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7.呪われしアルストメリー

聖女への疑惑

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目の前に、苦しんでいる人がいた時。
普通、人はこう声かけるのではないだろうか?

「何がありましたか?」
「どうかしましたか?」
「どこが痛いですか?」

ところが、プルメリアはこれらをすっ飛ばして

「何を考えた?」

と聞いてきた。
この世界は、私が持つ常識とはかけ離れていることは分かっている。
それでも、他人の行動や発言に対しての反応は共通している。
悲しんでいる人を見かけたら、どうしたの?と声をかける。
素晴らしいことをしている人を見かけたら、ありがとうと声をかける。
そういう、コミュニケーション面は、個人の性格もあるものの、私が知っている内容とそう変わりはないと考えている。

だからこその、違和感。
そして迷い。
言うべきなのだろうか、この人に。

今私は、ノアのことを考えました。
そして、忘れている可能性があるものがないかを、考えました。
と。

でも、どちらにしても今は何かを話せるような状況ではない。
心臓の痛みを、必死に抑えることで精一杯。

「お待ちくださいましね」

プルメリアは、私の全身をくまなく見てから、すぐに心臓の真上に手をあてた。
それから、すうっと息を吸ってから、胸を押さえている手に力を込めると同時に、息を吐いた。

その瞬間、私の心臓から、痛みが少し消えた。

「あ、ありがとう……ございます……」

と、話せるようになった。
プルメリアは、はぁ……はぁ……と、荒い息をしながら

「これで……安心ですわ……」

私は、迷った。
聞くべきだろうか。
それとも聞くべきではないのだろうか。
さっきの言葉の意味を。

私の仮説がもしも正しければ
プルメリアは……何かを考えることで、私がこの状態になる……という可能性を知っていたことになる。
その何か……についてプルメリアが知っているかどうかはともかく。

ノアへの疑惑が生まれたように、プルメリアへの疑惑もまた、私の中に芽生えたその時だった。

「聖女様!!!」

10歳くらいの子供の1人が、急に飛び込んできた。

「どうしましたの?」

プルメリアは、私の体を丁寧の横に倒してしてからすぐ、子供に駆け寄った。
子供は泣きながらプルメリアに抱きつき

「どうしよう!見つかった!!」
「なんですって……!?誰に見つかったんですの!?」

私からはプルメリアの顔は見えない。
でも、声から……明らかに只事ではないことが伝わってきた。

「どうしよう……!あのお洋服に……王家の紋章が……!」
「まさか……!」

プルメリアは、私の方に振り返った。
まるでお化けでも見るかのように、その顔には恐怖が宿っていた。
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