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第一章

第10話「疑似行為」(♡)

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「―――このままだと、絶対1万ゼール用意できないな」

 泊まっている『とある恋人達の隠れ家』の203号室へと帰ってきた俺は、部屋に備え付けられているテーブルの上に硬貨並べながら頬杖を突く。

 金貨2枚2000ゼール銀貨3枚300ゼール銅貨10枚100ゼール鉄貨14枚70ゼール錫貨30枚30ゼール

 合計金額は2500ゼール。これがこの一週間の稼ぎを含めた全財産である。

 これでも錫等級Fランクの新人冒険者としては、剣士と白魔導士の二人だけのパーティとしては、かなり稼げている方だ。

 しかし、目標とする金額の四分の一。まだ折り返し地点にすら到達していない。

「(期日まで余裕を含めても残り二週間―――この調子で稼いだとしても7500ゼール、多めに見積もっても8000ゼールがいいところか)」

 下手したら、残り二週間かけても金貨1枚の稼ぎにすら満たないかもしれない。

 この一週間、俺がやっていた依頼は町中でのドブさらいのような仕事ばかりだったが、小金持ちの引っ越し手伝いや、老夫婦の家で大掃除するしながら模様替えする依頼の報酬が結構な額になった。

 ハードな肉体労働で一日中かかってしまったが、腰を低くして丁寧に仕事した甲斐あって依頼人は心づけチップをはずんでくれたのだ。

 今回は金払いのいい太っ腹な依頼人に恵まれたものの、次もそうだとは限らないわけで。

 依頼の数をこなすにしても、かけた時間に対し、安定して儲けられるとは言い難い。

「(じゃあ、モンスターを狩るしかないって言っても……この村々の呪いがネックなんだよな)」

 俺は椅子に座ったまま、視線を自分の股間に向ける。

 さっき風呂から上がったばかりなので、今の俺はこの世界だと一般的な木綿製の男性用下着―――ステテコパンツ一丁。

 本来ならウエストに通った紐をしっかり結んで穿くのだが、ギンギンに勃起した愚息に引っかかるので腰紐は縛っていない。

 落ち着くまで放置しても一切萎えず、自分の手でいくら扱いても射精できず、普段の勃起とは全然違うこの異常な感覚。

 今の俺は、三日分のオナ禁に相当する性欲で非常にムラムラしていて、ボーッとしていると気が付けば右手が陰茎に伸びてしまう。

「(今日倒したホーンラビットはたったの3羽……モンスターを3体倒しただけで、この状態か……。)」

 いつぞやの山賊を殺してしまった時は、精神的な動揺が酷かったのもあったし、異常な性欲に気が付いた時には結果としてすぐライラが抜いてくれたので大事には至らなかった。

 どうやら村々の刃で命を一つ奪う度に、オナ禁一日に相当する性欲が溜まり、奪った命の数だけ射精して解呪されるまでの間、ずっと勃起したままでムラムラが燻り続ける。

 しかも呪いが発動している最中、女性の肌でなければ射精できず、呪いを解くには必然的に異性の手を借りる必要がある。

 改めて見ると、なんて恐ろしい呪いだろうか。

「ご主人様、お待たせ」

 俺と交代で風呂に入っていったライラが浴室から出てきた。隷属の首輪も外してあるので、素っ裸のまま。

 ほんのりと湯気を纏った女体の曲線美と、髪が濡れた艶やかな姿は控えめに言って凶器的。

 無意識のうちに椅子から立ち上がり、俺は一時的に性欲に支配されてしまい、思わずライラを抱き寄せてベッドに押し倒してしまう。

 お互いに裸足のまま履いていたスリッパが宙を舞って床に散らばるのと同時に、俺が覆い被さるようにしてベッドの上へ倒されてしまったライラが小さく悲鳴を上げる。

「きゃっ!?」

「っ! ご、ごめんっ!」

 驚くライラの声が耳に届き、すぐ正気に戻れた俺は慌てて体を退けた。

 明らかに普段と違う様子だった俺を見て、ライラは目をパチクリとさせている。

 気まずい空気が流れた後、ライラは苦笑しながら俺の顔と股間へ交互に視線を向ける。

「あははっ……えっと、待たせ過ぎちゃったかな?」

 ライラは上体を起こしながら、申し訳なさそうな顔をして言葉を続ける。

「ごめんなさい……おちんちん、呪いでおっきくなったままで辛かったでしょ?」

 風呂で洗ったばかりとはいえ、ライラは躊躇なく陰茎に手を添えて、目いっぱい口を開けて亀頭を頬張り、フェラチオを開始する。

 こうしてライラに口淫されるのは、このトアールの町へ来る前に野宿でテントでして貰った時以来だ。

 暖かい口内の感触、絡みつく舌と唾液。

 やっぱり、自分の手でするより何倍も気持ちいい。

 半ば医療行為のようにして貰う性欲処理なのだから、解呪のためにさっさと射精しなければいけないとはわかっているものの、この快感をいつまでも味わっていたくて達するのを我慢してしまう。

