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7.呪われしアルストメリー

王子の重苦しい愛があるなら

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「ちょっ!ちょっと待った!!」
「出ていけ!」
「だから、火!危ない!」
「早く!!!」
「だから、このまま火近づけたらカシーちゃん火傷しちゃうでしょうが!!!」

私が、カシーという言葉をあえて使ったことで、ぴたりとエディ王子の行動を止めることができた。
しゅんっと、エディ王子の手のひらから火が消えた。
かと思いきや

「お前が、カシーと言うな……」

よくわからないポイントで怒ってきた。
そういえば、カサブランカの記憶の中で、王子はずーっとカサブランカのことをカシーと呼び続けていた。

(自分だけの、特別な呼び名……とでも思ってるんだろうか)

最も、記憶の中のカサブランカに至っては……呼び名1つ違うことくらいでは、王子の気持ちを見極めることは到底できず、その結果、エディ王子の気持ちを誤解していた……ということになるみたいだ。
火はどうにか収めてもらったとはいえ、次に変な攻撃をされないように、慎重にセリフを選ばなければならない。

(エディ王子は、カサブランカを傷つけることは嫌なはず)

それは徹底的に利用させてもらいたいと、私は考えた。

「あなたが私に攻撃しちゃうと、この体に傷がついちゃうけど、いいの?」
「……っ……卑怯者……」

(好きでこんな状態にしたわけじゃないんだけどなー)

エディ王子から、敵意丸出しで見られているけれど、私は私で、一応被害者ではある。
そこをどうにか説明して、せめて目的だけはすり合わせたい。

「カサブランカを、取り戻したくないの?」
「どう言う意味だ」
「言葉の意味。私から、カサブランカを取り戻したくないのかって、聞いてるの」
「そんな当たり前のことを、わざわざ聞くな」

自分の中では当たり前と思っていることほど、相手にとっては当たり前ではない可能性がある。
エディ王子の当たり前は私の当たり前ではないが、想像するのはとても簡単だった。
エディ王子の予想通りの食いつきに、私は顔がにやけそうになる。

「じゃあ、私のお願い、聞いてくれるかなーきゃははー?」

カサブランカが絶対言わない、ぶりっこな表現を使うことで、中の人がいることをあらためてエディ王子にプッシュしてみる。
エディ王子の眉間にカード1枚くらいなら挟めそうな深い溝が入ったので、私の行動を不快に感じていることはよく伝わってくる。

そこから、どれくらいの時間が経ったのか。
私とエディ王子が睨めっこを始めてから。
私は、エディ王子の体から溢れんばかりの殺気を浴び続けながら、好機を待った。

エディ王子の、カサブランカへの重苦しい愛を、カサブランカの体越しで受け止めた私だ。
だからこそ、信じたかった。
きっと、彼は決めるはずだと。
私からカサブランカを取り戻すために。


「願いとは……なんだ?」


(キ……キター!!!!!)



その言葉を聞いた瞬間、私は膝から崩れ落ちた。
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