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書籍未収録② 勇者とデート編
6.絶体絶命の大ピンチ
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「うわー綺麗な夕日! ちょうどいいタイミングね!」
メジェールに促されてきたのは、フリーデンの名所――高台にある自然公園だった。
色とりどりの花や緑の木々に囲まれた場所で、そこのひときわ高い場所から、フリーデンの街並みが見下ろせる。
そこから眺める、地平線の彼方にゆっくり落ちていく夕日はとても綺麗だ。
「ね、ね、ロマンチックでしょ? 噂で聞いたことがあったから、是非来てみたかったのよね。どう、この雰囲気だったらアタシにグッとくるところ無い?」
「グッとくる? んーどういう事なのかよく分からないな。別にいつでもメジェールは魅力的だと思うけど……」
「むー、そう言ってくれるのは嬉しいけど、ちょっと違うのよ。見知らぬ土地での開放感とか、情緒的な雰囲気とか、なんかこう流されちゃうようなムードってあるでしょ?」
「メジェールの言うことは、なんとなく分かるような分からないような……」
「はぁ~、ユーリは女心が全然分かってないのよね。強さばっかりケタ外れだけど、頭の中はまだ全然子供なんだから!」
そう言われても、女の子と付き合ったこと無いし……。
それに、女の子って正解を教えてくれないんだよね。こっちから聞いても、自分で気付きなさいよって怒られちゃうんだもんなあ。
「ふっふーん、勿体ぶらずに正解教えて欲しいって顔してるわね」
げ、するどい。
「あのね、うっとりするような甘いセリフ言って欲しいの。デートの最後でこんな所に来たら、男としての当然の義務よ?」
「えっ、そうなの?」
「そうよ。こう見えても言われた経験だってあるわよ。っていうか、アタシって結構モテるんだからね。口説かれたのだって一度や二度じゃ無いわよ。もちろん、全部断ったけど」
「なんて口説かれたの?」
メジェールがどんな口説かれ方をしたのか気になったので、ちょっと訊いてみる。
ヤキモチとかじゃ無くて、怖いモノ見たさの感情なんだけどね。勇者を口説こうだなんて相当な自信家だろうし。
「例えば、『君のことを考えない日は無い、今日一日だけ君の時間をオレにくれないか』とか、『君のことを一生守りたい、オレが君より強くなったら正式に交際してくれ』とか」
うおおおお、そんな歯が浮くようなセリフ言えないッスーっ!
みんなそんなこと言ってるのか?
そういやモテ男カインは結構口説き文句持ってたな。
まあ口だけで全然心がこもってないような感じだったけど、それでも女の子は喜んでたっぽいなあ。
よくわからんですね。
あれ、でも『君より強くなったら正式に交際してくれ』っていうのは、メジェール相手には無茶なセリフだな。
一体誰が言ったんだろ。
「因みに、1つ目はカインで、2つ目はイザヤに言われたモノよ」
あ、その2人でしたか。凄い納得。
アイツららしいというか……そういや学校時代も、あの2人はやたらメジェールには接触してたっけ。
でもそんなイザヤに、メジェールは置いて行かれちゃったんだよな。
結構傷付いたんじゃない?
「言っておくけど、イザヤに置いて行かれたけどアタシは傷付いてないわよ」
……さっきから僕の心を読まれてる気がするんだけど、そんなスキルあったっけ?
「スキルじゃ無いわ、女の勘よ」
やっぱ考えてることバレてるわ。女の勘こわい。
そんな会話をしながら綺麗な夕焼けを見ていると、ふと会話が途切れた。
沈黙も、ここでは気持ちの良い時間だなあと感慨に浸っていたら、メジェールがスッと肩を寄せてきて、僕をしばしの間見つめたあと目を閉じた。
ちょ……待った、それは待った、いくら僕でもそれは分かる。
さすがにそこまでは進めない!
お店や劇場と違ってここは屋外なので、リノ達の気配は感知出来ないけど、きっとどこからかこの様子を見てるはず。
リノの『超五感上昇』と『遠見』のスキルなら、僕たちの表情までハッキリ見えてるはずだ。
キスシーンなんて見られたら、フラウの閃鬼で狙撃されてもおかしくないぞ……僕が。
いやそんなことするわけ無いけど、絶対に無いと言い切れないのが彼女たちの怖いところだ。
誰にも見られていないならともかく、ここでのキスはさすがにまずい。
なんとか回避しないと……。
しかし、メジェールがここまでしてるのに、僕が不誠実な態度を取っては、メジェールも深く傷付くだろう。
あ~もうどうしよう、ヴァクラースが攻めてくるよりピンチだぞコレ!?
1秒がとてつもなく長い、誰か助けて~っ! ……え?
あれ、メジェールが居ない!?
頭を抱えながら為す術なく戸惑っていたら、いつの間にか横に居たはずのメジェールが消えていた。
どうして!?
「お前っ、こんな場所まで来て女とイチャ付くなんて、調子に乗ってるにも程があるぞ!」
んん? この声は……テイミッド!?
知らないうちに、10mほど離れたところにテイミッドが居た! そしてその横には、消えたメジェールの姿もある。
また僕たちを襲いに来るなんて、なんて懲りない男なんだ……。
さらに、周りには大勢の男――これテイミッドが連れてきた護衛達だな。
あのイグバランほどじゃ無いけど、なかなか強いヤツら数十人が僕の周りを取り囲んでいる。
こんな事になってたなんて全然気付かなかった……。
いや、人生最大のイベント中だったんで、僕もメジェールもまるで危険探知が働いてなかったよ。
心臓爆発しそうなくらい緊張してたしね。
メジェールはテイミッドの横に居る男が取り押さえていて、メジェールの両腕の上から身体ごとグルグルに鞭が巻き付いている。
恐らくこの距離から鞭を放ってメジェールを引き寄せたんだろう。いくら僕たちが油断していたとはいえ、かなりの腕だ。
それにしても、やはり恋愛は恐ろしい。
僕とメジェールほどの人間が、こうも簡単に隙だらけになるとは……好きなだけに。
いやバカなこと言ってる場合じゃ無いぞ。こりゃ大変な事になった。
このままでは……………………彼らの命が危ない!
メジェールに促されてきたのは、フリーデンの名所――高台にある自然公園だった。
色とりどりの花や緑の木々に囲まれた場所で、そこのひときわ高い場所から、フリーデンの街並みが見下ろせる。
そこから眺める、地平線の彼方にゆっくり落ちていく夕日はとても綺麗だ。
「ね、ね、ロマンチックでしょ? 噂で聞いたことがあったから、是非来てみたかったのよね。どう、この雰囲気だったらアタシにグッとくるところ無い?」
「グッとくる? んーどういう事なのかよく分からないな。別にいつでもメジェールは魅力的だと思うけど……」
「むー、そう言ってくれるのは嬉しいけど、ちょっと違うのよ。見知らぬ土地での開放感とか、情緒的な雰囲気とか、なんかこう流されちゃうようなムードってあるでしょ?」
「メジェールの言うことは、なんとなく分かるような分からないような……」
「はぁ~、ユーリは女心が全然分かってないのよね。強さばっかりケタ外れだけど、頭の中はまだ全然子供なんだから!」
そう言われても、女の子と付き合ったこと無いし……。
それに、女の子って正解を教えてくれないんだよね。こっちから聞いても、自分で気付きなさいよって怒られちゃうんだもんなあ。
「ふっふーん、勿体ぶらずに正解教えて欲しいって顔してるわね」
げ、するどい。
「あのね、うっとりするような甘いセリフ言って欲しいの。デートの最後でこんな所に来たら、男としての当然の義務よ?」
「えっ、そうなの?」
「そうよ。こう見えても言われた経験だってあるわよ。っていうか、アタシって結構モテるんだからね。口説かれたのだって一度や二度じゃ無いわよ。もちろん、全部断ったけど」
「なんて口説かれたの?」
メジェールがどんな口説かれ方をしたのか気になったので、ちょっと訊いてみる。
ヤキモチとかじゃ無くて、怖いモノ見たさの感情なんだけどね。勇者を口説こうだなんて相当な自信家だろうし。
「例えば、『君のことを考えない日は無い、今日一日だけ君の時間をオレにくれないか』とか、『君のことを一生守りたい、オレが君より強くなったら正式に交際してくれ』とか」
うおおおお、そんな歯が浮くようなセリフ言えないッスーっ!
