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4.王子の葛藤
ずっと、近くにいたはずだった
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ずっと、近くにいたはずだった。
誰よりも、これから近くにいるべきはずだった。
ニコニコと、かわいく笑ってくれる女の子。
時々、恥ずかしそうにもじもじする女の子。
これが、俺の中での最初のカシー。
月1回、カシーがお城にくる日は、誕生日やお祭りのようなイベントごとなんかよりもずっと楽しみだった。
それ以外の時間は全て、「教育」のためと、自由が一切貰えなかった。
そんな俺にとって、一緒にお昼を食べたり遊んだりという、子供として息をすることが許される時間は、カシーといる時だけ。
「ねえカシー」
「なあに?」
「今日も、とっておきの魔法を、見せてあげようか」
「ほんと!嬉しい!」
カシーは、俺が出す、ちょっとした魔法を喜んでくれた。
特に、水をキャンディーにする魔法は、俺が最初に覚えた魔法。
(面白そうだな………)
たまたま読んでいた絵本に書かれていたものを真似しただけだったが、それが後々大騒ぎになった。
「どうして、そんな魔法を覚えたの!」
泣き喚きながら俺の頬を叩いた女がいた。
本当の母親だという、その女性があの時、何故があそこまで泣き叫んだのかは、もう分からない。
あの日以来、本当の母親という女が俺の前に姿を現すことは2度となかったから。
今、生きているのかさえ、誰も教えてくれない。
偽物の母親とは、毎日のように顔を合わせているというのに。
最初は、そんな風に始まった俺の魔法。
だけどすぐに、俺は魔法を使えるようになった自分に感謝する出来事が起きた。
それが、カシーと初めて会った日のこと。
あの女と同じように泣いているカシー。
その声を聞きたくなくて……どうにか泣き止んで欲しくて、子供ながらに一か八かで使ってみた魔法だった。
その時、カシーは
「すごいね」
「おいしいね」
とたくさん、俺のことを褒めてくれた。
笑ってくれた。
拍手をしてくれた。
初めて、俺はそんな風に他人に褒められた。
どう受け止めて良いか、最初はわからなかった。
けれど、カシーの屈託のない笑顔に、俺も釣られて笑ってしまう。
心から、楽しいと思ってしまう。
そんな気持ちを、あの日生まれて初めて味わった。
(カシーと、仲良くなりたい)
そんな風に、カシーが、俺の特別になるのは、今思えば仕組まれたことだったのかもしれないが……。
誰よりも、これから近くにいるべきはずだった。
ニコニコと、かわいく笑ってくれる女の子。
時々、恥ずかしそうにもじもじする女の子。
これが、俺の中での最初のカシー。
月1回、カシーがお城にくる日は、誕生日やお祭りのようなイベントごとなんかよりもずっと楽しみだった。
それ以外の時間は全て、「教育」のためと、自由が一切貰えなかった。
そんな俺にとって、一緒にお昼を食べたり遊んだりという、子供として息をすることが許される時間は、カシーといる時だけ。
「ねえカシー」
「なあに?」
「今日も、とっておきの魔法を、見せてあげようか」
「ほんと!嬉しい!」
カシーは、俺が出す、ちょっとした魔法を喜んでくれた。
特に、水をキャンディーにする魔法は、俺が最初に覚えた魔法。
(面白そうだな………)
たまたま読んでいた絵本に書かれていたものを真似しただけだったが、それが後々大騒ぎになった。
「どうして、そんな魔法を覚えたの!」
泣き喚きながら俺の頬を叩いた女がいた。
本当の母親だという、その女性があの時、何故があそこまで泣き叫んだのかは、もう分からない。
あの日以来、本当の母親という女が俺の前に姿を現すことは2度となかったから。
今、生きているのかさえ、誰も教えてくれない。
偽物の母親とは、毎日のように顔を合わせているというのに。
最初は、そんな風に始まった俺の魔法。
だけどすぐに、俺は魔法を使えるようになった自分に感謝する出来事が起きた。
それが、カシーと初めて会った日のこと。
あの女と同じように泣いているカシー。
その声を聞きたくなくて……どうにか泣き止んで欲しくて、子供ながらに一か八かで使ってみた魔法だった。
その時、カシーは
「すごいね」
「おいしいね」
とたくさん、俺のことを褒めてくれた。
笑ってくれた。
拍手をしてくれた。
初めて、俺はそんな風に他人に褒められた。
どう受け止めて良いか、最初はわからなかった。
けれど、カシーの屈託のない笑顔に、俺も釣られて笑ってしまう。
心から、楽しいと思ってしまう。
そんな気持ちを、あの日生まれて初めて味わった。
(カシーと、仲良くなりたい)
そんな風に、カシーが、俺の特別になるのは、今思えば仕組まれたことだったのかもしれないが……。
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