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クリスマス特別編
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「メリークリスマース!」
執務室でテンプルム国王としての仕事をしていると、メジェール、リノ、フィーリア、ソロル、フラウ、久魅那、の6人が突然入ってきてクラッカーを鳴らした。
「ユーリ、今日くらいは仕事をやめてみんなで楽しみましょ!」
「そうそう、パーティーの準備もしてあるんだから!」
メジェールとリノの発言に、なんのことかと驚きながら横にいる秘書――ネーナの顔を見る。
「ユーリ国王様、本日は聖なるクリスマスですので、わたしたちみんなでサプライズを考えたんです」
なるほど、これは僕を驚かすサプライズ演出なのか。
そういえば、今日はクリスマスだということをすっかり忘れてたよ。
でもクリスマスをお祝いするのは帝国の習慣であって、僕たちにはあまり馴染みのないイベントのはず。
実際、今まで暮らしてきて特にクリスマスをお祝いしたことはない。
ああでも、ネーナやドマさん、ゾディーさんは帝国出身だから、彼女たちから教えてもらったのかも?
「みんな、僕のために準備をしてくれてありがとう。せっかくだから、みんなでクリスマスをお祝いしようか」
「やったー!」
僕の決定に、全員から喜びの声が上がった。
まあ今日くらいはいいだろう。
「ユーリ、クリスマスにはプレゼントを渡すってこと知ってる?」
えっ、そういえば、聞いたことあるかも?
「ごめん、クリスマスのことは忘れてたから、みんなへのプレゼントは準備してないんだ。また別の機会のときにでもいいかな?」
「ううん、ユーリからのプレゼントはいいの。アタシたちがあげたいだけ」
「えっ、でも、なんかみんなに悪いよ……」
「いいのよ。その代わり、アタシたちのプレゼント絶対に受け取ってね」
な、なんだその変な言い回しは?
そして明るく楽しい雰囲気だったのが、ドス黒い怨霊が地から湧き出たような空気に変わってるのは何故……?
「えーと、頂ける物ならありがたく受け取らせてもらうけど……」
僕は恐る恐る返事をする。
「約束したわよ。じゃあアタシたちからのプレゼントをあげるから、しっかり受け取ってね」
と言いながら、メジェールたちは服を脱ぎだした。
な、なに? 何が起こってるの!?
何故か分からないが、僕の背筋が恐怖に凍り付いていく……。
「プレゼントは…………アタシたちよーっ!」
「いま絶対もらってくれるって言ったよね!?」
「ユーリ様、わたくしたちと性なる一夜を過ごしましょう」
「ユーリ殿にオレの全部をあげるぜ」
「ご主人様、いっぱいオシオキしてください」
「わたしの全てはユーリ様のモノです~!」
「うわあああっ、みんな、落ちついてえええええっ」
下着姿になったメジェールたちは、全員で一気に僕のもとへと殺到する。
そのあまりの迫力に、思わず身がすくんで棒立ちになってしまった。
僕ともあろう者が、ヘビに睨まれたカエルのように動けないいいい~っ!
「ネ、ネーナ助けて……」
「ユーリ国王様、どうかこのわたしももらってください!」
「ぎょええええ、ネーナ、キミまでえええっ!?」
僕の横に立っていたネーナも、いつの間にか服を脱いで下着姿になっていた。
そしてメジェールたちとともに、両手を広げて僕に飛びついてきた。
「ひいいいっ」
みんなの突撃を間一髪『蜃気楼の騎士』の効果で躱すと、僕は地を這うように疾走して執務室を逃げ出した。
「待ちなさいユーリ!」
僕を捕まえるため、みんなもあとを追ってくる。
ううっ、どういうわけか、呪われているかのように身体が重いぞ!? まるで水中をもがいてるような感覚だ。
このままじゃ彼女たちに捕まってしまう……!
「ヒロ様、こちらへ!」
「アニスさん!」
もつれるような足取りで必死に逃げる僕の前に、アニスさんが現れた。
そして扉を開けて部屋に招き入れてくれる。
「ここならもう安心ですよ、ヒロ様」
「ヒロよ、何やら大変な目に遭ったようだな」
「ありがとうございますアニスさん、ディオーネさん」
部屋の中にはディオーネさんもいて、僕が入室したあとすぐにカギをかけてくれた。
まあメジェールたちが本気になれば、この程度の扉では到底食い止めることなんて無理だけど、まさか壊して入ってくることはしないだろ……え、ちょっと待って。
アニスさんとディオーネさんのお腹あたりが膨らんでいるんだけど、なんでかな?
「あの……お二人とも、そのお腹はどうしたんですか?」
嫌な予感を覚えながら、僕はできるだけ冷静に静かな口調で訊いてみる。
「あら、いやですわ。ご自分の子を忘れてしまうなんて」
「そうだぞヒロ、これはお前との間にできた赤ちゃんではないか」
ウソだーっ!
