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書籍未収録④ 魔王ガールズvsクラスメイト編

5.魔王ガールズ完勝

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「どうした、手数が減ってきたぜ? もう疲れちまったのか?」

「くっそぉ、このオレがこんな女なんかに……!」

 ソロルvsバングラーは、もう完全にソロルが押している。
 パワーは五分の2人だったが、剣技のレベルが全然違ったようだ。
 ソロルが繰り出す鋭い攻撃に、途中からバングラーは付いていくのがやっとの状態だった。
 そして今では防戦一方になっている。

 その理由は、『肉体鬼ドーピング』の効果が切れてきたからだ。

 身体能力を究極に強化する『肉体鬼ドーピング』は、その分反動も大きく、長時間戦えるようなスキルではない。
 そろそろその制限時間がきたらしい。
肉体鬼ドーピング』さえ切れてしまえば、もうソロルの敵ではない。


 リノvsキースのほうも、すでに大勢は決した。
 キースの『闘気弾』はリノにかすりもせず、撃てばイタズラに体力を消費するだけであり、そして近接戦闘でもリノはキースを上回っている。
 リノはすでに勝ち負けじゃなく、どうやってキースを無力化しようか悩んでる状態だ。

魔法無効化ウィザードキラー』のグァンビと違って、『闘気術オーラマスター』のキースは上位格闘スキル=『闘鬼』を持っていなかった。
 リノは近接戦闘スキル『滅鬼』を持っているので、その分の差が確実に出ているのだ。

 グァンビがひたすら武術を極めて上位スキル『闘鬼』を習得したのに対し、キースは闘気術を織り交ぜて戦うスタイルだったので、魔力などの強化もしていた。
 魔力は『闘気オーラ』パワーやスキル技の使用回数などに関係してくるので、上げないわけにはいかなかったのだろう。
 ほかにも、格闘系を集中して鍛えたグァンビに比べ、キースの強化は全体的なバランスを重視している。
 そのせいで武術系スキルを上げきれず、『闘鬼』スキルを習得することができなかったと思われる。

 戦闘バランスが良いのはキースだけど、純粋な格闘能力に関してはグァンビのほうが上だということだ。
 まあグァンビと戦っても、勝つのはリノだと思うけどね。


 フィーリアvsザフィオスはもう一方的だ。
 フィーリアはザフィオスの強力なスキル『星幽体インビンシブル』をまったく寄せ付けず、とうとうザフィオスはスキルが解除されて通常の状態に戻ってしまった。
 こうなってはもうザフィオスに手は無い。

 あと残っているのはフラウvsマズリィンだけど、『瞬間移動テレポート』に手こずっていたフラウも、ようやくコツを掴めてきたようだ。
瞬間移動テレポート』は強力だが、移動距離は数mだし、連発することもできない。
 それさえ分かれば、フラウにも手はある。


「はあはあ、なんていう正確な狙撃なの!? 矢の攻撃がこんなに手強いとは……」

「ふふん、もうあなたの戦闘パターンは分かりましたよ。次で仕留めます。それっ、それっ!」

 フラウが最初の矢を放ったあと、一瞬だけ間をおいて2発目を放った。

「なにをっ、こんなの喰らうわけ……!」

 1射目の矢が当たる瞬間、マズリィンが『瞬間移動テレポート』で消える。
 そして出現する場所を予測したフラウが、その地点に向けて必殺技を放った。


「よくも色々と惑わせてくれましたね! 『怒りの超速乱れ撃ちフューサレイド・ランダムシューティング』~っ!」


 うん、そんな技もない。フラウが勝手に名付けたんだろう。
 ただひたすら全力で、矢をある程度の範囲にわたって連射しただけだ。まあこの技を生み出すのに、フラウが凄い努力したことは認めるけどね。
 そして、フラウが狙ったその予測地点にマズリィンが姿を現す。

「どう、あたしに攻撃はあああああなにこれええ!? どおおぉぉぉぉ~っ!」

 矢に当たったマズリィンが、凄い衝撃で吹っ飛ばされた。

 ああっ、フラウは『蹴散らす砲弾ラッセルキャノン』の矢を使ったのか!?
蹴散らす砲弾ラッセルキャノン』とは、貫通力を無くした代わりに、衝撃波で吹き飛ばす効果が付いている矢だ。
 マズリィンは小さくなっていく悲鳴とともに遠くへと飛んでいった……。

 あとで回収しなくちゃなあ。
 一応あの衝撃なら気絶したと思うんで、逃げられることはないはず。


 因みに、いまフラウがマズリィンの出現地点を見破ったからくり・・・・はこうだ。
 フラウは出現地点を予測するために、時間差で矢を2発放った。
 1射目を『瞬間移動テレポート』で避け、その消えたマズリィンが出現する瞬間、遅れて放った2射目の矢が、『月神を喰らう弓マーナガルム』の追尾機能ホーミング効果でほんのちょっとだけ矢先を変える。

 マズリィンの『瞬間移動テレポート』は、毎回元居た地点から7、8mほど移動した場所に出現してたんで、2射目の矢先が変わった方向の7、8m離れた場所にマズリィンは現れるはず。
 その予測場所に、フラウは矢を散らして大量に撃ち込んだのだ。

 出現したマズリィンを目で確認してから狙撃したのでは、どうしてもワンテンポ遅れてしまい、その隙に逃げられてしまう。
 今回はそのタイムラグがほぼ無かった。
瞬間移動テレポート』を終えた瞬間に大量の矢が飛んできたんで、マズリィンもさぞや驚いたに違いない。
 あとは見た通りの結果だ。

 この戦いも、本当に相性が良かった。
 フラウ以外では、もっと苦戦したことだろう。


「バカな、『魔王の芽デモンシード』で強化されたオレたちが負けるなんて……」

「はあはあ、俺ももうだめだ、『星幽体インビンシブル』はしばらく使えない」

「オレも『肉体鬼ドーピング』が切れた……」

 マズリィンがやられたのを見て、ほかのみんなも負けを悟ったようだ。
 さて、じゃあどうしようか。
 大人しく捕まってくれるなら、拘束したうえで砦に送るけど……。


 って、考えた瞬間、ジュードたち4人がいっせいに逃げ出した。
 えっ、敵に背を見せるつもり?

 そういう場合、一応僕は・・手加減してあげることもあるけど、背を向けた相手を見逃すような子じゃないよ……あの肉食獣しょうじょたちは。
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