 部屋にある唯一の窓から差し込む月明かりがベッドを照らす。今夜は満月なので、肉棒を咥え込むライラの綺麗な顔がはっきりと映る。

 上目遣いでこちらを見上げるライラと視線が合う。口淫の快感でよほど情けない顔をしているのか、彼女は目を細めるようにして笑う。

 そして不意打ち気味に口の動きが速まる。思わず射精してしまいそうになり、俺は反射的に両手を握って腰をガクガクさせながら耐える。

 唇を窄めて吸い付きながら、密着した舌で舐め回される度、股間で快楽の波が激しく渦巻く。

 ダメ押しに、とライラは空いているもう片方の手で無防備な睾丸を優しく揉むように転がす。

「くっ……う゛う゛ぅ゛っ……!」

 とうとう我慢の限界を迎えてしまい、俺はライラの口内に大量の精液を吐き出してしまう。

 射精量に気圧されながらも、ライラは何度も何度も細い喉を鳴らしてドクドクと流し込まれる精液の塊を嚥下していく。

 一回目の射精が終わった後もライラは陰茎を口に含んだままで、まだ二回射精しなければいけないのに尿道に残った精液まで一滴残らず吸い上げる。

「じゅるるっ……んんっ、ぷはっ……えへへっ、気持ち良かった?」

「はあはあっ……ライラ、君は本当に処女なんだよな?」

 他の女性にフェラされたことなんて童貞の俺にはないので、ちゃんとした比較はできないものの、ライラのテクニックは元の世界でもAV女優やソープ嬢が顔負けなくらい凄まじい。

 積み重ねた性経験によるもの、というよりは「気持ち良くなって欲しい」という献身的なそれなのは分かるのだが、それでも思わず非処女な可能性を疑ってしまう。

「私はちゃんと処女だってば。嘘だと思うなら……ほら、おちんちん入れて確かめてみる?」

 くぱぁっ、と愛液の蜜に塗れた割れ目を指で広げるライラ。

 膣口の奥に処女膜が残る綺麗な女性器おまんこは、一切弄られていないはずなのに、口淫していただけで興奮したのかヌラヌラと濡れぼそっている。

「……セックスするのは、避妊できるようになってからな」

「むぅっ……変なところで律儀過ぎるよね、ご主人様って」

 ライラは懲りずにポーズを変え、俺への誘惑を試みる。

 正直なところ、童貞の俺には刺激が強すぎる光景だ。

 手を伸ばせば届く距離にある魅惑の蜜壺を前に、俺の信念は揺らぎに揺らいでいるものの、妊娠させたらどうするんだと言い聞かせて突っ込みたくなる気持ちを寸でのところで抑える。

「(でも、俺だけ気持ちよくなるのは……確かに、悪いし……。)」

 まだまだ目の前の女体で射精したい欲求は燃え上がっているものの、俺は両足を広げたライラの股ぐらに顔を埋める。

「えっ! ちょっ、ご主人様っ?」

 自分の性器を舐められるとは思ってもいなかったようで、ライラはビックリしていた。

「ちょっと、駄目だって! そんなとこ舐めちゃ……き、汚いからっ! んんぅっ♡」

 風呂に入ったばかりなんだから、別に汚くはない。

 それにライラのあそこは色もサーモンピンクで形も綺麗だし、よく話に聞く女性のデリケートゾーンは「チーズ臭い」とか「ドブよりヤバい臭い」もしない。

 強いて言うなら、メスの匂い。それこそずっと嗅いでいたいくらい、女の子特有のいい匂いがする。

「んっ……♡ 舌入れちゃだめぇっ……♡」

 そうは言うものの、ライラは自分の手で割れ目を広げているし、広げた足を閉じようともしない。

 かつてテントの中で、そして今さっき彼女がそうしてくれたように、俺も「どうせするなら気持ち良く楽しんで欲しい」という一心でクンニする。

 飽きもせずにずっと舐めていると、俺が満足するまでライラは黙ってされるがままになってしまったが、時折ビクンッと震えるライラの反応を見ながら秘裂から溢れる蜜を舐め取り続けた。