ぼ、僕は何もしてないのに、勝手に子供なんてできるはずが………………まさか、想像妊娠!?
ホントに気合いで成し遂げちゃったの!?
「ヒロよ、コレがワタシたちからのクリスマスプレゼントだ」
「もちろん、責任取ってくれますわよね?」
「うわあああ、ご、ごめんなさーいっ」
僕は全身を丸めて窓に飛び込み、ガラスを割って外へ逃げ出した。
王宮の3階から地上へと着地し、そのまま街に向かって全力疾走をする。
いったいどうなってるんだ!?
お願いだから、何かのドッキリであってくれ……!
◇◇◇
街なかまで走り、追っ手が来ないことを確認すると、僕はようやく一息ついた。
思えば、今までこの関係を先延ばしにして溜まりに溜まったツケが、このクリスマスを迎えて爆発してしまったのかもしれない。
僕が悪いんだよな。でも、どうやってこの騒ぎを収めよう……。
うなだれながらトボトボと道を歩いていると、前から見知った顔――パルレさん、エイミーさん、ドマさんが現れた。
ちょっとドキッとしたが、彼女たちならいい解決策を教えてくれるかもしれない。
僕は急いで駆け寄り、このトラブルを相談しようとした。
しかし、ふと目線を下げると、彼女たちのお腹も何やら膨らんでいる気が……?
「坊主、お前の赤ちゃんは順調に大きくなっているでしゅ!」
「よく見てください、ユーリさんとの愛の証ですよ」
「ヒロさんと結婚できるなんて幸せです」
どういうことなんだーっ!?
みんながおかしいっ、いや、おかしいのは僕のアタマなのか!?
僕はドマさんたちの直前で身を翻し、一目散にその場を離れた。
無我夢中で走りながら街外れまで来ると、これまでのことをもう一度よく考える。
やっぱり何かがおかしい。そんなに都合よく想像妊娠ってできるのか?
クリスマスってことで、みんなからからかわれてるのかなあ……そうであってほしいけど、彼女たちはどこまで本気か判断つかないところがある。
うっかり対応を間違えると、さらなる地獄が……
「見ぃ~つけた!」
「おわあああああああああああっ」
だだだだ誰だ!?
ここには誰もいなかったのに!?
「あたしよ、あたし! 秘密諜報員のケイパーよ」
「ケケケイパーさん!? ……ホントだ、お久しぶりです!」
ケイパーさんは、以前ゼルドナでお世話になった人だ。
彼女のおかげで、重大な事件を解決することができたのだった。
そのケイパーさんが持つ能力は、『虚陽炎』という自身の存在を消すことができるモノだったけど、いつの間にかその力で近寄ってたのか。
あれ、でも僕の『真理の天眼』なら、その存在も見通せるはずなんだけどなあ。
「どうしたのヒロ君? いつも落ちついてたキミらしくないわね? いったい何があったの?」
よかった、ケイパーさんならこのことを相談できる。
「じ、実はですね、知り合いの女性たちがおかしくなってしまって……それに何故か妊娠までしてるんですよ。もちろん、僕は何もしてないのに」
「え~、そんな不思議なことってあるんだ!? でもこの子はあたしとヒロ君の愛の結晶だから、おかしいことなんてないよね?」
とケイパーさんがお腹を指し示すと、そこはポッコリと膨らんでいたのだった。
「ケケケイパーさんっ、な、なんで? 僕たちいま久々に会ったじゃないですか!? 愛の結晶なんて作る機会は……」
「やーね、あの日一晩一緒に過ごしたじゃない! あのときできたのよ♪」
そんなばかなあああああっ!?
赤ちゃんって、一緒に夜を過ごしただけでできちゃうの!?
いや、そんなわけない! そうだ、みんなの頭がおかしくなっちゃったんだ!
「ケ、ケイパーさんさよなら~っ」
僕は慌ててここも逃げ出す。
みんなおかしい。僕以外全員おかしい。
落ち着け僕、もしかしてこれは何かの罠なのでは!?
……そうだ、これは敵の仕業だ!
とてつもない敵――新たな魔王軍が現れたに違いない!
ここまで手強いヤツがいたとは……おのれ魔王軍め、絶対に許さないぞ!
僕の『幻影真術』でも、果たしてここまでの力があるか分からないほどの強力な術だ。
気を引き締めて立ち向かわなくては!
どこをどう走ったか分からないうちに、ふと前を見ると、マグナさん、シェナさんのベルニカ姉妹とサクヤが立っていた。
一瞬ギョッとしたあと、彼女たちのお腹を確認してみる……。
よかった、膨らんでない。彼女たちは正常だ!