みんなそんなこと言ってるのか?
そういやモテ男カインは結構口説き文句持ってたな。
まあ口だけで全然心がこもってないような感じだったけど、それでも女の子は喜んでたっぽいなあ。
よくわからんですね。
あれ、でも『君より強くなったら正式に交際してくれ』っていうのは、メジェール相手には無茶なセリフだな。
一体誰が言ったんだろ。
「因みに、1つ目はカインで、2つ目はイザヤに言われたモノよ」
あ、その2人でしたか。凄い納得。
アイツららしいというか……そういや学校時代も、あの2人はやたらメジェールには接触してたっけ。
でもそんなイザヤに、メジェールは置いて行かれちゃったんだよな。
結構傷付いたんじゃない?
「言っておくけど、イザヤに置いて行かれたけどアタシは傷付いてないわよ」
……さっきから僕の心を読まれてる気がするんだけど、そんなスキルあったっけ?
「スキルじゃ無いわ、女の勘よ」
やっぱ考えてることバレてるわ。女の勘こわい。
そんな会話をしながら綺麗な夕焼けを見ていると、ふと会話が途切れた。
沈黙も、ここでは気持ちの良い時間だなあと感慨に浸っていたら、メジェールがスッと肩を寄せてきて、僕をしばしの間見つめたあと目を閉じた。
ちょ……待った、それは待った、いくら僕でもそれは分かる。
さすがにそこまでは進めない!
お店や劇場と違ってここは屋外なので、リノ達の気配は感知出来ないけど、きっとどこからかこの様子を見てるはず。
リノの『超五感上昇』と『遠見』のスキルなら、僕たちの表情までハッキリ見えてるはずだ。
キスシーンなんて見られたら、フラウの閃鬼で狙撃されてもおかしくないぞ……僕が。
いやそんなことするわけ無いけど、絶対に無いと言い切れないのが彼女たちの怖いところだ。
誰にも見られていないならともかく、ここでのキスはさすがにまずい。
なんとか回避しないと……。
しかし、メジェールがここまでしてるのに、僕が不誠実な態度を取っては、メジェールも深く傷付くだろう。
あ~もうどうしよう、ヴァクラースが攻めてくるよりピンチだぞコレ!?
1秒がとてつもなく長い、誰か助けて~っ! ……え?
あれ、メジェールが居ない!?
頭を抱えながら為す術なく戸惑っていたら、いつの間にか横に居たはずのメジェールが消えていた。
どうして!?
「お前っ、こんな場所まで来て女とイチャ付くなんて、調子に乗ってるにも程があるぞ!」
んん? この声は……テイミッド!?
知らないうちに、10mほど離れたところにテイミッドが居た! そしてその横には、消えたメジェールの姿もある。
また僕たちを襲いに来るなんて、なんて懲りない男なんだ……。
さらに、周りには大勢の男――これテイミッドが連れてきた護衛達だな。
あのイグバランほどじゃ無いけど、なかなか強いヤツら数十人が僕の周りを取り囲んでいる。
こんな事になってたなんて全然気付かなかった……。
いや、人生最大のイベント中だったんで、僕もメジェールもまるで危険探知が働いてなかったよ。
心臓爆発しそうなくらい緊張してたしね。
メジェールはテイミッドの横に居る男が取り押さえていて、メジェールの両腕の上から身体ごとグルグルに鞭が巻き付いている。
恐らくこの距離から鞭を放ってメジェールを引き寄せたんだろう。いくら僕たちが油断していたとはいえ、かなりの腕だ。
それにしても、やはり恋愛は恐ろしい。
僕とメジェールほどの人間が、こうも簡単に隙だらけになるとは……好きなだけに。
いやバカなこと言ってる場合じゃ無いぞ。こりゃ大変な事になった。
このままでは……………………彼らの命が危ない!
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