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7.呪われしアルストメリー
俺は、王家の奴隷みたいなもの
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エディ王子から出てきたその言葉は、私も小説で読んだことがないフレーズだった。
「なんだ、それは?」
アルフィーも、知らない様子だった。
「そうか、お前でも知らないのか」
「少なくとも、俺は聞いたことがない」
「……そうか……」
アルフィーの言葉に、エディ王子は肩を落としたようだった。
「白紙の子って何?」
「ああ、それは……」
エディ王子が言うには、白紙の子というのは王家にしか生まれない存在らしく、最も大きな特徴は、魔力を一切持たないこと。
ノアは、まさに白紙の子であり、魔力持つことが条件でもある王位継承権を剥奪されたらしい。
そんな白紙の子供が生まれた時、必ずアルストメリー国は外の国から侵略され、滅亡の危機になってきたらしい。
アルストメリーの歴史上、白紙の子供が生まれたのは3回。
隣の国が侵略することもあれば、奴隷にさせられたこともあった。
前回の時は、国民の大半が隣の国の兵士によって殺されたらしい。
その事実は、王族だけに隠された国の秘密の1つ……らしい。
「そ、そんな事が……?」
私は、アルフィーに視線を送る。
アルフィーもまた、信じられないといった顔をしていた。
「ねえ、アルフィーさん、本当に知らないの?」
「少なくとも、俺が本の中にいた間のことであれば……見ることはできないから……俺が知らない出来事とはいえ、なかったとは……言えない」
つまり、本の中からは外の世界の情勢を知ることは不可能、と言うこと。
新しい情報を、また1つ得る事ができた……と思うことにする。
「そもそも、エンディーとやら。お前は何故そんな事を知っているんだ?王族だけに隠された秘密……とのことだが」
(しまった……!)
私も、新事実の方ばかりに気を取られて、すっかり頭から抜けていた。
エディ王子が王家の一員だと、今このタイミングでアルフィーにバレるとまずいのだと、ほんの10分程前に説明したばかりじゃないか。
「あー……それはですね、エンディーは……そのぉ……」
どう言えば、王家じゃない、エンディーという存在が、王家の秘密を知っていても不思議じゃないのだろうかと、私が悩んでいるとエディ王子が、チラリと私の方を見てから
「俺は、王家の奴隷みたいなものだ」
と言った。
(ど、奴隷……!?よりによって、どうしてそのチョイス!?)
まだ、王子の侍従とか、執事とかなら分かる。
相談相手にも、もしかしたらなり得る存在だ。
王家だけと言っておきながら、こういう中枢を担う存在が、王家以上に秘密を握っていると言うのもフィクションではよくあることではないか。
エディ王子が、私の顔色を窺って「王子だ」と名乗らなかったのは褒めてやりたいが、選んだチョイスがツッコミどころしかない。
(奴隷なんて、1番情報が降りてこない下の層ではないか……)
不自然極まりないエディ王子の説明に、アルフィーは疑問を抱かないはずがないだろうと思い、頭を抱えたくなった。
ところが。
「お前も……苦労したんだな」
(はあ!?)
見ると、アルフィーがボロボロ泣いているではないか。
「あの、根性腐ったメルキオールの子孫かもと考えると、奴隷として働かされたお前の苦労は想像がつきすぎる。今度、酒でも飲もう」
(何故)
「すまない。俺はまだ成年はしていないから酒は飲めない」
「そうか。ならばとりあえず、飯を食おう。そして語り合おう」
(性的なことは思いっきりしとるがな……って、それはこの際どうでもいいか、もう)
「あの……アルフィーさん」
「何だ」
(ちゃんと聞くのが怖かったから、このタイミングまで聞かないようにしていたけれど……このテンションだったら、もう、聞いてもいいの、かな?)