僕はようやく味方を見つけたとばかりに、彼女たちのところに駆け寄った。
「マグナさん、シェナさん、何かが、何かが変なんです。みんなの頭がおかしくなってるような感じで……助けてください!」
「安心しろユーリ、アタシたちがなんとかしてやる」
「ここにいればもう大丈夫よ」
ああ、なんて頼もしい……さすがイオの魔道士マグナさん。
そして最強の退魔師シェナさんがいれば、魔王軍の術だって通用しないはず!
「なんだい坊や、頭のおかしい女たちに追われてるのかい? ならこのアタシに任せな」
と、後方から妖艶な声が聞こえてきたので振り返ってみる。
………………確認するまでもなくゾディーさんだった。
うう、この人が一番頭がおかしい。布地がない、ヒモだけの下着姿で立ってるし。
もはやほぼ全裸ですよ?
まさかこの姿で街を歩いてきたのか? 僕の国の警備兵たちは、いったい何をしているんだ?
「出たな化け物っ! この場で退治してやる!」
「ふん、男日照りの残念姉妹が! ここで決着を付けてやるさね。勝ったほうが坊やの童貞をいただくってことでいいね?」
「仕方ないわね、その勝負受けてあげるわ」
「ユーリ安心しろ、アタシたちが勝ってお前の初体験をもらってやるから!」
ううっ、敵の仕業じゃない、やっぱりみんなの頭がおかしくなってるんだ。
いやそれとも、どこか別の世界に僕が迷い込んじゃったのか?
なんにせよ、また逃げるしかない!
僕はこの場を全力ダッシュで離れる。
「むっ、逃がすものか! 『舐り大蝦蟇』よ、ユーリを引っ捕らえよ」
「うおっ、うわあああっ!」
サクヤが精霊を召喚すると、体長10mほどの水の精霊――大ガエルが現れ、その口から長い舌を出して僕に巻き付けた。
ぎょええっ、ねちょねちょべっとりして気持ち悪い……!
「デ、『精霊強制送還』っ!」
僕も精霊魔法を使って、大ガエルを精霊界へと戻す。
「ぬっ、さすがユーリ、わらわの精霊を簡単に追い返すとは!」
もうだめだ、僕に味方はいない!
一度この国を離れたほうがいいのかもしれない。
『縮地』も併用して一気に遠くまで移動すると、このあとどうするか真剣に考える。
もし彼女たちが操られていない状態――つまり、素の状態でアレなら、僕はもうどうしていいか分からない。
……いやまて、元から彼女たちってあんな感じだったかも?
今回大げさに本性を現しただけで、実は最初から変わってないような気が……。
うーむ、何が真実が分からなくなってきたな。
だとしたら、あまり深く考えずに、今まで通り接していけばいいのかなあ……。
いや、僕のそういう優柔不断な態度が、この事態を引き起こしたんだ。
ちゃんと反省しないと。
と考えていると、急に足下が緩くなり、僕はズルリと地面に飲み込まれてしまった。
この技は……!?
「ダーリン、捕まえたぞ!」
ネネの死影術『影奈落』だーっ!
影から実体化したネネは、僕の後ろから首に腕を回して抱きつく。
「や、やめなさいネネっ」
「いやだ、もう離さないぞダーリン♪」
言っても聞かないようなので、仕方なく『瞬間移動』で脱出する。
どこに逃げても無駄なのか!? 僕には逃げる場所はないというのか?
なら……これでどうだ!
僕は超強力な結界を張った。
久魅那の『空間魔法』でも出入り不能な、絶対不可侵結界だ。
もうこれで僕のそばには誰も近寄れない……
「小僧、貴様の結界などワシには全て無効だ」
あんぎゃあ~っ、ゼルマが入ってきたあああっ!
そうだった、ゼルマには僕の結界がまるで効かないんだった。
でもひねくれ者のゼルマなら、僕に迫ってくるようなことはしないはず……?
「小僧よ、貴様とは年の差5000歳だが、仲睦まじい家庭をつくろうぞ」
うわああん、ゼルマのお腹が膨らんでるうううっ!
泣きそう……いや、僕は泣いた。
どこまで行ってもこの悪夢から逃れられないのか!?
くそっ、こうなったら地の果てまで逃げてやる!
追ってこれるものなら来てみろ!
僕は『空間転移』で、1000キロ離れた場所まで一気に跳んだ。
ああ、これでもうテンプルムには戻れないのか……?
「ユーリ~っ! 私たちからは逃げられないわよ。今の私は、1万キロ離れていたってユーリの匂いを嗅ぎ付けられるんだから!」
「そしてユーリ様、わたしがいることをお忘れなく!」
「ぐはあああっ」
なんと、久魅那の『空間魔法』で僕を追ってきた!
