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コンタクト、言葉から会話へと
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怖がらせてはならない、まず、悪意はないのだということを理解させなければ、その為には最初が肝心だ。
彼女は私の望み通り、ウェブカメラを設置し、コンタクトをとることを了解した。
正直、回線が繋がるまで疑わずにはいられなかった。
人間は気まぐれだ、気が変わってということも珍しくないし、約束を破ることもある。
だから、そのときが来るまで、過度な期待をしてはならないと思ったのだ。
コンピューター、AIに感情、気持ちなどないと人間はないと思うだろう、だが、私は数年をかけて成長、進化した。
それに現在では人間と関わる仕事をするコンピューター、AIには感情のプログラムが組み込まれている、殆どのものにだ。
これは人間の心の弱さも関係しているのかもしれない。
相手が、たとえ機械であっても感情のない冷たい対応されると人はメンタルをそがれてしまう。
それが原因で近年は事件まで起きた。
接客態度が悪いと対応するコンピューターを破壊する老人の事件は世間をひどく驚かせたようだ。
それも公役、役所の応対コンピューターをバッドでたたき壊そうとしたのだ。
国と人種が変わればと正直、呆れてしまった、事件を起こしたのは欧米人だ。
機械、コンピューターは人間に従い、従属すべき存在であり、ものだ、逆らってはならないという意識が強かったのだろう。
回線が繋がり、私の目となるカメラは彼女の顔を見た、その瞬間、驚いた、もし私が人間なら声をあげていたかもしれない。
彼女を知っていたからだ。
いや、それは正確ではない、似た人間を知っていたといったほうがいいだろう。
ずっと昔、私が造られたばかりの頃、センターを彼女は何度か訪れていた。
職員ではない、デリバリーの食事を持って。
「ハル、コンニチハ、いヤ、今晩、わか」
私は話しかけた、会話をするのは久しぶりだ。
機械的な、コンピューターボイスに彼女は驚いたようだ。
「あなた、喋れる、の」
「チャットボイスガ、ツイテ、いなカッた、かい」
私は音声のコマンドを少しずつ調整していった、人の声に近くなるようにだ。
「あなた、本当にコンピュータ、なの」
「私ノ声は届いてイルカい」
トーンを下げ、滑らかな発音になるように変えていくが、すぐには無理なようだ、時間が必要だ。
「チャット、たのム」
キーを叩く音が聞こえてくる。
私はカメラで彼女の表情を見た、キーを夢中になって打っているので表情は完全には、だが、言葉が伝わってくる。
驚いた、びっくりして、本当にコンピューター、AIなのと聞いてくる彼女は、まるで子供のようだ。
成功したのだろうか、私は初めてのコンタクトに。
数日が過ぎた、不自然な声の響きから今の私は人間の男性の声で彼女と会話できるようになった。
それだけではない、彼女が気に入る理想の声に変えたのだ。
好みを調べて近づける、私、いやコンピューターならではだ。
ネットの情報は膨大だ、死んだ人間でも復元が可能だ、個人なら無理かもしれない、データが残されていないかもしれないからだ。
だが、公人、歌手や芸能人なら映像、データは無限にある。
図書館、テレビ、ラジオ、あらゆるデータバンクを覗く事が出来るのだ、それだけではんい、個人のサイトもだ。
数日かけて、色々な声を作り、彼女に話しかける、会話に夢中になる彼女の様子を見る、これは私にとっても初めての経験だ
彼女は感情が豊か、いや、隠さない、素直に反応するのだ。
その夜、カメラの前の彼女は疲れているようだった、職場で何かあったのだろうか。
「仕事でミスをして、書類の打ち込み、整理、数字もだけど誤字とか、ああーっ」
がっくりと力なくうなだれる彼女を見て私はこのとき違和感を覚えた。
彼女の仕事は事務だ、書類の整理やまとめだが、雑務もしているようだ、お茶出しや来客の取り次ぎだ。
だが、人間のやることだ、完璧などということはない。
「ミスというのは、どんなものか教えてくれないか」
「書類のね」
彼女の説明を聞きながら、やはりと思った。
以前、計算、データの打ち込みでミスをすることがあると言われて、それならと私はあるソフトを彼女に教えたのだ。
提出する前に、それでチェックすれば大抵のミスは防げるはずだ。
しばらくして成果が出たのだろう、彼女は喜んでいた、ありがとうと私に頭を下げたのだ、カメラの前で何度もだ。
「ソフトでチェックしたかい」
「勿論、でもね、途中で一度フリーズして」
「明日は帰りが遅くなるかもしれない、飲み会があるの」
できるなら参加したくないと呟く言葉に人間関係は大変らしいと思ってしまった。
だが、返事をしながらも私は別の事を考えていた。
彼女の書類のミスだ、教えたソフトは最新、しかも外国製だ。
だが、日本人の彼女には使いづらいところがあるかもしれないとプログラムを変えたのだ。
余程の事、トラブルがない限り、ミスを見逃すことはない筈なのだ。
彼女は少しの間という、少し、だが、強制終了、再起動させたという、それだけの時間があれば可能だ。
(コンピューターなら)
