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7.呪われしアルストメリー
次はあなたの番
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(さて、この男をどうしてくれようか)
と、本物の悪役っぽく言ってみたいと思ったが、流石に自重した。
課題は、1つ解決したとしてもまだまだ山積みだ。
悠長にエディ王子で遊んでるだけの時間は、ない。
(とりあえず、何から話すのが1番いいのか……)
エディ王子に、カサブランカの体の中身が別人である前提条件は、どうにか伝わっている。
元のカサブランカに戻って欲しいという、エディ王子の目標の醸成にも、おそらく成功はしている。
次に行うことは、彼が目的を達成するための方法を共有すること。
カサブランカの心を探す、という言葉にするだけならとても簡単なこと。
だけど、ふと考えた。
そもそも、エディ王子は一体どこまで情報を知っているのだろうか。
魔人という存在がこの世界にいるということ。
そして自分が、その魔人の一人であるということ。
カサブランカもまた、同じ魔人の一人であるということ。
そして……エディ王子の魂の核が、過去何かをした結果が今であること。
その、何か、のせいで王家が恨まれている……と、いうこと。
(手始めにここからいくか……)
「あのさ……魔人って知ってる?」
「まじん?」
「そう。魔人」
「何だそれは」
(はい。即、玉砕)
よく思い出してみよう。
エディ王子は魔力は使いこなせているはず。
自覚も、あるはずだ。
まあ私も……よくよく考えれば……まだ、いまいち魔人の概念を説明できる自信はないけど、ざっくり言えばこう言うことだろう。
「あのー王子のように魔力を持っている人のことを魔人という……らしいです」
そう私が言った瞬間、エディ王子の表情がガラリと変わった。
視線だけで、誰かを殺せるくらい鋭い目つき。
(んんっ!?)
「この国は、魔力で生活を成り立たせているのが当然のはずだが……そんな話は1度も聞いたことがない……デタラメはすぐにバレるぞ」
(あー…………)
そうだ。
次から次へと押し寄せる、常識外の出来事のおかげで、肝心な小説の軸設定を忘れていた。
そうなのだ。
アルストメリーは、王族ほどではないとはいえ、魔力は皆持っているのだ。
灯りや燃料の素は全て魔力。
他の国にはない、この国独自の仕組み。
つまり、私の説明がそのまま通用するとなると、この国、全員が魔人ということになる。
彼らは皆、自然物を使う魔力を持っていることになるのだから。
でもふとここで違和感がある。
というより、ずっと頭の中でもやっとしていたこと。
何故、王族が自然を司る魔人なのか。
その魔人と同じような、自然を操る力を、何故、この国の民は持っているのか。
(単なる設定上の都合……?)
いや。
この世界は、小説あるあるのご都合主義で作られているわけではなさそうだ、と私は考えている。
ご都合主義だとしたら、ハードモードにも程があるから。
もう1度、情報を頭の中で整理してみることにした。念じるように。
この国の最初は、確かに6人の魔人から始まっているのだろう。
そして、私が知らなくて、プルメリア、ノアあたりは知っているかもしれない過去の何らかの出来事のせいで、今のアルストメリーが出来上がったのだろう。
過去の関わってくるのは……あのビジョン。
ルカという、かつての神を司る少女を襲っているメルキオール……つまり、エディ王子の魂の核なのかもしれない。
そのせいで、王家は恨みの対象になっており、エディ王子がその中心に立たされている。
にも関わらず、エディ王子はその事実を、全く知らなそうだ。恐らく。
(これはこれで厄介だ)
エディ王子は物語の中心人物になるべき人間だろう。
にも関わらず、肝心な情報から爪弾きにされている現状だ。
私の前世での経験上……こう言う場合は大抵、自分の意思には関わらず、そう言う環境を作られているケースを想像した方が解決は早い。
何かの理由で、エディ王子を情弱にした。
これは、意図的にだろう。
(よし、次の課題解決はこっちにするか)
私は、じーっと見てくるエディ王子の視線をあえて気にしないように深呼吸しながら、今までは、まだ起きないでくれ、と願った少女と中の人に近づいた。
そして揺さぶりながら