ちょっと待って、リノの探知範囲が1万キロ!?
リノの『超五感上昇』って、そんなに成長してるの!? 僕でもそこまで凄くないぞ!?
それに久魅那の『空間魔法』も全員で転移できるなんて、『眷女』になって大きく能力アップしたのか。
これじゃどうやっても逃げ切れないっ!
この場にはメジェール、リノ、フィーリア、ソロル、フラウ、久魅那、ネーナ、アニスさん、ディオーネさん、パルレさん、エイミーさん、ドマさん、ケイパーさん、サクヤ、マグナさん、シェナさん、ゾディーさん、ネネ、ゼルマの19人が勢揃いしている。
「ぐふふふ、ユーリ様、責任を取っていただきますわ……」
「みんなと結婚するのよ……!」
いつの間にか、フィーリアやメジェールまでお腹が大きくなっていた。
こんな短時間で想像妊娠したのか!? いや、彼女たちならそれも実現可能だ。
お、恐ろしい、僕はこんな少女たちを『眷女』にしていたのか……。
絶望感に襲われながらじりじりと寄ってくる彼女たちを見ていると、僕のすぐ後ろの地面にポコッと穴が空き、そこから獣人の少女が顔を出した。
「パパにゃん、こっちだにゃん!」
ハッと正気に戻り、僕はその少女に促されて穴へと飛び込む。
「あっ、ユーリっ、待ちなさいっ!」
驚いたメジェールたちが追ってこようとすると、その穴の入り口が閉じてシャットアウトした。
これは……逃げ切ったのか?
それはいいんだけど、目の前のこの少女はいったい誰だ?
少女は15歳くらいで、猫耳の付いた外見から察するに猫人だ。
身長は150㎝程度、腰まで届く白髪のロングヘアーで、前髪の一部がセピア色のメッシュになっている。
ものすごい美少女だけど、恐らく僕とは初対面のはず。
うーんでも、どこかで見たことあるような……誰だっけ?
「パパにゃん、ボクだよ。まだ分からない?」
そう言いながら、少女は少し上向いて耳と鼻をぴくぴくと動かす。
そして大きく口を開けてンガーオと鳴いた。
「ひょっとして……ルクなの!?」
「当ったりー!」
ええっ、ルクが人間の女の子になってる!?
これまたどうなってるんだ!?
「ボクね、神様にお願いしたら、クリスマスのプレゼントに人間にしてもらったんだ」
「そんなこと可能なの!?」
まああの神様なら、気まぐれでこんな願いごと叶えちゃってもおかしくないけど。
それにしても、ルクってば人間になるとこんな感じなのか。
外見はだいぶ違うけど、甘えん坊の雰囲気は変わってないな。
「それでね、ボクからもパパにゃんにプレゼントがあるにゃん」
「えっ……?」
うっ、もはや恐怖しかないこの言葉だけど、ルクなら大丈夫だろう。
めちゃくちゃいい子だし。
僕はルクからのプレゼントを待つ……。
「はーいパパにゃん。美味しい黒羽虫、お腹いっぱい食べてね♪」
「ぎぃやあああああああああああああああああっ」
ルクが差し出してきたのは、全身をテカテカと光らせた、体長1mにもなる超巨大黒羽虫だった。それを見て、思わず僕は悲鳴を上げてしまう。
こんなの見たことも聞いたこともないよ!?
黒羽虫って、大きくてもせいぜい10㎝くらいなはず!?
その超巨大黒羽虫が、ルクの腕の上で長いヒゲと手足をバタバタ動かしているのを見て、僕はフッと気が遠くなるのだった………………
◇◇◇
「はっ…………………………え? 今のって、全部夢……?」
ふと目を覚ますと、僕はベッドの上で横になっていた。
その僕のお腹の上に、ルクがアタマを乗っけて寝ている。
どうやらその重さで悪夢を見ちゃったらしい。僕の全身は汗でびっしょり濡れていた。
……だよね。いくらなんでもおかしいと思ったもん。
でもよかった……。
あんなプレゼントはないんだね?
誰も妊娠なんかしてないんだね!?
僕はここにいていいんだね?
