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7.呪われしアルストメリー

強引すぎる話の展開

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「幽霊……だと?」

(ひえええええ)

半分くらいは正しいことを言っているのだけれど、今のエディ王子の顔からは

「冗談も大概にしろ」

と言いたげなのがよく伝わってくる。
でも、負けてなんていられない。

「そ、そうなんですー。気がついたら私、この体に入っちゃっててーほほほほほ」
「……」

(き、気まずい……)

エディ王子が、言葉にするのも躊躇われるほどのすんごい顔で私を睨みつけてくる。
ファンタジーの漫画だったら、前髪から目にかけて影が入り、目だけがきらりと鋭く光る……
そんな表現で描かれてしまうだろう。

怖い。ただただ。

恐怖心が勝りそうになるのを、私は

「だから~この体は、私が乗っ取っちゃったんです~きゃはっ!」

と、カサブランカが絶対に言わなそうな口調で、はしゃぐように言って誤魔化す。
無理矢理にでも、声色を明るくして、自分は今楽しい状況なのだと洗脳する。
それも、自分を奮い立たせるために身につけたテクニックだ。

「きゃは……?」

エディ王子が、ものすんごい低い声で、私が言った言葉を反芻する。
エディ王子の見た目で、ギャルの言葉使いは、状況が状況であれば爆笑したくなるくらいのミスマッチ。
だから、私は必死で耐えた。
そして、畳みかけるように言った。
私が知っているカサブランカとは真逆にいそうな、ギャルの振りをして。

「この体さ~とっても美人でいい体してんじゃん?」
「…………」

(顔!顔が怖い……!!)

「これはこれでいいなーって思ったんだけど……」

(うわー……この次言葉ミスったら、私命ないかもしれないな……)

「でも私がここにいると……この体の人が、話が出来ないっぽいんだよねー」
「…………」
「何かさーあなたにどうしても言いたいことがあるんだってー」
「…………何?」
「………………えへ(はーと)」

(く、苦しい……そして自分がキモい……)

説明を積み重ねれば積み重ねる度に、自分の作戦の荒さに、自分で気づいて泣きたくなる。
そもそもまだ、カサブランカの中に他人がいるという前提条件の証拠すら提示していない。
その状態で

「カサブランカが話したいことがあるみたいよ」

と、前提条件がきちんと土台として成立していないと、理解不能なことを、何故私は言ってしまったんだ。
そもそも、本当のカサブランカが、エディ王子に何かを話したがってるというのも、適当な口から出まかせだというのに。

(あー……苦しい……次どう話を続けようかな……)

きっとこんな下手すぎる説明だと、カサブランカが狂ったくらいにしか、エディ王子は思ってくれないだろう。
そんな誤解は、カサブランカに申し訳なさすぎる。

「あの……エディ王子……それで……」

次の言葉を決めないまま、沈黙に耐えられず言葉を発した、その時だった。

「カシーが……俺に何を言いたいって……?」
「っ……!?」

これは…………もしや…………?
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