線と、言葉と、行動のチグハグさがあまりにもおかしくて、アルフィーはプッと笑ってしまった。
その後、トラヴィスによってアルフィーが聞いたことは、アルフィーの右手の麻痺状態も、血抜きをしない魚がうまくなったのも、全ては神経細胞の構造を変えた結果ということ。
アルフィーには、それがどれだけ恐ろしいことか、瞬時に判断できた。
何故なら、人間が生物として積み重ねてきた進化の歴史、医学の歴史がたった1つの魔に
よって、全く違うイレギュラーなものに変わってしまう可能性を、トラヴィスの魔には秘められているから。
アルフィーは、トラヴィスに右手を治してもらう時に、じっと観察してみた。
トラヴィスがそっと触るだけで、細胞から熱が放たれ、一気に生き返るような感覚がした。
それからすぐ、右手を使ってみてアルフィーはまたもや驚いた。
トラヴィスに麻痺を与えられた時よりずっと、手が自由に動かせた。
右手だけ、自分のものではないような感覚と言うべきか……。
「どうだ。君のキモい手を、ちょっと改造させてもらったよ」
アルフィーはトラヴィスの自慢げな様子に寒気を感じた。
この時は、まだアルフィーにはその理由は分からなかったけれども。
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