上 下
195 / 258
第7章 新国テンプルム

第362話 モンスター食べてパワーアップ

しおりを挟む
 あれから数日が経ち、『赤き天馬』探しに向けて出発の準備も整った。
 ゼルマの証言からだいたいの場所も分かったので、未開の地でもなんとかなるはず。

 移動手段としては、『時空通穴ワームホール』を使う予定だ。
空間転移スペースジャンプ』は一度行った場所にしか使わないことにしてるので、『時空通穴ワームホール』を通って近くまで行く。
時空通穴ワームホール』の中は異次元となっていて、移動距離も短縮されるので、多分1日もあれば目当ての地に辿り着けるはずだ。

 熾光魔竜ゼインで飛んでいけばもっと早いけど、ドマさんやゼルマには見せたくないし、それに現在熾光魔竜ゼインは銀子に付き添ってるからね。
 どうしてもそれらしき場所が発見できなかったら、そのときは熾光魔竜ゼインに協力してもらうかもしれないけど。

 ただ、その場所は吸血鬼の間で『迷いの森』とも言われていたらしく、『赤き天馬』に出会ったのもたまたまだったらしい。
 話を聞いて調査に行った吸血鬼たちは、誰も『赤き天馬』を確かめることができなかったという。
 果たして、僕たちは出会うことができるだろうか……?

 ちなみに、眷女のみんなは行かないとのこと。
 どうやらまだゼルマに対するわだかまりが残ってて、一緒に行動するには少々抵抗があるようだ。

 まあ僕としても、今回はゼルマとドマさんだけのほうがいいと思ってた。
 どんな危険があるか分からないので、あまり人数が多いと安全を確保できるか不安があったのだ。
 ゼルマとドマさんだけなら、何が起こっても僕が守り切れる。


 ということで、いよいよ明日出発という状況で、本日神様から経験値を貰える日になった。
 いつも通り神様に感謝しながら100億の経験値を頂く。ストック分と合わせると、現在の所持経験値は149億5000万。
 そして今月の女神様からのスキルは、『魔料理』というSランクのモノだった。
 それを経験値100万使って習得する。

『魔料理』なんて、これまた聞いたことないスキルだけど、なんとモンスターを調理して食べられるようにする効果があった。
 基本的には、モンスターの肉は不味くて食べられたモノじゃなかったり、毒があるヤツも多いんだけど、それをスキルの力でなんとかしてくれるらしい。

 それだけなら大した効果じゃないけど、このスキルの凄いところは、調理したモンスターを食べることによって経験値が得られること。
 これは僕だけじゃなくて、その料理を食べれば誰でも経験値が貰えるという、まさに『魔料理』だ。

 ただし、モンスターはキッチリ殺さないと、スキルの対象にはならない。
 仮に、生きてるモンスターから一部を削り取って、それを食べたとしても、経験値は獲得できないようだ。
 対象を殺すことによって、その肉にも経験値が含まれるようになるらしい。
 モンスターを倒して一度経験値を貰い、さらにそいつを食べることでも経験値が得られるなんて、二度美味しいスキルといえる。

 ちなみに、獲得できる経験値は調理されるモンスターによって変わり、強いモンスターほど多くの経験値を貰うことができる。
 スキルのレベルを上げれば、さらに多くの経験値が貰えるようになるらしい。
 もちろん、食べる量にも比例して経験値も増える。ただし、各モンスターごとに、1日に貰える経験値の限界が決められているようだ。
 つまり、大食いしまくって経験値をたくさん貰うようなマネはできない。

 なるほど、これは面白いスキルだ。
 結構応用が利きそうなので、経験値10億以上使ってレベルを10にした。
 そして、早速素材として保存してあったモンスターの一部を、『魔料理』で調理して食べてみる。


 …………………………………………………………。


 うん、確かに経験値は貰えたけど、全然美味しくない。
 かろうじて食べられるような味だけど、これは進んで食べたい料理ではないな。
『魔料理』スキルはモンスターを食用に調理できるけど、味は二の次らしい。

 ……そうか、味については、『料理』スキルじゃないと美味しくならないんだ!
 なら、『料理』スキルを上げてみよう。この手のスキルは、だいたいコピーで手に入れてある。
 僕は経験値1000万ちょっと使って、『料理』スキルをレベル10にした。

 実は、『料理』スキルはレベルを上げないように、眷女のみんなから言われてたんだけどね。
 僕が料理まで上手になったら、女の子として立場がなくなっちゃうからということなんだけど、この場合はもう仕方ないだろう。
 改めて、『魔料理』と『料理』の両スキルを駆使して、モンスター料理を作ってみる。

 ……おお! これは結構美味しいぞ。
 元の素材が不味いモンスター肉なので、味加減にも限界はあるが、これならまあ安心して食べられる。
 貰える経験値も、『魔料理』スキルをレベル10にしただけにかなり多い。

 試しに、アイテムボックスに保存してある素材を鑑定してみたところ、ドラゴンの肉を食べれば、1日最大100万経験値が貰えるようだ。
嘆きの大蛇神エンシェントナーガ』なら経験値300万、邪黒竜だと、なんと1000万も貰えるぞ。
 まあ1㎏以上食べないとダメだけどね。

