176 / 455
7.呪われしアルストメリー
思い出せない
しおりを挟む
「あら、私の名前を覚えていてくださったのですね。光栄ですわ」
そう言うと、プルメリアは起きあがろうとしていた私に、1枚の布のようなものを渡した。
「こんなものでも、着ないよりはマシですわ」
言われて気づいた。
私は、すっぽんぽん状態でベッドに寝かされ、薄い毛布のようなもので辛うじてこの体が隠されていただけに過ぎなかった、ということを。
(ここは……一体……?)
狭いながらも物を書くための木製の机と椅子と本棚があり、そこには数冊の本が収められているのが、見えた。
質素ながらも可愛らしいクリーム色のカーテン、木製のクローゼットに……自分が横たわっているであろう、少し動くだけでギシギシと軋むベッド。
壁は灰色の石でできているように見えたので…全体的に暗い印象は否めない。
それでも、日光がカーテン越しに柔らかく入ってくる。
温かく柔らかい空気に満ちている。
まさに、人間が生活するための部屋だった。
そうして、私は思い出した。
(そうだ、私伽の最中だったはず……)
つい先ほどまで、エディ王子と向かい合っていた。
裸で。
義務としての伽をこなすために。
エディ王子のアレがなかなか勃たなくて、私が辛うじて得ていた耳年増な知識を総動員して頑張った……というところまでは覚えているけれど……その後の記憶がすっぽりない。
「あれ……?」
思い出そうとしてみた。
その後のことを。
エディ王子が、すごく悲しそうな顔で私に何かを言っていた。
でもそれが一体何なのか、まるで分からない。
それは、とても大事なことのような気がするのに……。
「カサブランカ様?どうなさいました?」
「え……?」
「顔色が真っ青ですわ」
「あ……ええと……」
何だこれは。
急に、ショベルカーか何か、大きなスコップのようなもので心が、記憶が抉られたような気がする。
でも、確信がない。
それにさっきから胸騒ぎとは、少し違う……言葉にするのが難しい、得体の知れない嫌な気が私の体にある。
分からない。
これは一体、何だ?
私に……この体に……何が起きた?
そう考えた時だった。
「大丈夫ですわ、カサブランカ様」
プルメリアが、私をそっと抱きしめてくれた。
ふわりと、ハーブのような、柔らかい植物の香りがした。
カサブランカとしてつけさせられている、強い香りとは違う、自然で優しい香り。
その香りを嗅いだおかげで……ふっと……心が落ち着いた。
そう言うと、プルメリアは起きあがろうとしていた私に、1枚の布のようなものを渡した。
「こんなものでも、着ないよりはマシですわ」
言われて気づいた。
私は、すっぽんぽん状態でベッドに寝かされ、薄い毛布のようなもので辛うじてこの体が隠されていただけに過ぎなかった、ということを。
(ここは……一体……?)
狭いながらも物を書くための木製の机と椅子と本棚があり、そこには数冊の本が収められているのが、見えた。
質素ながらも可愛らしいクリーム色のカーテン、木製のクローゼットに……自分が横たわっているであろう、少し動くだけでギシギシと軋むベッド。
壁は灰色の石でできているように見えたので…全体的に暗い印象は否めない。
それでも、日光がカーテン越しに柔らかく入ってくる。
温かく柔らかい空気に満ちている。
まさに、人間が生活するための部屋だった。
そうして、私は思い出した。
(そうだ、私伽の最中だったはず……)
つい先ほどまで、エディ王子と向かい合っていた。
裸で。
義務としての伽をこなすために。
エディ王子のアレがなかなか勃たなくて、私が辛うじて得ていた耳年増な知識を総動員して頑張った……というところまでは覚えているけれど……その後の記憶がすっぽりない。
「あれ……?」
思い出そうとしてみた。
その後のことを。
エディ王子が、すごく悲しそうな顔で私に何かを言っていた。
でもそれが一体何なのか、まるで分からない。
それは、とても大事なことのような気がするのに……。
「カサブランカ様?どうなさいました?」
「え……?」
「顔色が真っ青ですわ」
「あ……ええと……」
何だこれは。
急に、ショベルカーか何か、大きなスコップのようなもので心が、記憶が抉られたような気がする。
でも、確信がない。
それにさっきから胸騒ぎとは、少し違う……言葉にするのが難しい、得体の知れない嫌な気が私の体にある。
分からない。
これは一体、何だ?
私に……この体に……何が起きた?
そう考えた時だった。
「大丈夫ですわ、カサブランカ様」
プルメリアが、私をそっと抱きしめてくれた。
ふわりと、ハーブのような、柔らかい植物の香りがした。
カサブランカとしてつけさせられている、強い香りとは違う、自然で優しい香り。
その香りを嗅いだおかげで……ふっと……心が落ち着いた。
0
お気に入りに追加
570
あなたにおすすめの小説


転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる