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3,父、娘の反抗期に頭を抱える(まだ続いている)
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大きくなったらパパと結婚しゅるー。
とニッコニッコで言っていたかわいい娘が、今やパパを睨みつけてくる問題。
他家の子どもたちいい子すぎねぇ?
なんでうちの子だけド反抗期?
「うふふ。あなたに似たからですよ。かわいい」
妻はそう言う。俺の血かぁ。否定できんな。息子の方は穏やかだが妻に似ているとしか言われねぇ。というか。
「かわいい?」
「ツンツンしてても根はいい子なの。そっくり」
「ツンツン?」
「あなた口は悪いけど、優しいところ好きよ」
「む……」
「娘が立派な貴族令嬢になれるように心配しているのよね。分かっているわ。でも、言い方が高圧的だから反発されるのよ。穏やかに穏やかに、きれいな言葉でさとしてあげて。やって見せて褒めてあげるのよ」
「むぅ……分かっちゃいるんだがな」
くすくすと妻が笑うと、むっとしていた気持ちもやわらいでいく。
「まぁ、努力する」
「ええ。そうしてあげて。きっとあの子にも伝わるわ。十回くらいやれば」
「多いな!?」
「反抗期だもの~」
「反抗期激しすぎねぇか? うちだけ。下の子だけ」
「そうでもないわぁ。悪いことはしないし駆け落ちもしていないし身をわきまえているし、ツンツンしているだけよ。あなたみたいにね」
「ツンツン……」
「うふふ」
と笑いながら俺の腕を人差し指でツンツンつつく妻。そういうお茶目さ、昔から変わらずかわいい。
「むう……」
「私はあなたの下町の者たちとも仲良くしようとするところを尊敬しているわ。だからお口が悪いのも、その影響だって理解しているわ。でもあの子にとってはそういう問題ではないのよ。あなたはそのままなのに急にあの子だけ口調を直せっていうのはフェアじゃないのよ」
「まぁ、そうだろうが。男と女では違うだろう」
「そういう問題ではないのよ。意地の問題なのよ」
「意地か。あの子は小さな頃から意地っぱりだったな」
「ええ。ぷんってして可愛らしかったわぁ」
「意地では、本人が納得するまで見守るしかないな。小さい頃もそうだった」
「あの子が、パパと一緒にいるの! と意地を張るから一緒に下町に視察に行くようになったのよねぇ」
「あれがイカンかったかぁあ」
「うふふふふ」
つい可愛くて連れ歩いてしまった過去を思い出して頭を抱える。可愛かったんだからしょうがねぇじゃねぇか。
「反抗できるのは親を信頼しているからでもあるんですって。おびえていると反抗もできないものね。だから悩みすぎないで、見守ればいいのよ。あの子はちゃんと自分で答えが出せる子だわ」
「そうか……そうか?」
ふんって無視される日常しか思い出せなくて不安しかない。
「そうよぉ。すごい婚約者釣ってきちゃうような子なんだから、もっと信頼してあげて。ね?」
「そうだな……」
なにがどうしてそうなったか分からんが、結果いいことになっているんだ。悪いことだけしねぇように目を光らせときゃいいか……。
よし、今日は笑顔で迎えるぞ。と気合を入れて、娘が帰ってくる時間に執務室を出て玄関ホールへ。
帰ってきた娘は、ただいまも言わずに言った。
「なんか王子とその婚約者と茶会することになったんだけど。すごいやだめんどくさい」
「はぁあああ!? なんでそうなる。ていうかめんどくさい言うな! 王族だぞ!」
「やなもんはやだもん。いー! だ」
走って部屋へ直行する娘。
「セフィーナ! 廊下を走るな!」
名前はおしとやかなのに、どうしてこうなった!
