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父親でなくなった男は、家族になれない現実を、最期になって知った
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お父さんを呼んできて、母親に言われて子供は応接間に向かうとソファーに座ったままの父親は熱心にスマホをいじっている、まただと思いながらも子供は自分の感情を顔には出さなかった。
多分、声をかけても気づかないだろうと思いながらも一応はと重いかける、だが、小さな声なので父親は気づかない。
いや、気づいたとしても後から行くというだろう、いつものことだ。
台所に戻って母にゲームだよと伝えると仕方ないわねという顔をされ、先に食べましょうと言われてしまった。
母も最近では諦めてしまったのだろうと子供は思った。
感心するのは父親の態度だ、飽きないというより病気だなんて思ってしまう(ゲーム依存症っていうのだろうか)
そのくせ、ゲームの成績、レベルは良いとはいえない、それを知ったのは最近のことだ、暮らすの友人から教えて貰ったのだ。
父親のやってるゲームは人気があるようで、クラスの生徒も数人がやっているらしい、しかもレベルは高い。
最近はスマホ、携帯のゲームも課金制度が厳しくなり、登録するのも実名というところもある。
「長くやっていて、このレベルなら辞めた方がいい、小学生で課金、中毒でネットで問題になったんだよ、表向きは隠しているけど、裏の掲示板で問題になっているんだよ、歯止めのきかない人間は行き着くとこまでいくから」
友人から聞かされた話に凄いね、でも、自分が言っても無理だと思う、会社から帰ったらずっとゲームばかりしているよと話すと友人はしばし、無言になった後。
「・・・・・・かもな」
と呟いたのだ。
母は、そんな父に愛情があるのだろうか、仕方ないと呟くが、それは一種の諦めのようにも感じられて、思ってしまったのだ、嫌だなと。
そしてだんだんと、その感情は大きくなっていくが、もしかしたら最期まで行き着いてしまったのかもしれない、嫌悪というものに。
「父さんのこと、好き」
片手の数にも満たない年の頃に訊ねると母は笑っていたが、今は、その曖昧に濁す笑顔さえない、どうかしらと言われてしまっては返す言葉もない。
子供の頃ならば、だが、今の自分はわかってしまったのだ、ああ、母も自分と同じ気持ちなのだと。
久しぶりに祖父のいるマンションへ家族そろって遊びに出かけたのは久しぶりだった、来年は受験ということもあり、孫のことを心配したのだろう。
「あれ、珍しいね、ご飯、食べるの、一緒に」
息子の言葉に父親は不思議そうに、どうしてだと訊ねた、折角だからと祖父は出前の寿司をとってくれたのだ、そして父は当たり前のように食卓に現れたのだ。
「だって、いつもスマホでゲームに夢中で一人で食べているじゃない、食べながらゲームしてるし」
孫の言葉に祖父は驚いた顔で息子を見るとわずかに顔をしかめた、どういうことだと睨みつけるような表情になった。
「祐介は、そんなにゲームが好きなのか」
祖父の言葉に子供は頷きながら、ランクは高くないから課金ばかりしてるよと子供は笑った。
「お寿司なら冷めないし、あっちで食べたら」
父親の表情が変わったが息子は気にする事なく言葉を続けた。
「仕事の鬱憤をゲームで憂さ晴らし、駄目人間なんて言われてるんだよ」
息子の言葉に父親は初めて声を荒げたが、本当のことだよと平然とした顔で息子は祖父を見た。
「クラスメイトが教えてくれたんだ、やめさせた方が良いって」
父親は何か言いかけて黙りこんだ、それは視線を感じたからだ、自分の父親が、まるで、異物を見るような目で自分を。
続けていたってレベルは上がらないだろうって言われているんだよ、ぐさりと胸に突き刺さるような言葉、小さな子供なら決して口にはしないだろう、だが、もうすぐ高校を卒業する歳だ。
「ゲーム依存症どころじゃない、廃人になるよって、でも、そうなったらどうするんだろう、ね」
息子に笑顔を向けられて父親は黙りこんだ。
「母さん、別れたほうがいいよ」
離婚した方がいいよと言われて夫は妻を見たが、だが、自分の方を見る事もなく、妻は言った。
「そんなことより、食べましょう、お吸い物が、茶碗蒸し、冷めてしまうわ」
父親は、このとき初めて妻を見た、そんなこと、だと。
夫に対して、いや、息子の言葉を責める事もしない妻に夫である男は文句を言おうとした、だが、言葉が出てこない。
「そうだな、食べよう」
この話は後だと言わんばかりに、自分の父親の言葉に息子と妻が箸を取り、食事を始めた。
食事をする気分ではない、父親から名前を呼ばれても男は目の前の光景を見ていることしかできない、三人は自分の家族、の筈だった。
だが、今、自分の目の前で食事をしている彼らはどうだろうか。
「どうした、祐介」
父親に名前を呼ばれ、そちらを向くと自分を見る視線に男は逃げるように顔を背けてしまった。
自分が、これから先どうなるのか、どうなるのか、仕事から帰って気晴らしに始めたゲーム、できることなら逃げてしまいたい、(ゲームの世界に)。
そんな事を思いながら箸をとり、食べようとした、だが、そう思っただけで、男の手は動かなかった。
これから先の事を考え、震えていたからだ。
多分、声をかけても気づかないだろうと思いながらも一応はと重いかける、だが、小さな声なので父親は気づかない。
いや、気づいたとしても後から行くというだろう、いつものことだ。
台所に戻って母にゲームだよと伝えると仕方ないわねという顔をされ、先に食べましょうと言われてしまった。
母も最近では諦めてしまったのだろうと子供は思った。
感心するのは父親の態度だ、飽きないというより病気だなんて思ってしまう(ゲーム依存症っていうのだろうか)
そのくせ、ゲームの成績、レベルは良いとはいえない、それを知ったのは最近のことだ、暮らすの友人から教えて貰ったのだ。
父親のやってるゲームは人気があるようで、クラスの生徒も数人がやっているらしい、しかもレベルは高い。
最近はスマホ、携帯のゲームも課金制度が厳しくなり、登録するのも実名というところもある。
「長くやっていて、このレベルなら辞めた方がいい、小学生で課金、中毒でネットで問題になったんだよ、表向きは隠しているけど、裏の掲示板で問題になっているんだよ、歯止めのきかない人間は行き着くとこまでいくから」
友人から聞かされた話に凄いね、でも、自分が言っても無理だと思う、会社から帰ったらずっとゲームばかりしているよと話すと友人はしばし、無言になった後。
「・・・・・・かもな」
と呟いたのだ。
母は、そんな父に愛情があるのだろうか、仕方ないと呟くが、それは一種の諦めのようにも感じられて、思ってしまったのだ、嫌だなと。
そしてだんだんと、その感情は大きくなっていくが、もしかしたら最期まで行き着いてしまったのかもしれない、嫌悪というものに。
「父さんのこと、好き」
片手の数にも満たない年の頃に訊ねると母は笑っていたが、今は、その曖昧に濁す笑顔さえない、どうかしらと言われてしまっては返す言葉もない。
子供の頃ならば、だが、今の自分はわかってしまったのだ、ああ、母も自分と同じ気持ちなのだと。
久しぶりに祖父のいるマンションへ家族そろって遊びに出かけたのは久しぶりだった、来年は受験ということもあり、孫のことを心配したのだろう。
「あれ、珍しいね、ご飯、食べるの、一緒に」
息子の言葉に父親は不思議そうに、どうしてだと訊ねた、折角だからと祖父は出前の寿司をとってくれたのだ、そして父は当たり前のように食卓に現れたのだ。
「だって、いつもスマホでゲームに夢中で一人で食べているじゃない、食べながらゲームしてるし」
孫の言葉に祖父は驚いた顔で息子を見るとわずかに顔をしかめた、どういうことだと睨みつけるような表情になった。
「祐介は、そんなにゲームが好きなのか」
祖父の言葉に子供は頷きながら、ランクは高くないから課金ばかりしてるよと子供は笑った。
「お寿司なら冷めないし、あっちで食べたら」
父親の表情が変わったが息子は気にする事なく言葉を続けた。
「仕事の鬱憤をゲームで憂さ晴らし、駄目人間なんて言われてるんだよ」
息子の言葉に父親は初めて声を荒げたが、本当のことだよと平然とした顔で息子は祖父を見た。
「クラスメイトが教えてくれたんだ、やめさせた方が良いって」
父親は何か言いかけて黙りこんだ、それは視線を感じたからだ、自分の父親が、まるで、異物を見るような目で自分を。
続けていたってレベルは上がらないだろうって言われているんだよ、ぐさりと胸に突き刺さるような言葉、小さな子供なら決して口にはしないだろう、だが、もうすぐ高校を卒業する歳だ。
「ゲーム依存症どころじゃない、廃人になるよって、でも、そうなったらどうするんだろう、ね」
息子に笑顔を向けられて父親は黙りこんだ。
「母さん、別れたほうがいいよ」
離婚した方がいいよと言われて夫は妻を見たが、だが、自分の方を見る事もなく、妻は言った。
「そんなことより、食べましょう、お吸い物が、茶碗蒸し、冷めてしまうわ」
父親は、このとき初めて妻を見た、そんなこと、だと。
夫に対して、いや、息子の言葉を責める事もしない妻に夫である男は文句を言おうとした、だが、言葉が出てこない。
「そうだな、食べよう」
この話は後だと言わんばかりに、自分の父親の言葉に息子と妻が箸を取り、食事を始めた。
食事をする気分ではない、父親から名前を呼ばれても男は目の前の光景を見ていることしかできない、三人は自分の家族、の筈だった。
だが、今、自分の目の前で食事をしている彼らはどうだろうか。
「どうした、祐介」
父親に名前を呼ばれ、そちらを向くと自分を見る視線に男は逃げるように顔を背けてしまった。
自分が、これから先どうなるのか、どうなるのか、仕事から帰って気晴らしに始めたゲーム、できることなら逃げてしまいたい、(ゲームの世界に)。
そんな事を思いながら箸をとり、食べようとした、だが、そう思っただけで、男の手は動かなかった。
これから先の事を考え、震えていたからだ。
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