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第7章 新国テンプルム

第301話 建国1週間が経ちました

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 僕がテンプルムを建国してから1週間が経った。
 日ごとに魔導バス以外の交通手段で来てくれる人も増えて、想定していた以上の来訪者となっている。

 ただ、まだ観光事業が整ってないので、せっかく来てくれても見て回るところがないんだよね。
 名物料理や名産品なども現状は特にないし、その他のお店関係もまだオープンすらしていない。
 王城の一部を一般開放しているので、それを見学に来る人は結構多いようだけど、観光の目的としては少々物足りない状態だ。

 なので、一応来てくれた人が退屈しないように、博物館に色々希少アイテムを展示したんだよね。
 そしたらそれが結構好評で、このテンプルムから自国に帰った人たちが、口コミで広めてくれているらしい。

 博物館に置いてあるのは、基本的には僕が作った魔道具なんだけど、そのほかに『希少金属レアメタル』も展示してみたんだ。
 その中でも、特に目玉として人々の注目を集めているモノがある。

 何を隠そう、伝説中の伝説金属『火緋色鋼ヒヒイロカネ』を飾ってみたんだ。

 これはもう誰も見たことがない金属なので、現在世界中で大騒ぎになっているらしい。
 近々専門家がこのテンプルムまで鑑定に来るらしいとのこと。
 こっちから『火緋色鋼ヒヒイロカネ』を送ってあげてもいいんだけど、犯罪に利用されたり奪い合いになる可能性もあるので、やっぱり来てもらうことにした。

 ちなみに、『火緋色鋼ヒヒイロカネ』を博物館に飾る前にケットさんに見せたんだけど、泡吹いて気絶しちゃったんだよね。
探求者シーカー』として究極に追い求めるクラスの宝らしいので。
 せっかくだから少しおすそ分けしましょうかと言ったんだけど、ケットさんは見るだけで満足らしく、『火緋色鋼ヒヒイロカネ』は僕のために自分で使ってくれと言われてしまった。

 それに、分不相応の物を持つのは身を滅ぼしかねないと、堅く自戒しているらしい。
 その言葉を聞いて、ふと僕は自分が思い上がっているのではないかと反省した。
 ケットさんを見習いたいところだ。

 ほか、『蒼魂鋼アポイタカラ』なども展示してあるけど、『冥霊剣エリュシオン』は置かずに僕の手元にある。
 これは戦闘で使うからね。
 法王国で管理されている『不滅なる神剣アーイディオン』に対抗して、ちょっと飾ってみたい気持ちもあったけど、これも慢心している部分かもなあ。


 人が増えてきたので、国として治安部分が心配になるけど、これは街に衛兵を置いているほか、僕の作ったゴーレムもいる。
 トラブルに衛兵だけで対応しきれない場合は、このゴーレムを使って収めてもらうつもりだ。

 入国に来た人を、僕がゲートで全員解析すれば、危険人物を排除することができるかもしれないけど、これからどんどん増えていくのにそれをやり続けるのは難しい。
 ゲートも5ヶ所あるしね。
 なので、当たり前だけど、問題が起こることを前提として対策を取っている。

 ただ、移住希望者については、フィーリアと面接をしてもらったうえで認可を決めている。
 フィーリアの『聖なる眼』なら、悪意が分かるからだ。
 しかし、これも今後人数が増えたら、フィーリアだけではとても対応しきれないだろう。
 いちいち全員やってたら、フィーリアも大変だしね。

 ま、最初が肝心ということで、しばらくの間だけ移住者は慎重に選ぼうと思ってる。
 僕もフィーリアを手伝ってあげたいけど、僕は僕でまだまだやることがあるんだ。
 建国したてで色々バタバタしちゃってるけど、もう少しすれば落ち着くはず。それまでの辛抱だ。

 ちなみに、メジェールやリノたちには特に役職などはない。
 そのほうが自由に動けていいという判断もあるが、実のところ、彼女たちに何かを任せるのはちょっと不安で……。

 僕も人のことを言えた義理じゃないけど、彼女たちは完全素人なので、あまり余計なことをさせないほうがいいだろう。
 そばに居てくれるだけで充分心強い存在だし。

 あと熾光魔竜ゼインは、この近くの山に棲まわせている。
 呼べばすぐ来られる距離なので、緊急時には役に立ってくれるだろう。

 そういえば、先日取得した『エナジー吸収』を熾光魔竜ゼインのブレスで試してみたら、問題なく吸収できた。
 しかも結構余裕で。
 あの感じなら、セクエストロ――魔将ネビロスが撃ってきた『魔王の血の裁きサタナス・プロイビーダ』クラスの魔法でも吸えそうな気がする。


 ◇◇◇


「おっすユーリ! 来てやったぞ!」

「スゲー国作ったじゃねーか!」

「あ、みんな、来てくれたんだね!」

 国王として王城で応対していたところ、元クラスメイトのみんなが来てくれた。
『次元斬』のジュードや『聖剣進化』のカイン、『星幽体インビンシブル』ザフィオス、『損傷再生』ザンダー、バングラーやワルザック、トウカッズ、ゴミルシほか諸々のメンバーだ。

 っと、今度は全員男子だけだな。
 女子たちが来ないのは、この前メジェールたちに怒られたのがよほど怖かったのかも?
 イザヤたち『剣聖』チームも居ないけど、彼らは忙しいからな。
 そのうち会う機会もあるだろう。

「女子たちから聞いてはいたけど、結構本格的なんだな……って当たり前か、遊びじゃ王様にゃあなれねーもんな」

「まさかユーリが王になっちまうなんてなあ……いじめたこと恨んでねーよな?」

「あの頃はスマなかった。今さらだがお詫びするから許してくれ」

「全然恨んでなんかいないよ、安心して」

 学校時代は僕も協調性が無かったし、経験値泥棒とまで言われるほどみんなに迷惑掛けてたからね。原因の一端は僕にもある。
 それにしても、みんなすっかり邪気が抜けて、以前の状態に戻っているようで安心した。
 まあ言葉や態度は相変わらずだけど、全然悪意は無いしね。

「アンタたち、ユーリはもう王様なんだから、口の利き方に気を付けなさいよ!」

「いや、いいんだメジェール。僕もこのほうが嬉しい」

「そういやよぉ、洗脳されてたときの記憶をぼんやりと思い出したりするんだけど、やっぱり変なんだよな」

「えっ、何か思い出したの!?」

 もし記憶が戻ったなら、魔王軍の重要な情報が聞けるかもしれない!

「それがな、記憶の中ではフィーリア王女様がめっちゃ邪悪な感じだったんだ」

「そうそう、オレも王女様が暗黒オーラ発しているところ思い出すんだよ」

「ああ、酷い性悪女だった。やっぱ魔王軍に幻覚見せられてたんかな?」

 いいえ、それはフィーリアの真の姿です。
 何かと思ったら、そんな情報か……彼らにとっても悪夢だったろうな。

「うふふふ、それは皆さん悪い夢を見られましたわね」

「はい、でもこうしてまた王女様の素敵な姿を拝見できてホッとしてます」

 フィーリアが何か怖いオーラ出してるんで、余計なことを言うのはやめておこう。
 男子たちも真実を知らずにいたほうが幸せだろうし。


「みんな今日はゆっくりしていって」

「おう、美味いもんたくさん食っていくからよろしく頼むぜ!」

「アンタたちって、ホント遠慮ってものを知らないのね……」

 僕のこのテンプルムは他国への中継地点になるから、これからもみんなが立ち寄ることは多いだろう。
 色んな情報も聞けるだろうし、なるほどいい位置に国を作れたかもしれない。
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