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7.呪われしアルストメリー
彼こそが、アルストメリー王家直系の先祖
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こうして、6人が集まり、作っていた鍋も全員で平らげたところで
「おい、お前ら。ちょっと寒くねえか?」
とメルキオールが声をかけた。
ふと空を見ると、さっきまで広がっていたはずの青空に雲がかかっていた。
「あー……雨が降るかもなぁ……」
「雨が降るな」
アルフィーとメルキオールは、同時に同じことを言った。
「え?お前も分かるの?」
メルキオールが、目を輝かせてアルフィーに尋ねた。
「あ、ああ……雲の色が黒いから……たぶん……そうじゃないかと……」
アルフィーの頭の中には、天気の仕組みは完璧に入っていた。
もちろん、文献として残されているものだけではあったが。
とはいえ、その文献には「予測はあくまで予測でしかないから、100%当たるとは限らない」とも書かれていた。
「へえ、雲の色で雨が降るかどうかなんて分かるもんなのか?」
「は?」
アルフィーは驚いた。
てっきり、メルキオールが自分と同じ知識を知っていたから、同じ仮説を導き出したと思っていたから。
それをアルフィーが言うと、メルキオールは「がはははは」と豪快に笑いながら
「ま、ここにいる奴らなら、大丈夫そうかなぁ……?」
などと呟いた。
「なあ、お嬢ちゃん」
メルキオールが、ルカに顔を向けると
「お前の言う神様って奴は、何て言ってんだ?」
と尋ねた。ルカは大きく縦に頷く。
「大丈夫って、言ってるよ!」
「そうかそうか。じゃあまあ……いっか」
そう言うと、メルキオールがすっと立ち上がった。
何が始まるんだ?と、誰しもがメルキオールに注目した。
メルキオールは、手を空に掲げて、目を瞑る。
それから、何かぶつぶつと、言葉のようなものを呟いている。
何を言っているからは、小さすぎて聞こえなかった。
でも、メルキオールがそれをしてから、急に空気が変わったのが分かった。
カタカタと、地面が震え出した。
「な、何だ!?」
「どうしたのかしら……?」
アルフィーとステラは、わかりやすく動揺した。
トラヴィスとリーサは、じっとメルキオールを見つめている。
そしてルカはと言うと
「うんうん。そうだねそうだね」
と、また空と話をしているようだった。
(何が始まるんだ……!?)
アルフィーが思った、その時。
ぽつり、と雨の一雫が、アルフィーの肩に落ちた。
その時
「いけええええええ!!」
メルキオールが急に叫び出したかと思うと、急に地面からたくさんの石が、メルキオールの周囲に集まってきた。
それからすぐ、大粒の、激しい雨が降り出したが、ここにいる全員が濡れることはなかった。
メルキオールの周囲に集まった石が、次々と屋根のように広がり、雨を防いでくれていたから。
これは、メルキオールが生まれ持っていた「自然」を操る魔。
水も、土も、炎も、風も、思いのまま操ることができる。
この時は、まだメルキオール自身は、その怖さに気づいていなかった。
そして、彼こそが、アルストメリー王家直系の先祖であった。
「おい、お前ら。ちょっと寒くねえか?」
とメルキオールが声をかけた。
ふと空を見ると、さっきまで広がっていたはずの青空に雲がかかっていた。
「あー……雨が降るかもなぁ……」
「雨が降るな」
アルフィーとメルキオールは、同時に同じことを言った。
「え?お前も分かるの?」
メルキオールが、目を輝かせてアルフィーに尋ねた。
「あ、ああ……雲の色が黒いから……たぶん……そうじゃないかと……」
アルフィーの頭の中には、天気の仕組みは完璧に入っていた。
もちろん、文献として残されているものだけではあったが。
とはいえ、その文献には「予測はあくまで予測でしかないから、100%当たるとは限らない」とも書かれていた。
「へえ、雲の色で雨が降るかどうかなんて分かるもんなのか?」
「は?」
アルフィーは驚いた。
てっきり、メルキオールが自分と同じ知識を知っていたから、同じ仮説を導き出したと思っていたから。
それをアルフィーが言うと、メルキオールは「がはははは」と豪快に笑いながら
「ま、ここにいる奴らなら、大丈夫そうかなぁ……?」
などと呟いた。
「なあ、お嬢ちゃん」
メルキオールが、ルカに顔を向けると
「お前の言う神様って奴は、何て言ってんだ?」
と尋ねた。ルカは大きく縦に頷く。
「大丈夫って、言ってるよ!」
「そうかそうか。じゃあまあ……いっか」
そう言うと、メルキオールがすっと立ち上がった。
何が始まるんだ?と、誰しもがメルキオールに注目した。
メルキオールは、手を空に掲げて、目を瞑る。
それから、何かぶつぶつと、言葉のようなものを呟いている。
何を言っているからは、小さすぎて聞こえなかった。
でも、メルキオールがそれをしてから、急に空気が変わったのが分かった。
カタカタと、地面が震え出した。
「な、何だ!?」
「どうしたのかしら……?」
アルフィーとステラは、わかりやすく動揺した。
トラヴィスとリーサは、じっとメルキオールを見つめている。
そしてルカはと言うと
「うんうん。そうだねそうだね」
と、また空と話をしているようだった。
(何が始まるんだ……!?)
アルフィーが思った、その時。
ぽつり、と雨の一雫が、アルフィーの肩に落ちた。
その時
「いけええええええ!!」
メルキオールが急に叫び出したかと思うと、急に地面からたくさんの石が、メルキオールの周囲に集まってきた。
それからすぐ、大粒の、激しい雨が降り出したが、ここにいる全員が濡れることはなかった。
メルキオールの周囲に集まった石が、次々と屋根のように広がり、雨を防いでくれていたから。
これは、メルキオールが生まれ持っていた「自然」を操る魔。
水も、土も、炎も、風も、思いのまま操ることができる。
この時は、まだメルキオール自身は、その怖さに気づいていなかった。
そして、彼こそが、アルストメリー王家直系の先祖であった。
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