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5.私の本当のミッション
会話の主導権
しおりを挟む「……必要な記憶だけを残すって……?」
つまり……。
例えば私の事例であれば……。
会社で先輩に怒られた記憶は全てすっかり無くして、TL小説の甘いエロシーンの記憶だけを残す……ということだろうか。
……どうして、そんな事例しか頭に思い浮かばないのか……と自分で自分が悲しくなりそうだった。
私の考えているくだらないことなんて、ノアはきっと想像もつかないだろう。
「カサブランカ様は、あなたの魂を入れる直前に、一部の記憶を除いて全て消すと……おっしゃいました」
「それはどうして……?」
「カサブランカ様の記憶の中には、カサブランカ様だけしか知ってはいけない秘密があるからて」
秘密……。
それは、カサブランカが大人になるまでに受けた、数々の仕打ちの事ではないのか?
それはそれで、十分に秘密にしないといけない事実だ。
「それは……一体どういうものなんですか?
「さあ」
さあって。
瞬時に返答された。
「カサブランカ様にしか、わからないかと」
「ノアさ……ごほん。ノアは、聞いたことないんですか?」
「私がカサブランカ様に仕え、快楽を教え込みましたが……」
真面目な話に、いきなりエロ系の話をぶち込んでくるのはやめてくれ。
準備していない分、びくって反応しちゃうじゃないか。
「カサブランカ様の方から私にカサブランカ様について教えていただいた事は……今回が初めてでした」
「今回が、初めて?」
「はい」
だめだ。
もう、頭がついていかない。
なので。
「……ごめん、ノア。一度、情報の整理させて、ください」
これ以上、完全に理解していない情報を一方的に詰め込まれると、頭がパンクする。
そのため、会話の主導権を無理やり私は奪い取った。
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