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7.呪われしアルストメリー
まさかの来訪者
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「そんなはずないわ……。ここが、見つかってしまうなんて……」
プルメリアが、こんなにも狼狽えているのは初めて見た。
まだ軽く残っている、心臓の痛みを堪えながら、私は起き上がりながら
「どうしたんですか?」
と、尋ねると同時に
「聖女様!」
「大変!どうしよう!!」
「聖女様ー!!!」
今度はたくさんの子どもたちが、泣きながら入ってきた。
「みんな、こっちへいらっしゃい!」
プルメリアが子どもたちを抱き寄せながら
「何がありましたの?」
と尋ねた。
「金髪の人が、お馬に乗って畑を荒らすんだ……!」
「にんじんさんが、ぐちゃぐちゃになっちゃった……」
子どもたちが泣きながら、必死に状況を説明してくれていた。
そして、気にしなくてはいけないワードが、ここまでにいくつも出てきた。
王家の紋章がついた服。
金髪の人。
馬に乗る。
(ま……まさか……?)
ちらりと、プルメリアの顔を見る。
プルメリアもまた、私を見ていた。
「なんてこと……」
プルメリアは、子どもたちの中で最も身長が高い子の肩を揺さぶりながら
「他には?誰かいましたの?」
その子は、首をぶんぶん振ると
「いないよ……!金髪の人だけ……でも、すっごく怖くて……」
プルメリアは、その子をぎゅっと抱きしめてやりながら
「大丈夫ですわ……私がおりますから……」
と言った。そしてすぐにその子と視線を合わせるように屈むと
「いい?今から私のいう通りに動いてくださいましね」
プルメリアは、私とアザレアを指差しながら
「みんなの力で、カサブランカ様とアザレアを、あの部屋に隠してくださいまし」
(あの……部屋?)
「分かった!」
子どもたちは、その言葉だけで何を意味しているのか分かったのだろう。
2人の子供たちが、私の手を掴んで
「カサブランカ様、こっち!」
「急いで!」
ぐいぐいと私を立ち上がらせようとする。
身長が高めの子は、アザレアを頑張って背負おうとしていた。
(そ、そんな体格差があるから、背負うのは無理じゃないか……!?)
と考えていたのだが、その心配は杞憂で、ひょいと背負いあげていた。
アザレアが細身のためなのか、その子の力が強いのは分からないが、特に心配なさそうだ。
それより心配なのは、プルメリアの方だと私は考えた。
指示を出したということは、自分は違う行動をするということだろう。
プルメリアの顔色があまりにも悪いのも、ひどく気になる。
このまま、彼女を1人で放置することは、正直躊躇われたのだが
「あなただけは、絶対に見つかってはならないのです!!」
緊迫したプルメリアの声が響くと同時に、コツコツとこの部屋に近づいてくる足音が聞こえてきた。
「早く!行って!!!」
プルメリアの声を合図に、子どもたちが私を引っ張る力が強くなる。
そのまま私は、子どもたちに身を任せる形で、プルメリアが行き来をしていた隣の部屋へと入り込んだ。
そして全く同じタイミングで
「……見つけたぞ……」
たった2日分しか聞いていないはずなのに、すでに覚えてしまった声が、突如として耳に入ってきた。
「こんなところまで、ようこそお越しくださいました……エディ王子……」
プルメリアの、動揺を隠せていないのがわかる声もまた、聞こえてきた。
プルメリアが、こんなにも狼狽えているのは初めて見た。
まだ軽く残っている、心臓の痛みを堪えながら、私は起き上がりながら
「どうしたんですか?」
と、尋ねると同時に
「聖女様!」
「大変!どうしよう!!」
「聖女様ー!!!」
今度はたくさんの子どもたちが、泣きながら入ってきた。
「みんな、こっちへいらっしゃい!」
プルメリアが子どもたちを抱き寄せながら
「何がありましたの?」
と尋ねた。
「金髪の人が、お馬に乗って畑を荒らすんだ……!」
「にんじんさんが、ぐちゃぐちゃになっちゃった……」
子どもたちが泣きながら、必死に状況を説明してくれていた。
そして、気にしなくてはいけないワードが、ここまでにいくつも出てきた。
王家の紋章がついた服。
金髪の人。
馬に乗る。
(ま……まさか……?)
ちらりと、プルメリアの顔を見る。
プルメリアもまた、私を見ていた。
「なんてこと……」
プルメリアは、子どもたちの中で最も身長が高い子の肩を揺さぶりながら
「他には?誰かいましたの?」
その子は、首をぶんぶん振ると
「いないよ……!金髪の人だけ……でも、すっごく怖くて……」
プルメリアは、その子をぎゅっと抱きしめてやりながら
「大丈夫ですわ……私がおりますから……」
と言った。そしてすぐにその子と視線を合わせるように屈むと
「いい?今から私のいう通りに動いてくださいましね」
プルメリアは、私とアザレアを指差しながら
「みんなの力で、カサブランカ様とアザレアを、あの部屋に隠してくださいまし」
(あの……部屋?)
「分かった!」
子どもたちは、その言葉だけで何を意味しているのか分かったのだろう。
2人の子供たちが、私の手を掴んで
「カサブランカ様、こっち!」
「急いで!」
ぐいぐいと私を立ち上がらせようとする。
身長が高めの子は、アザレアを頑張って背負おうとしていた。
(そ、そんな体格差があるから、背負うのは無理じゃないか……!?)
と考えていたのだが、その心配は杞憂で、ひょいと背負いあげていた。
アザレアが細身のためなのか、その子の力が強いのは分からないが、特に心配なさそうだ。
それより心配なのは、プルメリアの方だと私は考えた。
指示を出したということは、自分は違う行動をするということだろう。
プルメリアの顔色があまりにも悪いのも、ひどく気になる。
このまま、彼女を1人で放置することは、正直躊躇われたのだが
「あなただけは、絶対に見つかってはならないのです!!」
緊迫したプルメリアの声が響くと同時に、コツコツとこの部屋に近づいてくる足音が聞こえてきた。
「早く!行って!!!」
プルメリアの声を合図に、子どもたちが私を引っ張る力が強くなる。
そのまま私は、子どもたちに身を任せる形で、プルメリアが行き来をしていた隣の部屋へと入り込んだ。
そして全く同じタイミングで
「……見つけたぞ……」
たった2日分しか聞いていないはずなのに、すでに覚えてしまった声が、突如として耳に入ってきた。
「こんなところまで、ようこそお越しくださいました……エディ王子……」
プルメリアの、動揺を隠せていないのがわかる声もまた、聞こえてきた。
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