 ただ、モンスターの肉をそれほど保存してないんだよね……まさか食べるなんて、考えもつかなかったし。
 一応『嘆きの大蛇神エンシェントナーガ』は、尻尾の部分を100㎏ほど採取してあるけど、大勢で食べたらあっという間に無くなっちゃうな。
 邪黒竜はもう少し多めで、やはり尻尾の肉が200㎏くらいあるけど。
 邪黒竜はデカかったから、切り取る部分も多めになった。

 ほかのモンスターは、食べられるような部分はあまり持ってない。
 今まで倒してきたモンスターは、魔道具の素材になりそうな部分は採取してあるけど、それは牙とか爪とか角みたいなのが多く、あとはあっても体毛や翼くらいで、肉というのはほとんど保存してないんだ。
 ドラゴンだけ、とにかく素材として優秀なので多めに取ってあるけど。

 しかしこれは良いスキルを手に入れた。
 Sランクだけど、SSランクの価値はあるかもしれない。みんなを危険な目に遭わせることなく強化できるし。
 今後は強いモンスターに出会ったら、美味しい経験値に見えてきそうだ。
 まあモンスター料理ばかり食べるわけにはいかないだろうから、少しずつ食事に取り入れて地道に強化を図ろう。


 あとは残った経験値で『時間魔法』を上げることにした。
 現在レベル7だけど、これは強化するほど時間に干渉する能力も上がるので、大量経験値を使う価値は充分にある。

 ということで、経験値128億消費して『時間魔法』をレベル8にした。
 すると、『時空神の加護クロノス・ガーディアン』という魔法を覚えることができた。
 これは常時パッシブ発動していて、僕に対する攻撃的な『時間魔法』を全て無効にするらしい。
 仮に時を止める敵が現れたとしても、僕には効かないということだ。

 魔王は時間すら操れる可能性があるので、これはありがたい!
神盾の守護イージスフィールド』である程度『時間魔法』の対策はできてたけど、今後はもう一切心配する必要がなくなった。
 残り経験値約11億2000万はストックして、今月の強化を終えた。


 さて、明日は出発だ!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。 そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは? そこで彼は思った――もっと欲しい! 欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―― ※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ
ファンタジー
 地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。  そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。  できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!! 第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!

NTRエロゲの世界に転移した俺、ヒロインの好感度は限界突破。レベルアップ出来ない俺はスキルを取得して無双する。~お前らNTRを狙いすぎだろ~

ぐうのすけ
ファンタジー
高校生で18才の【黒野 速人】はクラス転移で異世界に召喚される。 城に召喚され、ステータス確認で他の者はレア固有スキルを持つ中、速人の固有スキルは呪い扱いされ城を追い出された。 速人は気づく。 この世界、俺がやっていたエロゲ、プリンセストラップダンジョン学園・NTRと同じ世界だ! この世界の攻略法を俺は知っている! そして自分のステータスを見て気づく。 そうか、俺の固有スキルは大器晩成型の強スキルだ! こうして速人は徐々に頭角を現し、ハーレムと大きな地位を築いていく。 一方速人を追放したクラスメートの勇者源氏朝陽はゲームの仕様を知らず、徐々に成長が止まり、落ちぶれていく。 そしてクラス1の美人【姫野 姫】にも逃げられ更に追い込まれる。 順調に強くなっていく中速人は気づく。 俺達が転移した事でゲームの歴史が変わっていく。 更にゲームオーバーを回避するためにヒロインを助けた事でヒロインの好感度が限界突破していく。 強くなり、ヒロインを救いつつ成り上がっていくお話。 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』 カクヨムとアルファポリス同時掲載。

序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。 え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし

水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ ★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位! ★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント) 「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」 『醜い豚』  『最低のゴミクズ』 『無能の恥晒し』  18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。  優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。  魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。    ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。  プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。  そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。  ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。 「主人公は俺なのに……」 「うん。キミが主人公だ」 「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」 「理不尽すぎません?」  原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。 ※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!

死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?

わんた
ファンタジー
DVの父から母を守って死ぬと、異世界の住民であるイオディプスの体に乗り移って目覚めた。 ここは、男女比率が1対99に偏っている世界だ。 しかもスキルという特殊能力も存在し、イオディプスは最高ランクSSのスキルブースターをもっている。 他人が持っているスキルの効果を上昇させる効果があり、ブースト対象との仲が良ければ上昇率は高まるうえに、スキルが別物に進化することもある。 本来であれば上位貴族の夫(種馬)として過ごせるほどの能力を持っているのだが、当の本人は自らの価値に気づいていない。 贅沢な暮らしなんてどうでもよく、近くにいる女性を幸せにしたいと願っているのだ。 そんな隙だらけの男を、知り合った女性は見逃さない。 家で監禁しようとする危険な女性や子作りにしか興味のない女性などと、表面上は穏やかな生活をしつつ、一緒に冒険者として活躍する日々が始まった。

俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした

宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。 聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。 「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」 イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。 「……どうしたんだ、イリス?」 アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。 だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。 そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。 「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」 女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。