コンコン……
安心しながらルクのアタマを撫でていると、ふと部屋の扉をノックする音が。
こんな早朝からいったい誰かな。
う……何故だろう、寒気がぞぞぞと背筋を走る……
「ユーリー、今日はクリスマスよ! アタシたちからプレゼントがあるから、この扉を開けてー♪」
部屋の外から話しかけるメジェールの声を聞いて、僕は自分のほほを思いっきりつねるのだった……。
***********************************
夢オチなのでボツにしようか悩みましたけど、せっかくなのでアップしました。
ただ、スキルゲッターのイメージを崩すようだったら、あとで削除するかもしれません(^^;
執務室でテンプルム国王としての仕事をしていると、メジェール、リノ、フィーリア、ソロル、フラウ、久魅那、の6人が突然入ってきてクラッカーを鳴らした。
「ユーリ、今日くらいは仕事をやめてみんなで楽しみましょ!」
「そうそう、パーティーの準備もしてあるんだから!」
メジェールとリノの発言に、なんのことかと驚きながら横にいる秘書――ネーナの顔を見る。
「ユーリ国王様、本日は聖なるクリスマスですので、わたしたちみんなでサプライズを考えたんです」
なるほど、これは僕を驚かすサプライズ演出なのか。
そういえば、今日はクリスマスだということをすっかり忘れてたよ。
でもクリスマスをお祝いするのは帝国の習慣であって、僕たちにはあまり馴染みのないイベントのはず。
実際、今まで暮らしてきて特にクリスマスをお祝いしたことはない。
ああでも、ネーナやドマさん、ゾディーさんは帝国出身だから、彼女たちから教えてもらったのかも?
「みんな、僕のために準備をしてくれてありがとう。せっかくだから、みんなでクリスマスをお祝いしようか」
「やったー!」
僕の決定に、全員から喜びの声が上がった。
まあ今日くらいはいいだろう。
「ユーリ、クリスマスにはプレゼントを渡すってこと知ってる?」
えっ、そういえば、聞いたことあるかも?
「ごめん、クリスマスのことは忘れてたから、みんなへのプレゼントは準備してないんだ。また別の機会のときにでもいいかな?」
「ううん、ユーリからのプレゼントはいいの。アタシたちがあげたいだけ」
「えっ、でも、なんかみんなに悪いよ……」
「いいのよ。その代わり、アタシたちのプレゼント絶対に受け取ってね」
な、なんだその変な言い回しは?
そして明るく楽しい雰囲気だったのが、ドス黒い怨霊が地から湧き出たような空気に変わってるのは何故……?
「えーと、頂ける物ならありがたく受け取らせてもらうけど……」
僕は恐る恐る返事をする。
「約束したわよ。じゃあアタシたちからのプレゼントをあげるから、しっかり受け取ってね」
と言いながら、メジェールたちは服を脱ぎだした。
な、なに? 何が起こってるの!?
何故か分からないが、僕の背筋が恐怖に凍り付いていく……。
「プレゼントは…………アタシたちよーっ!」
「いま絶対もらってくれるって言ったよね!?」
「ユーリ様、わたくしたちと性なる一夜を過ごしましょう」
「ユーリ殿にオレの全部をあげるぜ」
「ご主人様、いっぱいオシオキしてください」
「わたしの全てはユーリ様のモノです~!」
「うわあああっ、みんな、落ちついてえええええっ」
下着姿になったメジェールたちは、全員で一気に僕のもとへと殺到する。
そのあまりの迫力に、思わず身がすくんで棒立ちになってしまった。
僕ともあろう者が、ヘビに睨まれたカエルのように動けないいいい~っ!
「ネ、ネーナ助けて……」
「ユーリ国王様、どうかこのわたしももらってください!」
「ぎょええええ、ネーナ、キミまでえええっ!?」
僕の横に立っていたネーナも、いつの間にか服を脱いで下着姿になっていた。
そしてメジェールたちとともに、両手を広げて僕に飛びついてきた。
「ひいいいっ」
みんなの突撃を間一髪『蜃気楼の騎士』の効果で躱すと、僕は地を這うように疾走して執務室を逃げ出した。
「待ちなさいユーリ!」
僕を捕まえるため、みんなもあとを追ってくる。
ううっ、どういうわけか、呪われているかのように身体が重いぞ!? まるで水中をもがいてるような感覚だ。
このままじゃ彼女たちに捕まってしまう……!
「ヒロ様、こちらへ!」
「アニスさん!」
もつれるような足取りで必死に逃げる僕の前に、アニスさんが現れた。
そして扉を開けて部屋に招き入れてくれる。
「ここならもう安心ですよ、ヒロ様」
「ヒロよ、何やら大変な目に遭ったようだな」
「ありがとうございますアニスさん、ディオーネさん」
部屋の中にはディオーネさんもいて、僕が入室したあとすぐにカギをかけてくれた。
まあメジェールたちが本気になれば、この程度の扉では到底食い止めることなんて無理だけど、まさか壊して入ってくることはしないだろ……え、ちょっと待って。
アニスさんとディオーネさんのお腹あたりが膨らんでいるんだけど、なんでかな?
「あの……お二人とも、そのお腹はどうしたんですか?」
嫌な予感を覚えながら、僕はできるだけ冷静に静かな口調で訊いてみる。
「あら、いやですわ。ご自分の子を忘れてしまうなんて」
「そうだぞヒロ、これはお前との間にできた赤ちゃんではないか」
ウソだーっ!