「(……“クリ”を弄ってやった方が、女の子って気持ちよくなるんだっけ?)」

 どこからそういう知識を仕入れてくるのか不明だが、自称プレイボーイの友人が女体の神秘について熱く語ってくれた時のことを思い出し、鼻先でプクッと膨れて硬くなっている陰核を親指の腹で弄る。

「んひぃっ♡」

 今まで聞いたこともないライラの悲鳴。唇と舌先に感じる淫唇の動きが「今のは凄かった」と語っており、俺は文字通りの手探りな状態でどう陰核を刺激すれば気持ち良くなるのかを模索していく。

「(……少し楽しくなってきたかも)」

 ライラがフェラに夢中になる気持ちも、ちょっと分かる気がする。

 相手の性感帯を上手く刺激できた時の、何とも言えぬ気持ち。

 攻略サイトを見ずに自力でボスの弱点を見つけたような、ヒントなしで謎解きに成功したような、謎の達成感。あれに似ている。

 案外、俺達はお互いに似た物同士なのかもしれない―――なんて思いつつ、指と舌の動きを速めた時だった。

「あっ♡ だ、だめっ♡ イクッ♡ イッちゃうっ♡ お願い、やめてぇっ♡」

 耳に届く少し泣きの混じったライラの声に慌てて止まるが、彼女は既に限界を迎えてしまった直後だった。

 プシャァッと尿道から無色透明の液体が噴き出て、俺の顔に降りかかる。

 尿ではなく潮だった。初めて目にする女性の潮吹きに、視覚的な性的興奮よりも感動に近いものが込み上げてくる。

「ごっ、ごめん、なさっ♡ 気持ち良過ぎてぇっ♡ でちゃったぁっ♡」

 恥ずかしそうに両手で顔を隠すライラの仕草を見て、ギリギリで正気を保った俺のことを誰か褒めて欲しい。

「ひうぅぅっ♡」

 思わず彼女の処女を奪い、欲望のまま腰を振ろうとしたのを寸でのところで堪え、潮でびちゃびちゃの割れ目とムッチリした太腿でギンギンに反り返った肉棒を挟む。

 性器同士を直接擦り合わせる疑似的な性行為セックス―――所謂、素股である。

「あっ♡ あっ♡ あああっ♡」

 イッたばかりなのに、休みなく陰核に快感を与えられ、ライラは悲鳴のような媚声を漏らす。

 俺が腰を前後に振る度に、仰向けになっても形を保っている大きな胸がブルンブルンッと震え、その光景に思わず生唾を飲み込む。

 さっきまでのクンニと違い、今は自分が気持ち良くなりたい一心で動いているが、それでもライラのことも気持ち良くさせられている。

 膨れ上がった俺の陰茎が、硬くなったライラの陰核と擦れる度、お互いに電気が流れるような快感が走っていく。

 疑似的な素股でこれほどの快感なのに、実際にセックスしてしまったらどれほど気持ちがいいのだろうか。

 思わずそんな疑問が脳裏を過り、腰の動きを僅かにズラせばいつでもその答えを知ることができぞと心の内で悪魔が囁く。

 一方、天使は「慣れてないから事故を装って挿入すればいい」なんて進言してくる。こいつ、悪魔よりタチが悪いぞ。

 ブンブンと邪な悪魔も黒い天使も振り払い、素股で射精することだけを考えて俺は腰を振るスピードを速めていく。

「っ~~~♡♡♡」

 二回目の射精に達すると同時に、ライラも再び潮を吹く。

 気持ち良かった、なんてもんじゃない。

 まるで擦り続けた性器同士に火が付いて爆発したような、とてつもない快感。

 ビュルビュルと発射される精液の勢いは凄まじく、ライラの腹や胸どころか顔にまで精液が降り注ぐ。

 俺の下半身もライラが撒き散らした潮でびっしょりだった。

 暫くの間、肩で息をする俺とライラの呼吸音だけが部屋に響く。

 お互いに体液まみれのまま、半ば放心状態でジッと相手を見つめている。

「……もう一回、風呂入ってこよう……あと一回射精しないといけないし……その、一緒に……。」

 俺の出した提案に、絶頂の余韻に震えながらもライラは頷くのだった。











 浴室のバスタブに溜まっているお湯はぬるくなっていたが、汗を流して体の火照りを冷ますには丁度いい温度だった。