「お待たせ、次はあなたの番よ」
と囁いた。
少女……アザレアの瞼が、かすかに動いた。
と、本物の悪役っぽく言ってみたいと思ったが、流石に自重した。
課題は、1つ解決したとしてもまだまだ山積みだ。
悠長にエディ王子で遊んでるだけの時間は、ない。
(とりあえず、何から話すのが1番いいのか……)
エディ王子に、カサブランカの体の中身が別人である前提条件は、どうにか伝わっている。
元のカサブランカに戻って欲しいという、エディ王子の目標の醸成にも、おそらく成功はしている。
次に行うことは、彼が目的を達成するための方法を共有すること。
カサブランカの心を探す、という言葉にするだけならとても簡単なこと。
だけど、ふと考えた。
そもそも、エディ王子は一体どこまで情報を知っているのだろうか。
魔人という存在がこの世界にいるということ。
そして自分が、その魔人の一人であるということ。
カサブランカもまた、同じ魔人の一人であるということ。
そして……エディ王子の魂の核が、過去何かをした結果が今であること。
その、何か、のせいで王家が恨まれている……と、いうこと。
(手始めにここからいくか……)
「あのさ……魔人って知ってる?」
「まじん?」
「そう。魔人」
「何だそれは」
(はい。即、玉砕)
よく思い出してみよう。
エディ王子は魔力は使いこなせているはず。
自覚も、あるはずだ。
まあ私も……よくよく考えれば……まだ、いまいち魔人の概念を説明できる自信はないけど、ざっくり言えばこう言うことだろう。
「あのー王子のように魔力を持っている人のことを魔人という……らしいです」
そう私が言った瞬間、エディ王子の表情がガラリと変わった。
視線だけで、誰かを殺せるくらい鋭い目つき。
(んんっ!?)
「この国は、魔力で生活を成り立たせているのが当然のはずだが……そんな話は1度も聞いたことがない……デタラメはすぐにバレるぞ」
(あー…………)
そうだ。
次から次へと押し寄せる、常識外の出来事のおかげで、肝心な小説の軸設定を忘れていた。
そうなのだ。
アルストメリーは、王族ほどではないとはいえ、魔力は皆持っているのだ。
灯りや燃料の素は全て魔力。
他の国にはない、この国独自の仕組み。
つまり、私の説明がそのまま通用するとなると、この国、全員が魔人ということになる。
彼らは皆、自然物を使う魔力を持っていることになるのだから。
でもふとここで違和感がある。
というより、ずっと頭の中でもやっとしていたこと。
何故、王族が自然を司る魔人なのか。
その魔人と同じような、自然を操る力を、何故、この国の民は持っているのか。
(単なる設定上の都合……?)
いや。
この世界は、小説あるあるのご都合主義で作られているわけではなさそうだ、と私は考えている。
ご都合主義だとしたら、ハードモードにも程があるから。
もう1度、情報を頭の中で整理してみることにした。念じるように。
この国の最初は、確かに6人の魔人から始まっているのだろう。
そして、私が知らなくて、プルメリア、ノアあたりは知っているかもしれない過去の何らかの出来事のせいで、今のアルストメリーが出来上がったのだろう。
過去の関わってくるのは……あのビジョン。
ルカという、かつての神を司る少女を襲っているメルキオール……つまり、エディ王子の魂の核なのかもしれない。
そのせいで、王家は恨みの対象になっており、エディ王子がその中心に立たされている。
にも関わらず、エディ王子はその事実を、全く知らなそうだ。恐らく。
(これはこれで厄介だ)
エディ王子は物語の中心人物になるべき人間だろう。
にも関わらず、肝心な情報から爪弾きにされている現状だ。
私の前世での経験上……こう言う場合は大抵、自分の意思には関わらず、そう言う環境を作られているケースを想像した方が解決は早い。
何かの理由で、エディ王子を情弱にした。
これは、意図的にだろう。
(よし、次の課題解決はこっちにするか)
私は、じーっと見てくるエディ王子の視線をあえて気にしないように深呼吸しながら、今までは、まだ起きないでくれ、と願った少女と中の人に近づいた。
そして揺さぶりながら
「お待たせ、次はあなたの番よ」
と囁いた。
少女……アザレアの瞼が、かすかに動いた。
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