ぼ、僕は何もしてないのに、勝手に子供なんてできるはずが………………まさか、想像妊娠!?
ホントに気合いで成し遂げちゃったの!?
「ヒロよ、コレがワタシたちからのクリスマスプレゼントだ」
「もちろん、責任取ってくれますわよね?」
「うわあああ、ご、ごめんなさーいっ」
僕は全身を丸めて窓に飛び込み、ガラスを割って外へ逃げ出した。
王宮の3階から地上へと着地し、そのまま街に向かって全力疾走をする。
いったいどうなってるんだ!?
お願いだから、何かのドッキリであってくれ……!
◇◇◇
街なかまで走り、追っ手が来ないことを確認すると、僕はようやく一息ついた。
思えば、今までこの関係を先延ばしにして溜まりに溜まったツケが、このクリスマスを迎えて爆発してしまったのかもしれない。
僕が悪いんだよな。でも、どうやってこの騒ぎを収めよう……。
うなだれながらトボトボと道を歩いていると、前から見知った顔――パルレさん、エイミーさん、ドマさんが現れた。
ちょっとドキッとしたが、彼女たちならいい解決策を教えてくれるかもしれない。
僕は急いで駆け寄り、このトラブルを相談しようとした。
しかし、ふと目線を下げると、彼女たちのお腹も何やら膨らんでいる気が……?
「坊主、お前の赤ちゃんは順調に大きくなっているでしゅ!」
「よく見てください、ユーリさんとの愛の証ですよ」
「ヒロさんと結婚できるなんて幸せです」
どういうことなんだーっ!?
みんながおかしいっ、いや、おかしいのは僕のアタマなのか!?
僕はドマさんたちの直前で身を翻し、一目散にその場を離れた。
無我夢中で走りながら街外れまで来ると、これまでのことをもう一度よく考える。
やっぱり何かがおかしい。そんなに都合よく想像妊娠ってできるのか?
クリスマスってことで、みんなからからかわれてるのかなあ……そうであってほしいけど、彼女たちはどこまで本気か判断つかないところがある。
うっかり対応を間違えると、さらなる地獄が……
「見ぃ~つけた!」
「おわあああああああああああっ」
だだだだ誰だ!?
ここには誰もいなかったのに!?
「あたしよ、あたし! 秘密諜報員のケイパーよ」
「ケケケイパーさん!? ……ホントだ、お久しぶりです!」
ケイパーさんは、以前ゼルドナでお世話になった人だ。
彼女のおかげで、重大な事件を解決することができたのだった。
そのケイパーさんが持つ能力は、『虚陽炎』という自身の存在を消すことができるモノだったけど、いつの間にかその力で近寄ってたのか。
あれ、でも僕の『真理の天眼』なら、その存在も見通せるはずなんだけどなあ。
「どうしたのヒロ君? いつも落ちついてたキミらしくないわね? いったい何があったの?」
よかった、ケイパーさんならこのことを相談できる。
「じ、実はですね、知り合いの女性たちがおかしくなってしまって……それに何故か妊娠までしてるんですよ。もちろん、僕は何もしてないのに」
「え~、そんな不思議なことってあるんだ!? でもこの子はあたしとヒロ君の愛の結晶だから、おかしいことなんてないよね?」
とケイパーさんがお腹を指し示すと、そこはポッコリと膨らんでいたのだった。
「ケケケイパーさんっ、な、なんで? 僕たちいま久々に会ったじゃないですか!? 愛の結晶なんて作る機会は……」
「やーね、あの日一晩一緒に過ごしたじゃない! あのときできたのよ♪」
そんなばかなあああああっ!?
赤ちゃんって、一緒に夜を過ごしただけでできちゃうの!?
いや、そんなわけない! そうだ、みんなの頭がおかしくなっちゃったんだ!
「ケ、ケイパーさんさよなら~っ」
僕は慌ててここも逃げ出す。
みんなおかしい。僕以外全員おかしい。
落ち着け僕、もしかしてこれは何かの罠なのでは!?
……そうだ、これは敵の仕業だ!
とてつもない敵――新たな魔王軍が現れたに違いない!
ここまで手強いヤツがいたとは……おのれ魔王軍め、絶対に許さないぞ!
僕の『幻影真術』でも、果たしてここまでの力があるか分からないほどの強力な術だ。
気を引き締めて立ち向かわなくては!
どこをどう走ったか分からないうちに、ふと前を見ると、マグナさん、シェナさんのベルニカ姉妹とサクヤが立っていた。
一瞬ギョッとしたあと、彼女たちのお腹を確認してみる……。
よかった、膨らんでない。彼女たちは正常だ!