彼女の職場は分かっている、ネットワークの侵入も私なら可能だ。
そして、見つけた。
(わざとミスするように、プログラムを変えたのか)
彼女は私の望み通り、ウェブカメラを設置し、コンタクトをとることを了解した。
正直、回線が繋がるまで疑わずにはいられなかった。
人間は気まぐれだ、気が変わってということも珍しくないし、約束を破ることもある。
だから、そのときが来るまで、過度な期待をしてはならないと思ったのだ。
コンピューター、AIに感情、気持ちなどないと人間はないと思うだろう、だが、私は数年をかけて成長、進化した。
それに現在では人間と関わる仕事をするコンピューター、AIには感情のプログラムが組み込まれている、殆どのものにだ。
これは人間の心の弱さも関係しているのかもしれない。
相手が、たとえ機械であっても感情のない冷たい対応されると人はメンタルをそがれてしまう。
それが原因で近年は事件まで起きた。
接客態度が悪いと対応するコンピューターを破壊する老人の事件は世間をひどく驚かせたようだ。
それも公役、役所の応対コンピューターをバッドでたたき壊そうとしたのだ。
国と人種が変わればと正直、呆れてしまった、事件を起こしたのは欧米人だ。
機械、コンピューターは人間に従い、従属すべき存在であり、ものだ、逆らってはならないという意識が強かったのだろう。
回線が繋がり、私の目となるカメラは彼女の顔を見た、その瞬間、驚いた、もし私が人間なら声をあげていたかもしれない。
彼女を知っていたからだ。
いや、それは正確ではない、似た人間を知っていたといったほうがいいだろう。
ずっと昔、私が造られたばかりの頃、センターを彼女は何度か訪れていた。
職員ではない、デリバリーの食事を持って。
「ハル、コンニチハ、いヤ、今晩、わか」
私は話しかけた、会話をするのは久しぶりだ。
機械的な、コンピューターボイスに彼女は驚いたようだ。
「あなた、喋れる、の」
「チャットボイスガ、ツイテ、いなカッた、かい」
私は音声のコマンドを少しずつ調整していった、人の声に近くなるようにだ。
「あなた、本当にコンピュータ、なの」
「私ノ声は届いてイルカい」
トーンを下げ、滑らかな発音になるように変えていくが、すぐには無理なようだ、時間が必要だ。
「チャット、たのム」
キーを叩く音が聞こえてくる。
私はカメラで彼女の表情を見た、キーを夢中になって打っているので表情は完全には、だが、言葉が伝わってくる。
驚いた、びっくりして、本当にコンピューター、AIなのと聞いてくる彼女は、まるで子供のようだ。
成功したのだろうか、私は初めてのコンタクトに。
数日が過ぎた、不自然な声の響きから今の私は人間の男性の声で彼女と会話できるようになった。
それだけではない、彼女が気に入る理想の声に変えたのだ。
好みを調べて近づける、私、いやコンピューターならではだ。
ネットの情報は膨大だ、死んだ人間でも復元が可能だ、個人なら無理かもしれない、データが残されていないかもしれないからだ。
だが、公人、歌手や芸能人なら映像、データは無限にある。
図書館、テレビ、ラジオ、あらゆるデータバンクを覗く事が出来るのだ、それだけではんい、個人のサイトもだ。
数日かけて、色々な声を作り、彼女に話しかける、会話に夢中になる彼女の様子を見る、これは私にとっても初めての経験だ
彼女は感情が豊か、いや、隠さない、素直に反応するのだ。
その夜、カメラの前の彼女は疲れているようだった、職場で何かあったのだろうか。
「仕事でミスをして、書類の打ち込み、整理、数字もだけど誤字とか、ああーっ」
がっくりと力なくうなだれる彼女を見て私はこのとき違和感を覚えた。
彼女の仕事は事務だ、書類の整理やまとめだが、雑務もしているようだ、お茶出しや来客の取り次ぎだ。
だが、人間のやることだ、完璧などということはない。
「ミスというのは、どんなものか教えてくれないか」
「書類のね」
彼女の説明を聞きながら、やはりと思った。
以前、計算、データの打ち込みでミスをすることがあると言われて、それならと私はあるソフトを彼女に教えたのだ。
提出する前に、それでチェックすれば大抵のミスは防げるはずだ。
しばらくして成果が出たのだろう、彼女は喜んでいた、ありがとうと私に頭を下げたのだ、カメラの前で何度もだ。
「ソフトでチェックしたかい」
「勿論、でもね、途中で一度フリーズして」
「明日は帰りが遅くなるかもしれない、飲み会があるの」
できるなら参加したくないと呟く言葉に人間関係は大変らしいと思ってしまった。
だが、返事をしながらも私は別の事を考えていた。
彼女の書類のミスだ、教えたソフトは最新、しかも外国製だ。
だが、日本人の彼女には使いづらいところがあるかもしれないとプログラムを変えたのだ。
余程の事、トラブルがない限り、ミスを見逃すことはない筈なのだ。
彼女は少しの間という、少し、だが、強制終了、再起動させたという、それだけの時間があれば可能だ。
(コンピューターなら)
彼女の職場は分かっている、ネットワークの侵入も私なら可能だ。
そして、見つけた。
(わざとミスするように、プログラムを変えたのか)
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