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7.呪われしアルストメリー
黒い骸骨
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書かれていた文字は、知らないはずだった。
でも、分かる。
頭にスラスラと、流れ込んでくる。
これは、カサブランカの記憶が為せる技……なのかもしれない。
(早く続きを知らなくては)
急に焦りを感じたので、無意識に私がページをめくろうとすると、ノアが私を制止し、代わりにめくった。
特に何も書いていない、白紙の紙だった。
プルメリアとアザレア、2人の息を飲む音がはっきりと聞こえた。
(そうだ……触れると、恐ろしい呪いがかかるとか……)
アザレアがそう言った時
(まさか呪いなんて大袈裟な……)
とも思ったし
(何故ノアは触れても平気なんだろう……)
とも思った。
だけど、アザレアの言葉も意味は、ノアがもう1枚捲った直後分かってしまった。
「きゃー!!!」
ページの中から急に、黒い気のようなものが一斉に恐ろしい呻き声をあげてページから出てきた。
その黒い気には、目と口のような穴らしきものも見える。
まるで、黒い骸骨のようだ……とも思った。
「これは……」
プルメリアは一瞬たじろいだものの、さすが聖女といったところか。
肝の座り方がすごい。
どっしり構えている。
まじで中身何歳だよ。
一方のアザレアは、年齢相応に怯えていて、テーブルの下に隠れてしまった。
飴玉があったら、あげたくなる可愛さ。
そして私はというと……漏れそうになるのをどうにか堪えることができて、女としては安心していた。
カサブランカという美女にお漏らしさせるなんて……悍ましすぎる。
そういうプレイならいざ知らず……って、こんな時に何考えてんだ自分ー!!
「ノア。あれを」
「かしこまりました」
プルメリアとノアが目を合わせると、ノアが綺麗な細工を施した二の腕ほどの長さの瓶を取り出した。
(このでかい本といい、瓶といい……この人はどこにそんなものを隠し持っていたのか……)
後で聞いてみようかな、とか呑気なことを考えている間に、ノアはその瓶の蓋を開けて、黒い骸骨にぶっかけた。
水のような液体がどぼどぼと音をたてて落ちた。
「ちょっ!?本!濡れ!?」
「あれは、大丈夫ですのよ。じっと見ていてくださいまし」
私の動揺に気づいたプルメリアが、瞬時に私をフォローする。
この人まじ優秀……。
敵にしたくない。
ついていきます。
そしてプルメリアが言う通り、じっと見てると、本は濡れておらず、黒い骸骨に液体が吸収されていくのがわかった。
そして10秒程経ってから、変化が起きた。
ただの蠢いている黒い骸骨だったものが、徐々に色がつき始めた。
輪郭が生まれた。
目と、鼻と、口などの顔部分と体部分の区別がつくようになった。
黒い気は、全部違う顔をしていた。
ただ、男女の区別などはつかないけれど。
それから……。
「アルストメリー……滅びよ……滅びよ……」
「王家……許さない……」
と、ただの呻き声から、しっかりとした言葉が聞こえるようになった。
でも、分かる。
頭にスラスラと、流れ込んでくる。
これは、カサブランカの記憶が為せる技……なのかもしれない。
(早く続きを知らなくては)
急に焦りを感じたので、無意識に私がページをめくろうとすると、ノアが私を制止し、代わりにめくった。
特に何も書いていない、白紙の紙だった。
プルメリアとアザレア、2人の息を飲む音がはっきりと聞こえた。
(そうだ……触れると、恐ろしい呪いがかかるとか……)
アザレアがそう言った時
(まさか呪いなんて大袈裟な……)
とも思ったし
(何故ノアは触れても平気なんだろう……)
とも思った。
だけど、アザレアの言葉も意味は、ノアがもう1枚捲った直後分かってしまった。
「きゃー!!!」
ページの中から急に、黒い気のようなものが一斉に恐ろしい呻き声をあげてページから出てきた。
その黒い気には、目と口のような穴らしきものも見える。
まるで、黒い骸骨のようだ……とも思った。
「これは……」
プルメリアは一瞬たじろいだものの、さすが聖女といったところか。
肝の座り方がすごい。
どっしり構えている。
まじで中身何歳だよ。
一方のアザレアは、年齢相応に怯えていて、テーブルの下に隠れてしまった。
飴玉があったら、あげたくなる可愛さ。
そして私はというと……漏れそうになるのをどうにか堪えることができて、女としては安心していた。
カサブランカという美女にお漏らしさせるなんて……悍ましすぎる。
そういうプレイならいざ知らず……って、こんな時に何考えてんだ自分ー!!
「ノア。あれを」
「かしこまりました」
プルメリアとノアが目を合わせると、ノアが綺麗な細工を施した二の腕ほどの長さの瓶を取り出した。
(このでかい本といい、瓶といい……この人はどこにそんなものを隠し持っていたのか……)
後で聞いてみようかな、とか呑気なことを考えている間に、ノアはその瓶の蓋を開けて、黒い骸骨にぶっかけた。
水のような液体がどぼどぼと音をたてて落ちた。
「ちょっ!?本!濡れ!?」
「あれは、大丈夫ですのよ。じっと見ていてくださいまし」
私の動揺に気づいたプルメリアが、瞬時に私をフォローする。
この人まじ優秀……。
敵にしたくない。
ついていきます。
そしてプルメリアが言う通り、じっと見てると、本は濡れておらず、黒い骸骨に液体が吸収されていくのがわかった。
そして10秒程経ってから、変化が起きた。
ただの蠢いている黒い骸骨だったものが、徐々に色がつき始めた。
輪郭が生まれた。
目と、鼻と、口などの顔部分と体部分の区別がつくようになった。
黒い気は、全部違う顔をしていた。
ただ、男女の区別などはつかないけれど。
それから……。
「アルストメリー……滅びよ……滅びよ……」
「王家……許さない……」
と、ただの呻き声から、しっかりとした言葉が聞こえるようになった。
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