232 / 455
7.呪われしアルストメリー
だから、頭を抱えたいのはこっちだっつうの
しおりを挟む
エディ王子とメルキオール。
カサブランカとステラ。
この2人が、同じ条件……つまり、魂の核を持った状態のせいで魔を持つということは……。
「他の魔人も、魂の核が同じということであってる?」
「そう考えた方が自然……だとは思いますが……」
つまり、そうじゃないケースもあるということか。
私がそこをまさに突こうとした時だった。
「あの方は、私の体を使ってから、どんどん魔を増幅させていきました。一方で私もまた……あの方の魔のせいで、取り返しがつかないことに……」
と、ステラがぶつぶつ言い出した。
独り言だったのかもしれないが、私は拾ってしまった。
「あの方って……メルキオールのこと?」
「……メルキオールが私を犯すことがなければ、きっと今のようなアルストメリーにはならなかったはずです……」
ステラの声に、メルキオールへの恨みが含まれていることは、分かった。
「あっ……」
そして、そのことにステラ自身も気がついたようだ。
「申し訳ございません、話が逸れましたね」
「いえ……」
むしろ、かなり重要な話な気がするので、もうちょっと続けて欲しいな、と思った。
けれど、それ以上ステラがエディ王子とメルキオールについて言及することはなかった。
その代わりに、ステラが私に話し続けたのは、人間を構成する3つ……体と心、そして魂についての話だった。
体の記憶、心の記憶、魂の記憶はそれぞれが独立している。
その記憶をつないでいるのも、また人体の中に存在する間。
そして、私が知りたい内容の記憶を持つカサブランカは、カサブランカとして現在の生を受け、これまで生きてきた記憶の全てをもつ、心のカサブランカの方だということ。
「私もまた、心のカサブランカによって無理やり肉体から切り離され、死者の魂の核が封印されるこの場所へと……追いやられてしまったのですから……」
などと、ステラ自身も心のカサブランカによってなされた分離という行為に、頭を抱えているらしかった。
(だから、頭を抱えたいのはこっちだっつうの)
カサブランカとステラ。
この2人が、同じ条件……つまり、魂の核を持った状態のせいで魔を持つということは……。
「他の魔人も、魂の核が同じということであってる?」
「そう考えた方が自然……だとは思いますが……」
つまり、そうじゃないケースもあるということか。
私がそこをまさに突こうとした時だった。
「あの方は、私の体を使ってから、どんどん魔を増幅させていきました。一方で私もまた……あの方の魔のせいで、取り返しがつかないことに……」
と、ステラがぶつぶつ言い出した。
独り言だったのかもしれないが、私は拾ってしまった。
「あの方って……メルキオールのこと?」
「……メルキオールが私を犯すことがなければ、きっと今のようなアルストメリーにはならなかったはずです……」
ステラの声に、メルキオールへの恨みが含まれていることは、分かった。
「あっ……」
そして、そのことにステラ自身も気がついたようだ。
「申し訳ございません、話が逸れましたね」
「いえ……」
むしろ、かなり重要な話な気がするので、もうちょっと続けて欲しいな、と思った。
けれど、それ以上ステラがエディ王子とメルキオールについて言及することはなかった。
その代わりに、ステラが私に話し続けたのは、人間を構成する3つ……体と心、そして魂についての話だった。
体の記憶、心の記憶、魂の記憶はそれぞれが独立している。
その記憶をつないでいるのも、また人体の中に存在する間。
そして、私が知りたい内容の記憶を持つカサブランカは、カサブランカとして現在の生を受け、これまで生きてきた記憶の全てをもつ、心のカサブランカの方だということ。
「私もまた、心のカサブランカによって無理やり肉体から切り離され、死者の魂の核が封印されるこの場所へと……追いやられてしまったのですから……」
などと、ステラ自身も心のカサブランカによってなされた分離という行為に、頭を抱えているらしかった。
(だから、頭を抱えたいのはこっちだっつうの)
0
お気に入りに追加
570
あなたにおすすめの小説

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる