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7.呪われしアルストメリー
隠してること……ないですか?
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(どういうこと……?)
カサブランカを解放するというのは、哀れなほど、カサブランカの求める男性から……ということだけではなかったのか?
「そんなこと言いましても……ねぇ……」
ノアが、明らかにプルメリアの問いかけに対して面倒くさいと言いたげな表情をしながら言った。
「私も、やれることはやってきましたから。それこそ、あなた方がご自身の魔に気づく前から、ずーっとね……」
そう言うと、ノアはエディ王子をひょいと、軽々と持ち上げた。
「とりあえず、どうしましょうか?外に捨てます?」
確認する必要はない。
エディ王子をどうするか、という意味で、だろう。
プルメリアは、少しの間エディ王子の、ぐったりと青ざめた顔を見ながら考えている様子だった。
そしてプルメリアが出した答えは
「…………いいえ、ここに捕らえておきましょう」
だった。
「……良いのですか?」
「このタイミングで、下手に外に出して世界を崩壊させるよりは、あなたの側においた方が幾分ましですわ」
(今、さらりとすごいこと言わなかったか?)
「あ、あのぉ……プル……?」
私がおそるおそる問いかけると、二人がはっとした表情で私を見てきた。
まるで、聞かれたらまずい話をしていたかのような反応だなと分かった。
例えて言うなら、社内で不倫トークをしていたある上司と部下の逢瀬を見てしまった時の気まずさに近い。
一瞬、その気まずさに負けそうになったが、私はぐっとこらえた。
そして、聞いた。
「世界を崩壊させるとか……どういうこと?」
プルメリアは、今までで1番長いため息をつくと
「あなた様を巻き込むつもりはなかったのですけれど」
「え、でも私……」
というか、カサブランカも、魔人の一人なんでしょう?
それであれば、十分当事者なのではないか?
私が情報を知ることは、問題がないどころか、むしろ積極的に情報提供をしてくれる。
アルフィーというイケオジからの話も、今は中断しているが……積極的に話を聞いてもよさそうだった。
一方で今。
エディ王子とカサブランカが少しでも交わることを拒否するプルメリア。
エディ王子を無理やり力で押さえつけようとした、兄だというノア。
その事実にカサブランカが絡んでいると発言した、にも関わらず……からの「巻き込まないはずだった」発言。
(矛盾しかないだろ……!?)
「何か私に隠してること……ないですか?」
過去のことなんかじゃない。
反乱のことじゃない。
カサブランカのこととエディ王子のこと。
プルメリアとノアはこの2人に関する……核たる何かを絶対隠している。
そう考えた時だった。
「聖女様!!助けて……!!!」
すでに床の中の隠し扉を開けていた子供たちが叫び出した。
振り返ると、本が勝手に開かれており、子供たちが黒い骸骨に襲われ、意識を失っていたはずのアザレアが立ち上がっていた。
手には、どこにあったのか……剣が握られていた。
そしてアザレアがつぶやいた。
「王家は……殺す……」
カサブランカを解放するというのは、哀れなほど、カサブランカの求める男性から……ということだけではなかったのか?
「そんなこと言いましても……ねぇ……」
ノアが、明らかにプルメリアの問いかけに対して面倒くさいと言いたげな表情をしながら言った。
「私も、やれることはやってきましたから。それこそ、あなた方がご自身の魔に気づく前から、ずーっとね……」
そう言うと、ノアはエディ王子をひょいと、軽々と持ち上げた。
「とりあえず、どうしましょうか?外に捨てます?」
確認する必要はない。
エディ王子をどうするか、という意味で、だろう。
プルメリアは、少しの間エディ王子の、ぐったりと青ざめた顔を見ながら考えている様子だった。
そしてプルメリアが出した答えは
「…………いいえ、ここに捕らえておきましょう」
だった。
「……良いのですか?」
「このタイミングで、下手に外に出して世界を崩壊させるよりは、あなたの側においた方が幾分ましですわ」
(今、さらりとすごいこと言わなかったか?)
「あ、あのぉ……プル……?」
私がおそるおそる問いかけると、二人がはっとした表情で私を見てきた。
まるで、聞かれたらまずい話をしていたかのような反応だなと分かった。
例えて言うなら、社内で不倫トークをしていたある上司と部下の逢瀬を見てしまった時の気まずさに近い。
一瞬、その気まずさに負けそうになったが、私はぐっとこらえた。
そして、聞いた。
「世界を崩壊させるとか……どういうこと?」
プルメリアは、今までで1番長いため息をつくと
「あなた様を巻き込むつもりはなかったのですけれど」
「え、でも私……」
というか、カサブランカも、魔人の一人なんでしょう?
それであれば、十分当事者なのではないか?
私が情報を知ることは、問題がないどころか、むしろ積極的に情報提供をしてくれる。
アルフィーというイケオジからの話も、今は中断しているが……積極的に話を聞いてもよさそうだった。
一方で今。
エディ王子とカサブランカが少しでも交わることを拒否するプルメリア。
エディ王子を無理やり力で押さえつけようとした、兄だというノア。
その事実にカサブランカが絡んでいると発言した、にも関わらず……からの「巻き込まないはずだった」発言。
(矛盾しかないだろ……!?)
「何か私に隠してること……ないですか?」
過去のことなんかじゃない。
反乱のことじゃない。
カサブランカのこととエディ王子のこと。
プルメリアとノアはこの2人に関する……核たる何かを絶対隠している。
そう考えた時だった。
「聖女様!!助けて……!!!」
すでに床の中の隠し扉を開けていた子供たちが叫び出した。
振り返ると、本が勝手に開かれており、子供たちが黒い骸骨に襲われ、意識を失っていたはずのアザレアが立ち上がっていた。
手には、どこにあったのか……剣が握られていた。
そしてアザレアがつぶやいた。
「王家は……殺す……」
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