私は、準備のための咳払いを1つしてから
「アルフィーさんにとっての、その……自然を司る魔人って、一体どんな人だったのかな……ははは……」
と、軽いノリで聞いてしまった。
それが、まずかった。
「なんだ、それは?」
アルフィーも、知らない様子だった。
「そうか、お前でも知らないのか」
「少なくとも、俺は聞いたことがない」
「……そうか……」
アルフィーの言葉に、エディ王子は肩を落としたようだった。
「白紙の子って何?」
「ああ、それは……」
エディ王子が言うには、白紙の子というのは王家にしか生まれない存在らしく、最も大きな特徴は、魔力を一切持たないこと。
ノアは、まさに白紙の子であり、魔力持つことが条件でもある王位継承権を剥奪されたらしい。
そんな白紙の子供が生まれた時、必ずアルストメリー国は外の国から侵略され、滅亡の危機になってきたらしい。
アルストメリーの歴史上、白紙の子供が生まれたのは3回。
隣の国が侵略することもあれば、奴隷にさせられたこともあった。
前回の時は、国民の大半が隣の国の兵士によって殺されたらしい。
その事実は、王族だけに隠された国の秘密の1つ……らしい。
「そ、そんな事が……?」
私は、アルフィーに視線を送る。
アルフィーもまた、信じられないといった顔をしていた。
「ねえ、アルフィーさん、本当に知らないの?」
「少なくとも、俺が本の中にいた間のことであれば……見ることはできないから……俺が知らない出来事とはいえ、なかったとは……言えない」
つまり、本の中からは外の世界の情勢を知ることは不可能、と言うこと。
新しい情報を、また1つ得る事ができた……と思うことにする。
「そもそも、エンディーとやら。お前は何故そんな事を知っているんだ?王族だけに隠された秘密……とのことだが」
(しまった……!)
私も、新事実の方ばかりに気を取られて、すっかり頭から抜けていた。
エディ王子が王家の一員だと、今このタイミングでアルフィーにバレるとまずいのだと、ほんの10分程前に説明したばかりじゃないか。
「あー……それはですね、エンディーは……そのぉ……」
どう言えば、王家じゃない、エンディーという存在が、王家の秘密を知っていても不思議じゃないのだろうかと、私が悩んでいるとエディ王子が、チラリと私の方を見てから
「俺は、王家の奴隷みたいなものだ」
と言った。
(ど、奴隷……!?よりによって、どうしてそのチョイス!?)
まだ、王子の侍従とか、執事とかなら分かる。
相談相手にも、もしかしたらなり得る存在だ。
王家だけと言っておきながら、こういう中枢を担う存在が、王家以上に秘密を握っていると言うのもフィクションではよくあることではないか。
エディ王子が、私の顔色を窺って「王子だ」と名乗らなかったのは褒めてやりたいが、選んだチョイスがツッコミどころしかない。
(奴隷なんて、1番情報が降りてこない下の層ではないか……)
不自然極まりないエディ王子の説明に、アルフィーは疑問を抱かないはずがないだろうと思い、頭を抱えたくなった。
ところが。
「お前も……苦労したんだな」
(はあ!?)
見ると、アルフィーがボロボロ泣いているではないか。
「あの、根性腐ったメルキオールの子孫かもと考えると、奴隷として働かされたお前の苦労は想像がつきすぎる。今度、酒でも飲もう」
(何故)
「すまない。俺はまだ成年はしていないから酒は飲めない」
「そうか。ならばとりあえず、飯を食おう。そして語り合おう」
(性的なことは思いっきりしとるがな……って、それはこの際どうでもいいか、もう)
「あの……アルフィーさん」
「何だ」
(ちゃんと聞くのが怖かったから、このタイミングまで聞かないようにしていたけれど……このテンションだったら、もう、聞いてもいいの、かな?)
私は、準備のための咳払いを1つしてから
「アルフィーさんにとっての、その……自然を司る魔人って、一体どんな人だったのかな……ははは……」
と、軽いノリで聞いてしまった。
それが、まずかった。
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