僕はようやく味方を見つけたとばかりに、彼女たちのところに駆け寄った。
「マグナさん、シェナさん、何かが、何かが変なんです。みんなの頭がおかしくなってるような感じで……助けてください!」
「安心しろユーリ、アタシたちがなんとかしてやる」
「ここにいればもう大丈夫よ」
ああ、なんて頼もしい……さすがイオの魔道士マグナさん。
そして最強の退魔師シェナさんがいれば、魔王軍の術だって通用しないはず!
「なんだい坊や、頭のおかしい女たちに追われてるのかい? ならこのアタシに任せな」
と、後方から妖艶な声が聞こえてきたので振り返ってみる。
………………確認するまでもなくゾディーさんだった。
うう、この人が一番頭がおかしい。布地がない、ヒモだけの下着姿で立ってるし。
もはやほぼ全裸ですよ?
まさかこの姿で街を歩いてきたのか? 僕の国の警備兵たちは、いったい何をしているんだ?
「出たな化け物っ! この場で退治してやる!」
「ふん、男日照りの残念姉妹が! ここで決着を付けてやるさね。勝ったほうが坊やの童貞をいただくってことでいいね?」
「仕方ないわね、その勝負受けてあげるわ」
「ユーリ安心しろ、アタシたちが勝ってお前の初体験をもらってやるから!」
ううっ、敵の仕業じゃない、やっぱりみんなの頭がおかしくなってるんだ。
いやそれとも、どこか別の世界に僕が迷い込んじゃったのか?
なんにせよ、また逃げるしかない!
僕はこの場を全力ダッシュで離れる。
「むっ、逃がすものか! 『舐り大蝦蟇』よ、ユーリを引っ捕らえよ」
「うおっ、うわあああっ!」
サクヤが精霊を召喚すると、体長10mほどの水の精霊――大ガエルが現れ、その口から長い舌を出して僕に巻き付けた。
ぎょええっ、ねちょねちょべっとりして気持ち悪い……!
「デ、『精霊強制送還』っ!」
僕も精霊魔法を使って、大ガエルを精霊界へと戻す。
「ぬっ、さすがユーリ、わらわの精霊を簡単に追い返すとは!」
もうだめだ、僕に味方はいない!
一度この国を離れたほうがいいのかもしれない。
『縮地』も併用して一気に遠くまで移動すると、このあとどうするか真剣に考える。
もし彼女たちが操られていない状態――つまり、素の状態でアレなら、僕はもうどうしていいか分からない。
……いやまて、元から彼女たちってあんな感じだったかも?
今回大げさに本性を現しただけで、実は最初から変わってないような気が……。
うーむ、何が真実が分からなくなってきたな。
だとしたら、あまり深く考えずに、今まで通り接していけばいいのかなあ……。
いや、僕のそういう優柔不断な態度が、この事態を引き起こしたんだ。
ちゃんと反省しないと。
と考えていると、急に足下が緩くなり、僕はズルリと地面に飲み込まれてしまった。
この技は……!?
「ダーリン、捕まえたぞ!」
ネネの死影術『影奈落』だーっ!
影から実体化したネネは、僕の後ろから首に腕を回して抱きつく。
「や、やめなさいネネっ」
「いやだ、もう離さないぞダーリン♪」
言っても聞かないようなので、仕方なく『瞬間移動』で脱出する。
どこに逃げても無駄なのか!? 僕には逃げる場所はないというのか?
なら……これでどうだ!
僕は超強力な結界を張った。
久魅那の『空間魔法』でも出入り不能な、絶対不可侵結界だ。
もうこれで僕のそばには誰も近寄れない……
「小僧、貴様の結界などワシには全て無効だ」
あんぎゃあ~っ、ゼルマが入ってきたあああっ!
そうだった、ゼルマには僕の結界がまるで効かないんだった。
でもひねくれ者のゼルマなら、僕に迫ってくるようなことはしないはず……?
「小僧よ、貴様とは年の差5000歳だが、仲睦まじい家庭をつくろうぞ」
うわああん、ゼルマのお腹が膨らんでるうううっ!
泣きそう……いや、僕は泣いた。
どこまで行ってもこの悪夢から逃れられないのか!?
くそっ、こうなったら地の果てまで逃げてやる!
追ってこれるものなら来てみろ!
僕は『空間転移』で、1000キロ離れた場所まで一気に跳んだ。
ああ、これでもうテンプルムには戻れないのか……?
「ユーリ~っ! 私たちからは逃げられないわよ。今の私は、1万キロ離れていたってユーリの匂いを嗅ぎ付けられるんだから!」
「そしてユーリ様、わたしがいることをお忘れなく!」
「ぐはあああっ」
なんと、久魅那の『空間魔法』で僕を追ってきた!
