268 / 455
7.呪われしアルストメリー
強引すぎる話の展開
しおりを挟む
「幽霊……だと?」
(ひえええええ)
半分くらいは正しいことを言っているのだけれど、今のエディ王子の顔からは
「冗談も大概にしろ」
と言いたげなのがよく伝わってくる。
でも、負けてなんていられない。
「そ、そうなんですー。気がついたら私、この体に入っちゃっててーほほほほほ」
「……」
(き、気まずい……)
エディ王子が、言葉にするのも躊躇われるほどのすんごい顔で私を睨みつけてくる。
ファンタジーの漫画だったら、前髪から目にかけて影が入り、目だけがきらりと鋭く光る……
そんな表現で描かれてしまうだろう。
怖い。ただただ。
恐怖心が勝りそうになるのを、私は
「だから~この体は、私が乗っ取っちゃったんです~きゃはっ!」
と、カサブランカが絶対に言わなそうな口調で、はしゃぐように言って誤魔化す。
無理矢理にでも、声色を明るくして、自分は今楽しい状況なのだと洗脳する。
それも、自分を奮い立たせるために身につけたテクニックだ。
「きゃは……?」
エディ王子が、ものすんごい低い声で、私が言った言葉を反芻する。
エディ王子の見た目で、ギャルの言葉使いは、状況が状況であれば爆笑したくなるくらいのミスマッチ。
だから、私は必死で耐えた。
そして、畳みかけるように言った。
私が知っているカサブランカとは真逆にいそうな、ギャルの振りをして。
「この体さ~とっても美人でいい体してんじゃん?」
「…………」
(顔!顔が怖い……!!)
「これはこれでいいなーって思ったんだけど……」
(うわー……この次言葉ミスったら、私命ないかもしれないな……)
「でも私がここにいると……この体の人が、話が出来ないっぽいんだよねー」
「…………」
「何かさーあなたにどうしても言いたいことがあるんだってー」
「…………何?」
「………………えへ(はーと)」
(く、苦しい……そして自分がキモい……)
説明を積み重ねれば積み重ねる度に、自分の作戦の荒さに、自分で気づいて泣きたくなる。
そもそもまだ、カサブランカの中に他人がいるという前提条件の証拠すら提示していない。
その状態で
「カサブランカが話したいことがあるみたいよ」
と、前提条件がきちんと土台として成立していないと、理解不能なことを、何故私は言ってしまったんだ。
そもそも、本当のカサブランカが、エディ王子に何かを話したがってるというのも、適当な口から出まかせだというのに。
(あー……苦しい……次どう話を続けようかな……)
きっとこんな下手すぎる説明だと、カサブランカが狂ったくらいにしか、エディ王子は思ってくれないだろう。
そんな誤解は、カサブランカに申し訳なさすぎる。
「あの……エディ王子……それで……」
次の言葉を決めないまま、沈黙に耐えられず言葉を発した、その時だった。
「カシーが……俺に何を言いたいって……?」
「っ……!?」
これは…………もしや…………?
(ひえええええ)
半分くらいは正しいことを言っているのだけれど、今のエディ王子の顔からは
「冗談も大概にしろ」
と言いたげなのがよく伝わってくる。
でも、負けてなんていられない。
「そ、そうなんですー。気がついたら私、この体に入っちゃっててーほほほほほ」
「……」
(き、気まずい……)
エディ王子が、言葉にするのも躊躇われるほどのすんごい顔で私を睨みつけてくる。
ファンタジーの漫画だったら、前髪から目にかけて影が入り、目だけがきらりと鋭く光る……
そんな表現で描かれてしまうだろう。
怖い。ただただ。
恐怖心が勝りそうになるのを、私は
「だから~この体は、私が乗っ取っちゃったんです~きゃはっ!」
と、カサブランカが絶対に言わなそうな口調で、はしゃぐように言って誤魔化す。
無理矢理にでも、声色を明るくして、自分は今楽しい状況なのだと洗脳する。
それも、自分を奮い立たせるために身につけたテクニックだ。
「きゃは……?」
エディ王子が、ものすんごい低い声で、私が言った言葉を反芻する。
エディ王子の見た目で、ギャルの言葉使いは、状況が状況であれば爆笑したくなるくらいのミスマッチ。
だから、私は必死で耐えた。
そして、畳みかけるように言った。
私が知っているカサブランカとは真逆にいそうな、ギャルの振りをして。
「この体さ~とっても美人でいい体してんじゃん?」
「…………」
(顔!顔が怖い……!!)
「これはこれでいいなーって思ったんだけど……」
(うわー……この次言葉ミスったら、私命ないかもしれないな……)
「でも私がここにいると……この体の人が、話が出来ないっぽいんだよねー」
「…………」
「何かさーあなたにどうしても言いたいことがあるんだってー」
「…………何?」
「………………えへ(はーと)」
(く、苦しい……そして自分がキモい……)
説明を積み重ねれば積み重ねる度に、自分の作戦の荒さに、自分で気づいて泣きたくなる。
そもそもまだ、カサブランカの中に他人がいるという前提条件の証拠すら提示していない。
その状態で
「カサブランカが話したいことがあるみたいよ」
と、前提条件がきちんと土台として成立していないと、理解不能なことを、何故私は言ってしまったんだ。
そもそも、本当のカサブランカが、エディ王子に何かを話したがってるというのも、適当な口から出まかせだというのに。
(あー……苦しい……次どう話を続けようかな……)
きっとこんな下手すぎる説明だと、カサブランカが狂ったくらいにしか、エディ王子は思ってくれないだろう。
そんな誤解は、カサブランカに申し訳なさすぎる。
「あの……エディ王子……それで……」
次の言葉を決めないまま、沈黙に耐えられず言葉を発した、その時だった。
「カシーが……俺に何を言いたいって……?」
「っ……!?」
これは…………もしや…………?
0
お気に入りに追加
568
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
異世界転生したら悪役令嬢じゃなくイケメン達に囲まれちゃいましたっ!!
杏仁豆腐
恋愛
17歳の女子高生が交通事故で即死。その後女神に天国か地獄か、それとも異世界に転生するかの選択肢を与えられたので、異世界を選択したら……イケメンだらけの世界に来ちゃいました。それも私って悪役令嬢!? いやそれはバッドエンドになるから勘弁してほしいわっ! 逆ハーレム生活をエンジョイしたいのっ!!
※不定期更新で申し訳ないです。順調に進めばアップしていく予定です。設定めちゃめちゃかもしれません……本当に御免なさい。とにかく考え付いたお話を書いていくつもりです。宜しくお願い致します。
※タイトル変更しました。3/31
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる