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第7章 新国テンプルム
第350話 勇者と吸血姫
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「何故泣く? 勇者ヴァンルーグがいないと、どうして生きていても仕方がないんだ? お前……いや、キミと勇者ヴァンルーグはいったいどういう関係なんだ?」
僕は思い違いをしていた。
この吸血姫は、勇者に復讐をしに来たんじゃない。何か別の目的があったんだ。
まさか、この吸血姫は……?
「ワシが封印される前……その時代、吸血鬼一族と人間は大きな戦争をしていた」
「人間と吸血鬼一族で戦争?」
昔から敵対してるのは知ってたけど、そんな大規模な戦いがあったとは……。
「そうだ。それは何十年にもわたって続き、最初こそ我らは優勢だったものの、しょせん多勢に無勢。人類よりも遙かに人数の少ない我らは、徐々に押され始めてしまった。我らの弱点を知りつくした『吸血鬼ハンター』なる存在も出現し、次々と仲間は狩られてしまった」
『吸血鬼ハンター』か……今では失われた存在だけど、吸血鬼討伐の秘術は、現在でも一部で受け継がれているという。
確かに、吸血鬼は最強の魔族だけど、弱点は色々ある。その弱点を突けば、能力的には大きく劣る人類でも対等に戦うことができる。
「我らの王4人のうち、2人をハンターたちに滅ぼされ、我らの敗戦も時間の問題だった。だがちょうどそのとき魔王復活の兆しが現れ、人間たちは我ら吸血鬼以外にも悪魔と戦わなくてはならなくなった。人間どもは疲弊し、それにつれて我ら吸血鬼も次第に盛り返していった。ワシもここぞとばかりに人間どもを殺しまくり、一国を滅ぼす寸前までいったほどだ」
悪魔と吸血鬼両方を相手にしたら、そりゃ人類もキツイだろう。
今こうして人類が生き残ってるってことは、もちろんその戦いに勝ったということなので、当時死力を尽くして戦ってくれた人たちにはどんなに感謝しても足りないくらいだ。
「そんなとき、あやつ――ヴァンルーグがワシの前に現れた。ヤツが勇者だということは知っておったが、ワシは一族の王に並ぶほどの力を持っていた。大勢の吸血鬼ハンターを相手にするならともかく、1対1なら勇者であろうともワシは負ける気はなかった。……しかし、為す術なくワシは負けたのだ」
やはり勇者ヴァンルーグのほうが強かったのか。
勇者の血を飲んだと言うから、この吸血姫も同クラスの力を持っていたのかと思ったけど、さすがにそんなわけはなかった。
覚醒した勇者は、魔王とやり合える存在だからな。たとえ吸血鬼の王族でも、勇者の相手にはならないだろう。
しかし、この吸血姫はそのヴァンルーグの攻撃でも滅ぼされなかったのだから、かなり生命力が強いのかもしれない。
殺すことを諦めて、ヴァンルーグは仕方なく封印したのかな?
「ヤツは圧倒的だった。勇者の力にワシは生まれて初めて恐怖を覚え、死を覚悟した。だが、あやつはワシにトドメを刺さなかった……」
えっ、それってつまり、見逃してくれたってこと?
生命力が強くて殺せなかったのではなく、あえて殺さなかった?
勇者ヴァンルーグは、人間を大勢殺した敵を許したのか?
いったいどういうことなんだ?
「そのとき、ワシは女だから舐められたと思った。人間如きに情けをかけられたのが死ぬほど悔しかった。こんな甘いヤツが魔王に勝てるはずがない、魔王に殺される前にこのワシが殺してやろうと憎悪を燃やした。自らを鍛え上げ、何度もあやつに襲い掛かった……しかし、7度挑んで7度ともワシは敗れたのだ」
「7回も? そんなに勇者ヴァンルーグはキミを見逃し続けたのか?」
「……そうだ。ヤツはけっしてワシを滅ぼそうとはしなかった。何故殺さぬのか、どうしてもワシには理解できなかった」
す……すごいな。
僕も女性と戦うのは苦手だけど、それでも魔族が相手なら、そこまで容赦はできないかもしれない。
やはり人類のほうが大事だからね。
ヴァンルーグって人は、もの凄いフェミニストだったのかな?
「ワシは7度目に負けたあと、何故トドメを刺さぬのかヤツに聞いてみた。人間に情けの理由を聞くなど屈辱だったが、どうしても理由が知りたかったのだ。……ヤツの答えは、ワシの思いもよらぬものだった」
「……彼は……なんと?」
「吸血姫であるこのワシが、ヤツの愛した女と瓜二つなのだと。だから殺すことができぬのだと。ワシは思わず呆けてしまったわ。勇者ともあろう男が、そんな理由で敵の命を奪えぬとはな」
それは僕にとっても意外な答えだった。
しかし、その勇者ヴァンルーグの気持ちはよく分かる。僕ももし眷女の誰かに似ている敵と出会ったら、簡単にはそれを殺せないだろう。
気になるのは、『愛した女』ということは、その女性はすでに居なかったということか?
「あやつは言った。その愛した女は、自分の命を救って死んだと。将来を誓い合う仲だったらしいが、ヴァンルーグを生き返らせるために、その女は命を失ったらしい」
『生命譲渡』! 神様から僕が授かったスキルだ!
そうか、その女性は、『勇者』が真に覚醒するための犠牲になったんだ!
僕にも理解できるが、『生命譲渡』を授かった人は、運命的にも精神的にも勇者と強くリンクする。
恋人同士になっても全然不思議じゃない。
「その女の分までワシには生きてほしいと、いつまでも生き続けてほしいとあやつは言っていた。……ワシは言葉が出なかった。そして何故か分からぬが、ワシはあやつのために命を使おうと思った。だから、魔王軍を討ち倒すために、あやつに力を貸した」
この吸血姫が勇者ヴァンルーグを想う気持ち、それは愛だ。
2000年もの間、吸血鬼一族の姫として生きてきたので、そのことに気付いていないかもしれないが……。
基本的に魔族と人間は敵対しているが、実は共存している例もある。
極まれではあるけど、お互いを愛して夫婦として暮らす人たちも居るのだ。
ヴァンルーグとこの吸血姫も、きっとそういう関係だったんだろう。
「ヴァンルーグと共に戦う日々は心地良かった。一族からは裏切り者とそしられたがな。そしていよいよ魔王との決戦が近付いたとき、突然あやつはワシを突き放したのだ。決戦にはワシを連れていけぬと言いだし、そしてごねるワシを封印した。仲間だと思っておったのに……」
「いや、それは違うぞ、勇者ヴァンルーグはキミを仲間外れにしたわけじゃ……」
ヴァンルーグは、この吸血姫が決戦で死んでしまうことを恐れたんだ。
だから連れていけなかった。僕でもそうするかもしれない。
「ふん、ヤツが何を考えていたかなどもうどうでもよい。魔王との戦いがどうなったのかは知らぬが、こうして人類が生き延びている以上、無事討ち果たしたのであろう。だがワシを迎えに来てはくれなかった、ワシはいらない存在だったのだ」
「違う! そうじゃない!」
恐らく、ヴァンルーグは魔王と相討ちになったんだ。
魔王と戦って生きて帰れるかは分からない。いや、むしろ生き残れるほうが奇跡だ。
きっとヴァンルーグは、命と引き替えに魔王を封印したんだと思う。
だからこの吸血姫を迎えに行けなかった。
そうか……遠い昔に、そんな悲しい出来事があったのか。
この吸血姫が封印されていたのは、勇者でも滅ぼせないほど手強いからという理由じゃなかった。
いつか誰かが封印を解いてくれること、そしていつまでも生き続けてほしいというヴァンルーグの願いが込められていたんだ。
***********************************
4日連続更新と告知いたしましたが、明日も更新できそうです。
そのあとは、3~4日に一度の不定期更新となる予定です。
僕は思い違いをしていた。
この吸血姫は、勇者に復讐をしに来たんじゃない。何か別の目的があったんだ。
まさか、この吸血姫は……?
「ワシが封印される前……その時代、吸血鬼一族と人間は大きな戦争をしていた」
「人間と吸血鬼一族で戦争?」
昔から敵対してるのは知ってたけど、そんな大規模な戦いがあったとは……。
「そうだ。それは何十年にもわたって続き、最初こそ我らは優勢だったものの、しょせん多勢に無勢。人類よりも遙かに人数の少ない我らは、徐々に押され始めてしまった。我らの弱点を知りつくした『吸血鬼ハンター』なる存在も出現し、次々と仲間は狩られてしまった」
『吸血鬼ハンター』か……今では失われた存在だけど、吸血鬼討伐の秘術は、現在でも一部で受け継がれているという。
確かに、吸血鬼は最強の魔族だけど、弱点は色々ある。その弱点を突けば、能力的には大きく劣る人類でも対等に戦うことができる。
「我らの王4人のうち、2人をハンターたちに滅ぼされ、我らの敗戦も時間の問題だった。だがちょうどそのとき魔王復活の兆しが現れ、人間たちは我ら吸血鬼以外にも悪魔と戦わなくてはならなくなった。人間どもは疲弊し、それにつれて我ら吸血鬼も次第に盛り返していった。ワシもここぞとばかりに人間どもを殺しまくり、一国を滅ぼす寸前までいったほどだ」
悪魔と吸血鬼両方を相手にしたら、そりゃ人類もキツイだろう。
今こうして人類が生き残ってるってことは、もちろんその戦いに勝ったということなので、当時死力を尽くして戦ってくれた人たちにはどんなに感謝しても足りないくらいだ。
「そんなとき、あやつ――ヴァンルーグがワシの前に現れた。ヤツが勇者だということは知っておったが、ワシは一族の王に並ぶほどの力を持っていた。大勢の吸血鬼ハンターを相手にするならともかく、1対1なら勇者であろうともワシは負ける気はなかった。……しかし、為す術なくワシは負けたのだ」
やはり勇者ヴァンルーグのほうが強かったのか。
勇者の血を飲んだと言うから、この吸血姫も同クラスの力を持っていたのかと思ったけど、さすがにそんなわけはなかった。
覚醒した勇者は、魔王とやり合える存在だからな。たとえ吸血鬼の王族でも、勇者の相手にはならないだろう。
しかし、この吸血姫はそのヴァンルーグの攻撃でも滅ぼされなかったのだから、かなり生命力が強いのかもしれない。
殺すことを諦めて、ヴァンルーグは仕方なく封印したのかな?
「ヤツは圧倒的だった。勇者の力にワシは生まれて初めて恐怖を覚え、死を覚悟した。だが、あやつはワシにトドメを刺さなかった……」
えっ、それってつまり、見逃してくれたってこと?
生命力が強くて殺せなかったのではなく、あえて殺さなかった?
勇者ヴァンルーグは、人間を大勢殺した敵を許したのか?
いったいどういうことなんだ?
「そのとき、ワシは女だから舐められたと思った。人間如きに情けをかけられたのが死ぬほど悔しかった。こんな甘いヤツが魔王に勝てるはずがない、魔王に殺される前にこのワシが殺してやろうと憎悪を燃やした。自らを鍛え上げ、何度もあやつに襲い掛かった……しかし、7度挑んで7度ともワシは敗れたのだ」
「7回も? そんなに勇者ヴァンルーグはキミを見逃し続けたのか?」
「……そうだ。ヤツはけっしてワシを滅ぼそうとはしなかった。何故殺さぬのか、どうしてもワシには理解できなかった」
す……すごいな。
僕も女性と戦うのは苦手だけど、それでも魔族が相手なら、そこまで容赦はできないかもしれない。
やはり人類のほうが大事だからね。
ヴァンルーグって人は、もの凄いフェミニストだったのかな?
「ワシは7度目に負けたあと、何故トドメを刺さぬのかヤツに聞いてみた。人間に情けの理由を聞くなど屈辱だったが、どうしても理由が知りたかったのだ。……ヤツの答えは、ワシの思いもよらぬものだった」
「……彼は……なんと?」
「吸血姫であるこのワシが、ヤツの愛した女と瓜二つなのだと。だから殺すことができぬのだと。ワシは思わず呆けてしまったわ。勇者ともあろう男が、そんな理由で敵の命を奪えぬとはな」
それは僕にとっても意外な答えだった。
しかし、その勇者ヴァンルーグの気持ちはよく分かる。僕ももし眷女の誰かに似ている敵と出会ったら、簡単にはそれを殺せないだろう。
気になるのは、『愛した女』ということは、その女性はすでに居なかったということか?
「あやつは言った。その愛した女は、自分の命を救って死んだと。将来を誓い合う仲だったらしいが、ヴァンルーグを生き返らせるために、その女は命を失ったらしい」
『生命譲渡』! 神様から僕が授かったスキルだ!
そうか、その女性は、『勇者』が真に覚醒するための犠牲になったんだ!
僕にも理解できるが、『生命譲渡』を授かった人は、運命的にも精神的にも勇者と強くリンクする。
恋人同士になっても全然不思議じゃない。
「その女の分までワシには生きてほしいと、いつまでも生き続けてほしいとあやつは言っていた。……ワシは言葉が出なかった。そして何故か分からぬが、ワシはあやつのために命を使おうと思った。だから、魔王軍を討ち倒すために、あやつに力を貸した」
この吸血姫が勇者ヴァンルーグを想う気持ち、それは愛だ。
2000年もの間、吸血鬼一族の姫として生きてきたので、そのことに気付いていないかもしれないが……。
基本的に魔族と人間は敵対しているが、実は共存している例もある。
極まれではあるけど、お互いを愛して夫婦として暮らす人たちも居るのだ。
ヴァンルーグとこの吸血姫も、きっとそういう関係だったんだろう。
「ヴァンルーグと共に戦う日々は心地良かった。一族からは裏切り者とそしられたがな。そしていよいよ魔王との決戦が近付いたとき、突然あやつはワシを突き放したのだ。決戦にはワシを連れていけぬと言いだし、そしてごねるワシを封印した。仲間だと思っておったのに……」
「いや、それは違うぞ、勇者ヴァンルーグはキミを仲間外れにしたわけじゃ……」
ヴァンルーグは、この吸血姫が決戦で死んでしまうことを恐れたんだ。
だから連れていけなかった。僕でもそうするかもしれない。
「ふん、ヤツが何を考えていたかなどもうどうでもよい。魔王との戦いがどうなったのかは知らぬが、こうして人類が生き延びている以上、無事討ち果たしたのであろう。だがワシを迎えに来てはくれなかった、ワシはいらない存在だったのだ」
「違う! そうじゃない!」
恐らく、ヴァンルーグは魔王と相討ちになったんだ。
魔王と戦って生きて帰れるかは分からない。いや、むしろ生き残れるほうが奇跡だ。
きっとヴァンルーグは、命と引き替えに魔王を封印したんだと思う。
だからこの吸血姫を迎えに行けなかった。
そうか……遠い昔に、そんな悲しい出来事があったのか。
この吸血姫が封印されていたのは、勇者でも滅ぼせないほど手強いからという理由じゃなかった。
いつか誰かが封印を解いてくれること、そしていつまでも生き続けてほしいというヴァンルーグの願いが込められていたんだ。
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