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家に着くなり突然言われた。
「なんで言わないの?」
双子の弟が私に聞く。
「なに?言えって言うの??」
「別にそんなこと言わないけど…いいんだーって思って」
つまり今朝の「ふーん」は私に対して言ってたわけね。
『ふーん…良いんだ。他の女に好きな奴が取られても』ってとこかしら。
「良いんじゃない?だってアランが幸せなんですもの」
私がそう言うとランスが面白くなさそうに言う。
「なーんだ!女同士のぶつかり!なんてものを見られるって期待してたのに」
そう言うランスに私はげんこつをお見舞いする。
「私見せ物になったことなくてよ」
「嘘だよ」
そう言うと少し悲しそうな顔をした。
「リリーがアランと結婚したらもっとこんな生活も楽しくなると思ったのになー」
そう言うランスになぜか申し訳なくなったが私は謝らなかった。
「でもジュリー様はとても素敵な女性だわ…あんなにきちんと気持ちを伝えられるなんて誰でもできるものじゃないわ」
私はそんなのできた事ない。
きっとアランも私の気持ちなんて勘づいたこともないでしょうし。
「だから邪魔しないの?」
「邪魔?どういうこと?」
「ジュリー・ローゼ嬢の邪魔だよ」
「そんなことするわけないでしょ。」
「ふーん」
「そんなことしてあの2人が拗れたらどうするの…。やっと本気でアランを心配してくれる人ができたのに…」
「リリーだって心配してた!本当に好きだったでしょ?」
そう言われ私は少し涙が出そうになった。
「でも気持ちなんてもの伝えてない。」
「今からでも伝えれば良いのに」
「伝えない。」
「どうして?」

だって
「アランに嫌われたくないもの」
私はランスに笑いかける。
その顔を見てランスは少し心配そうな顔を浮かべた。
「それじゃあ、私は課題が残っているから」
「そっかー」
「ランスもきちんとしなさいよ」
雑に頷きながら部屋に入っていくランスを見送り私も自室に向かった。



「絶対に伝えない…迷惑はかけたくないもの…」
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