ちょっと待って、リノの探知範囲が1万キロ!?
リノの『超五感上昇』って、そんなに成長してるの!? 僕でもそこまで凄くないぞ!?
それに久魅那の『空間魔法』も全員で転移できるなんて、『眷女』になって大きく能力アップしたのか。
これじゃどうやっても逃げ切れないっ!
この場にはメジェール、リノ、フィーリア、ソロル、フラウ、久魅那、ネーナ、アニスさん、ディオーネさん、パルレさん、エイミーさん、ドマさん、ケイパーさん、サクヤ、マグナさん、シェナさん、ゾディーさん、ネネ、ゼルマの19人が勢揃いしている。
「ぐふふふ、ユーリ様、責任を取っていただきますわ……」
「みんなと結婚するのよ……!」
いつの間にか、フィーリアやメジェールまでお腹が大きくなっていた。
こんな短時間で想像妊娠したのか!? いや、彼女たちならそれも実現可能だ。
お、恐ろしい、僕はこんな少女たちを『眷女』にしていたのか……。
絶望感に襲われながらじりじりと寄ってくる彼女たちを見ていると、僕のすぐ後ろの地面にポコッと穴が空き、そこから獣人の少女が顔を出した。
「パパにゃん、こっちだにゃん!」
ハッと正気に戻り、僕はその少女に促されて穴へと飛び込む。
「あっ、ユーリっ、待ちなさいっ!」
驚いたメジェールたちが追ってこようとすると、その穴の入り口が閉じてシャットアウトした。
これは……逃げ切ったのか?
それはいいんだけど、目の前のこの少女はいったい誰だ?
少女は15歳くらいで、猫耳の付いた外見から察するに猫人だ。
身長は150㎝程度、腰まで届く白髪のロングヘアーで、前髪の一部がセピア色のメッシュになっている。
ものすごい美少女だけど、恐らく僕とは初対面のはず。
うーんでも、どこかで見たことあるような……誰だっけ?
「パパにゃん、ボクだよ。まだ分からない?」
そう言いながら、少女は少し上向いて耳と鼻をぴくぴくと動かす。
そして大きく口を開けてンガーオと鳴いた。
「ひょっとして……ルクなの!?」
「当ったりー!」
ええっ、ルクが人間の女の子になってる!?
これまたどうなってるんだ!?
「ボクね、神様にお願いしたら、クリスマスのプレゼントに人間にしてもらったんだ」
「そんなこと可能なの!?」
まああの神様なら、気まぐれでこんな願いごと叶えちゃってもおかしくないけど。
それにしても、ルクってば人間になるとこんな感じなのか。
外見はだいぶ違うけど、甘えん坊の雰囲気は変わってないな。
「それでね、ボクからもパパにゃんにプレゼントがあるにゃん」
「えっ……?」
うっ、もはや恐怖しかないこの言葉だけど、ルクなら大丈夫だろう。
めちゃくちゃいい子だし。
僕はルクからのプレゼントを待つ……。
「はーいパパにゃん。美味しい黒羽虫、お腹いっぱい食べてね♪」
「ぎぃやあああああああああああああああああっ」
ルクが差し出してきたのは、全身をテカテカと光らせた、体長1mにもなる超巨大黒羽虫だった。それを見て、思わず僕は悲鳴を上げてしまう。
こんなの見たことも聞いたこともないよ!?
黒羽虫って、大きくてもせいぜい10㎝くらいなはず!?
その超巨大黒羽虫が、ルクの腕の上で長いヒゲと手足をバタバタ動かしているのを見て、僕はフッと気が遠くなるのだった………………
◇◇◇
「はっ…………………………え? 今のって、全部夢……?」
ふと目を覚ますと、僕はベッドの上で横になっていた。
その僕のお腹の上に、ルクがアタマを乗っけて寝ている。
どうやらその重さで悪夢を見ちゃったらしい。僕の全身は汗でびっしょり濡れていた。
……だよね。いくらなんでもおかしいと思ったもん。
でもよかった……。
あんなプレゼントはないんだね?
誰も妊娠なんかしてないんだね!?
僕はここにいていいんだね?
コンコン……
安心しながらルクのアタマを撫でていると、ふと部屋の扉をノックする音が。
こんな早朝からいったい誰かな。
う……何故だろう、寒気がぞぞぞと背筋を走る……
「ユーリー、今日はクリスマスよ! アタシたちからプレゼントがあるから、この扉を開けてー♪」
部屋の外から話しかけるメジェールの声を聞いて、僕は自分のほほを思いっきりつねるのだった……。
***********************************
夢オチなのでボツにしようか悩みましたけど、せっかくなのでアップしました。
ただ、スキルゲッターのイメージを崩すようだったら、あとで削除するかもしれません(^^;
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