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7.呪われしアルストメリー

本当の意味で結ばれてほしい二人

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私は、エディ王子の近くにいき、まずは様子を確認した。

「んんっ……」

エディ王子は、呻きながら汗をかいている。
私は自分の服の裾を破り、彼の汗を吹いてやった。
拭いても拭いても、溢れ出てくる彼の汗は、彼がどれだけ怖い夢を見ているのかを教えてくれる。
まだ彼にどう伝えるか、決めきれていない。
前提条件としては

「私はカサブランカではありません」

という私の宣言は聞いていて

「どういうことだ!?」

という彼の反応までは見ている。
そこからぷつりと、展開が予想の斜めを行きすぎたので、結局エディ王子が一連の流れの間、何をどう考えたのか、現在は闇……ではなく夢の中、だろう。

「ごめんねぇ……」

彼の額や耳の裏、首筋の汗を拭ってやりながら、私は声を出して謝罪した。
エディ王子はカサブランカに心からの告白をした。
それは、私にとっては2度目伽の最中だった。
あの瞬間のことは、よく覚えている。
1度目は、小説でもよく知っているSっ気たっぷりに無理矢理された。
体に痛みはなかったけれど、やっぱり私の心も痛かったのだ。
意思が通じないセックス。
自分がしたいとは思わないまま、いつの間にか始まっていたセックス。
思い出すと、身体がこわばるくらいには、私にとってもトラウマになっている。

だけど、2度目は全く違った。
エディ王子は、カサブランカの体に好きだと言いながらたくさんキスしてきた。
最初は唇から。軽いものからベロチューまで何度も繰り返した。
それから、胸にお腹と、身体中食べられるかと思うほど、たくさん唇で吸われた。
その合間に囁いてくる彼の言葉と吐息が、チョコレートよりずっと甘いと思った。
1度目から2度目までの間で、王子の態度がどうしてあそこまで変化したのかの検討はつかない。

ただ……今言えることがあるとすると。
私は、王子の愛を受け取るべき相手ではない。
というより、私としては受け取りたくない。
カサブランカの体は、やっぱり私にとっては借り物でしかない。
その借り物を通じて、私は身体を本当に愛される喜びを教えてもらった気がする。
でもそこに、体の持ち主の心がなかったから、きっと愛し愛される喜びは中途半端なものになってしまったのではないか……という仮説はある。

カサブランカの脳や記憶が、ノアによってどれだけいじられたかも、私には想像することしかできない。
けれど、エディ王子への優しくて悲しい想いは、私が入っている身体に染み付いている。
だから、私として思うのだ。

エディ王子とカサブランカには、本当の意味で結ばれてほしい。
伽とか国とか関係なく、ただの愛し合う男女として、心から感動するセックスをしてもらいたい。

「なんで、こんなお節介なこと考えるんだろう……」

そんなことを考えてすぐ、私は自嘲してしまう。

(処女が偉そうに……)

そう考えた、その直後だった。

「カシー……か?」

エディ王子の青い瞳が、少しずつ開いていった。
その瞬間、エディ王子の目から涙が溢れていた。
私は、無意識に拭ってやろうと顔を近づけた瞬間だった。

「んんっ!?」

いきなりエディ王子が顔を近づけて、私にキスをしてきた。
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