「前途多難ねぇ」
妻がのんびり笑って言った。
――――――――――――
子供を出迎えるために仕事を中断して玄関ホールまで出てくるような親(貴族)と、一応ちゃんと親に相談をする子なのだが……。
とニッコニッコで言っていたかわいい娘が、今やパパを睨みつけてくる問題。
他家の子どもたちいい子すぎねぇ?
なんでうちの子だけド反抗期?
「うふふ。あなたに似たからですよ。かわいい」
妻はそう言う。俺の血かぁ。否定できんな。息子の方は穏やかだが妻に似ているとしか言われねぇ。というか。
「かわいい?」
「ツンツンしてても根はいい子なの。そっくり」
「ツンツン?」
「あなた口は悪いけど、優しいところ好きよ」
「む……」
「娘が立派な貴族令嬢になれるように心配しているのよね。分かっているわ。でも、言い方が高圧的だから反発されるのよ。穏やかに穏やかに、きれいな言葉でさとしてあげて。やって見せて褒めてあげるのよ」
「むぅ……分かっちゃいるんだがな」
くすくすと妻が笑うと、むっとしていた気持ちもやわらいでいく。
「まぁ、努力する」
「ええ。そうしてあげて。きっとあの子にも伝わるわ。十回くらいやれば」
「多いな!?」
「反抗期だもの~」
「反抗期激しすぎねぇか? うちだけ。下の子だけ」
「そうでもないわぁ。悪いことはしないし駆け落ちもしていないし身をわきまえているし、ツンツンしているだけよ。あなたみたいにね」
「ツンツン……」
「うふふ」
と笑いながら俺の腕を人差し指でツンツンつつく妻。そういうお茶目さ、昔から変わらずかわいい。
「むう……」
「私はあなたの下町の者たちとも仲良くしようとするところを尊敬しているわ。だからお口が悪いのも、その影響だって理解しているわ。でもあの子にとってはそういう問題ではないのよ。あなたはそのままなのに急にあの子だけ口調を直せっていうのはフェアじゃないのよ」
「まぁ、そうだろうが。男と女では違うだろう」
「そういう問題ではないのよ。意地の問題なのよ」
「意地か。あの子は小さな頃から意地っぱりだったな」
「ええ。ぷんってして可愛らしかったわぁ」
「意地では、本人が納得するまで見守るしかないな。小さい頃もそうだった」
「あの子が、パパと一緒にいるの! と意地を張るから一緒に下町に視察に行くようになったのよねぇ」
「あれがイカンかったかぁあ」
「うふふふふ」
つい可愛くて連れ歩いてしまった過去を思い出して頭を抱える。可愛かったんだからしょうがねぇじゃねぇか。
「反抗できるのは親を信頼しているからでもあるんですって。おびえていると反抗もできないものね。だから悩みすぎないで、見守ればいいのよ。あの子はちゃんと自分で答えが出せる子だわ」
「そうか……そうか?」
ふんって無視される日常しか思い出せなくて不安しかない。
「そうよぉ。すごい婚約者釣ってきちゃうような子なんだから、もっと信頼してあげて。ね?」
「そうだな……」
なにがどうしてそうなったか分からんが、結果いいことになっているんだ。悪いことだけしねぇように目を光らせときゃいいか……。
よし、今日は笑顔で迎えるぞ。と気合を入れて、娘が帰ってくる時間に執務室を出て玄関ホールへ。
帰ってきた娘は、ただいまも言わずに言った。
「なんか王子とその婚約者と茶会することになったんだけど。すごいやだめんどくさい」
「はぁあああ!? なんでそうなる。ていうかめんどくさい言うな! 王族だぞ!」
「やなもんはやだもん。いー! だ」
走って部屋へ直行する娘。
「セフィーナ! 廊下を走るな!」
名前はおしとやかなのに、どうしてこうなった!
「前途多難ねぇ」
妻がのんびり笑って言った。
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子供を出迎えるために仕事を中断して玄関ホールまで出てくるような親(貴族)と、一応ちゃんと親に相談をする子なのだが……。
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