 普段なら入る前にかけ湯で体を流し、綺麗に洗ってから湯船に浸かるのだが、大雑把に体液を洗い流して俺とライラはそのまま入浴した。

 足りないお湯の温度を補うように密着して、まるで恋人同士みたいに一緒に風呂へ入る。

「……す、凄かったね」

「……ああ」

 素股であんなに気持ち良くなるとは思っていなかったは、ライラも同じようだ。

「セックスはもっと凄いのかな……私、気持ち良過ぎて死んじゃうかも」

 それは大袈裟すぎると思ったが、素股での射精の快感を、そして同時に達した時の心地良さを思い出し、俺も無言で肯定してしまう。

 青少年の不純異性交遊が、未成年の淫行が禁止されている理由が良く分かる。

 男女揃って初めて行える性行為の気持ち良さを知ってしまったら、勉強もスポーツもどうでもよくなってしまう。

「ご主人様……あと一回、射精しなきゃだよね?」

 バスタブに張ったお湯の中で、背中から抱き締めるようにして一緒に浸かっているライラが後ろ手でまだ勃起したままの俺の肉棒へ触れる。

「……もうさ、このまま勢いに任せてヤッちゃわない?」

「……それは駄目だ」

 本音を言えば、俺の心も性的好奇心に負けそうだし、ライラがそう望むように俺も初めての相手は彼女がいい。

 けれども、後先考えない行動はできない。仮に安全日だとしても、恐らく村々の呪いが発動している時に射精した精子の受精率はほぼ100%だ。

 我が家の複雑怪奇な家系図がそう証明している。

「じゃあ……セックスは、避妊できるようになった時のお楽しみにしよっか」

 狭い浴槽の中で身を捩り、ライラは俺の方に向くと、少し腰を浮かせるように言ってきた。

 言われた通りにすると、彼女は大きな胸の谷間で最後の射精を心待ちにしている肉棒を挟み込む。

 ムギュッと柔らかい胸肉が竿全体を包み込んでいく。

「ご主人様の、本当におっきいよね……ほら、先っぽが出ちゃってるもん」

 そう言ってライラは自分の胸元から突き出た亀頭をチロチロと舐める。

「最後は、胸でしてあげるね?」

 どこでそういうのを覚えたのか知らないが、ライラは持ち上げるように掴んだ両方の乳房で陰茎を扱く。

 時折、先端部分を咥えて舐めるのも交えながらのパイズリ。チャプチャプと水音が響くのと一緒に淫らな音も狭い浴室の中で響く。

 弾力のある胸に挟まれて、素股とはまた違ったベクトルで気持ちいい。ゆっくり確実に段々と射精感が高められていくような感覚。

 手で、口で、そして胸で―――目の前の美少女は、全身を使って奉仕し、俺に性的な快感を与えてくれている。

「……ライラ、ちょっと湯船から出てくれ」

「えっ? うん、わかった」

 浴槽から出て、膝立ちに座らせたライラの前に立つ。

 大きな乳房で上下に扱かれていた肉棒を、今度は俺が腰を動かして前後のピストンで胸の谷間を犯す。

「んんっ……これ、ご主人様の腰に乳首当たって……私も、ちょっと気持ちいいかも……♡」

 素股で擦っていた陰核と同じくらい硬くなった桜色の乳首とぶつかる度、ビクビクと小刻みに肩を震わせて吐息を漏らすライラ。

「おっぱいでセックスしてるみたい♡」

 いつの間にか、ライラは自分の指で股間を弄っている。別に示し合わせたわけではないが、俺達はまた二人一緒に絶頂しようとしていた。

 程なくして、俺は三度目の―――今日溜まってしまった分の呪いを解くための、最後の射精を放つ。

 胸の谷間に突っ込まれた肉棒がブルブルと震え、溢れる白濁液に塗れるのと同時にライラもまた絶頂に達する。

「えへへっ……いっぱい出たし、一緒にイケたね……♡」

 またベトベトになってしまったので、ほとんど水みたいに冷めた湯で体を洗い流してから風呂を出る。

 そしてベッドで寝転がった後も、睡魔が訪れるまで俺達は名残惜しくキスを交わしながら眠りにつくのだった。
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