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7.呪われしアルストメリー
始まりは、5人の魔人
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「と言うわけで……僭越ながら、カサブランカ様との時間を1番長く過ごしたであろう、この私が、1から、すり合わせさせていただければと存じます」
ノアはそう言うと、いつから持っていたのか、分厚い書物を取り出し、テーブルの上にどかっと置いた。
表紙には文字も絵も何も書かれていない。
「ノア……あなたこれを持ち出したことが王族にバレたらどうなるか、分かってますのよね?」
(え、そんなやばいもんなん!?)
私は触ろうとした手を、ぎゅんっと引っ込めた。
「そもそも、カサブランカ様を城から連れ出した時点で、我々捕まったら縛首でしょう」
「ふふふ。そうですわね」
やべーよ。
この人たち、笑顔ですげえ怖いこと普通に言ってるよ。
やばすぎるよ。
「これは……何ですか?」
私は、おそるおそる尋ねてみた。
「この世界の封じられた歴史が全て書かれている禁書です」
「え!?」
「見たと知られれば、処刑もの、ですわ」
「っ……!?」
「触れるだけでも、かけられてる魔力で恐ろしい呪いがかかるとも……」
ノア、プルメリアに続いて、アザレアまでもが、私に脅しをかけてくる。
(み、見たくない……!)
「大丈夫ですわ、カサブランカ様」
「え?」
「そういうものは、全部このノアが引き受けてくださいますわ。ねえ、ノア」
「おや、お言葉ですが、我々のリーダーである聖女様にも、その一端を担っていただきたいのですが」
「私は、カサブランカ様をお守りする役目がございますもの」
「アザレアに任せれば良いかと」
(この2人は……仲が悪いんだろうか……?)
「あの!聖女様!ノア様!」
アザレアが、食堂中に響く大声をあげた。
「話がずれてます……カサブランカ様……大変困惑していらっしゃいます!早くお話を進めてください!」
アザレアが話し終わると、プルメリアもノアも呆然とアザレアを見ている。
(ありがとうアザレア。あなたのような、小動物のような子が叫ぶ効果は、絶大だ)
「……いけませんわね。……ではノア、とっととお話して差し上げてくださいませ」
(あ、聖女様めんどくさくなったのか)
「貸しですから」
(したり顔のノア。イケメンだけど、あれ私にやられたら腹立ちそう……)
「では、気を取り直して早速」
「へっ!?」
私から変な声が出てしまったが……無理もない。
ノアが躊躇いもなく、禁書に手を伸ばし、表紙を捲ったから。
(だ、大丈夫なんだろうか……)
ちらとノアの顔を見るが、涼しげな顔をしている。
そして私とノアが目が合ってしまい、ノアには目線だけで本を見るように促されてしまったので、私は視線を落とした。
最初に出てきたのは、横並びになっている5人の人間と、その上に丸いボールのような、円が描かれていた。
さらに、下にはこの文章が書かれていた。
アルストメリー。
始まりは、5人の魔人。
ノアはそう言うと、いつから持っていたのか、分厚い書物を取り出し、テーブルの上にどかっと置いた。
表紙には文字も絵も何も書かれていない。
「ノア……あなたこれを持ち出したことが王族にバレたらどうなるか、分かってますのよね?」
(え、そんなやばいもんなん!?)
私は触ろうとした手を、ぎゅんっと引っ込めた。
「そもそも、カサブランカ様を城から連れ出した時点で、我々捕まったら縛首でしょう」
「ふふふ。そうですわね」
やべーよ。
この人たち、笑顔ですげえ怖いこと普通に言ってるよ。
やばすぎるよ。
「これは……何ですか?」
私は、おそるおそる尋ねてみた。
「この世界の封じられた歴史が全て書かれている禁書です」
「え!?」
「見たと知られれば、処刑もの、ですわ」
「っ……!?」
「触れるだけでも、かけられてる魔力で恐ろしい呪いがかかるとも……」
ノア、プルメリアに続いて、アザレアまでもが、私に脅しをかけてくる。
(み、見たくない……!)
「大丈夫ですわ、カサブランカ様」
「え?」
「そういうものは、全部このノアが引き受けてくださいますわ。ねえ、ノア」
「おや、お言葉ですが、我々のリーダーである聖女様にも、その一端を担っていただきたいのですが」
「私は、カサブランカ様をお守りする役目がございますもの」
「アザレアに任せれば良いかと」
(この2人は……仲が悪いんだろうか……?)
「あの!聖女様!ノア様!」
アザレアが、食堂中に響く大声をあげた。
「話がずれてます……カサブランカ様……大変困惑していらっしゃいます!早くお話を進めてください!」
アザレアが話し終わると、プルメリアもノアも呆然とアザレアを見ている。
(ありがとうアザレア。あなたのような、小動物のような子が叫ぶ効果は、絶大だ)
「……いけませんわね。……ではノア、とっととお話して差し上げてくださいませ」
(あ、聖女様めんどくさくなったのか)
「貸しですから」
(したり顔のノア。イケメンだけど、あれ私にやられたら腹立ちそう……)
「では、気を取り直して早速」
「へっ!?」
私から変な声が出てしまったが……無理もない。
ノアが躊躇いもなく、禁書に手を伸ばし、表紙を捲ったから。
(だ、大丈夫なんだろうか……)
ちらとノアの顔を見るが、涼しげな顔をしている。
そして私とノアが目が合ってしまい、ノアには目線だけで本を見るように促されてしまったので、私は視線を落とした。
最初に出てきたのは、横並びになっている5人の人間と、その上に丸いボールのような、円が描かれていた。
さらに、下にはこの文章が書かれていた。
アルストメリー。
始まりは、5人の魔人。
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