令嬢が王子にアタックしまくる話

ちろこ

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「ジュリー・ローゼ!」
俺が教室の扉を開けるとマリー・アルゼット令嬢の席に座っている覆面に話しかけた。
「………」
「いつまで無視しているつもりだ。」
俺は思っていたより低い声を出していた。
「………わ、、わわわわ私ジュリー・ローゼではございませんわよ…!?」
「ジュリー・ローゼか」
俺はふぅ…と息を吐くと少ししゃがんで覆面と目を合わした。
「いつまで逃げ回るつもりだ?」
「べ、別に逃げてなど…」
「逃げていないならどういうつもりだ?」
「そ、その…」
珍しくジュリー・ローゼが本当に焦っている…。
「それと、そろそろその覆面を取ったらどうだ?」
そう言い俺は覆面を手で握り上に上げた。
「だ、だめっ!」
ジュリー・ローゼの顔はりんごのように真っ赤になっていた。
「な、なんだ?!熱か!?!」
「…も、もう!!!アラン様って本当にあざといですわ!!」
「あ、、あざとい?だと??」
「だ、だって普段なら私に目線を合わせるなど…!あざといですわ!!」
俺は何故か恥ずかしくなって急いで立ち上がる。
「そ…そんなことより何故俺から逃げた…!」
そうだ!今はこのことが重要だ。
「本当に逃げてたわけではありませんわ……」
「いや…あれは逃げ回っていただろう。マリー・アルゼット令嬢にも手伝ってもらっていたし…」
「マリーの名前を覚えましたの!?!!な、何故こんなに早く!!!」
「ジュリー・ローゼの友人は一応覚えている。」
別に何かの役に立つってわけでもないがな。
「そ、、、、、、そんな………す………」
「す?」
俺が首を傾げるとジュリー・ローゼはより顔を赤らめる。
「も、、もう!やめて下さいな!顔が暑すぎですわ!!」
そう言うと自分の顔をぱたぱたと手で扇ぐ。
「そ、それとそんな純粋そうなキョトンとした顔をしないで下さい!いや!やっぱりやめないで!」
久しぶりのジュリー・ローゼに俺はつい頬を緩めた。
「……ぇ」
「ははっ…」
「わ、、笑っ…………!!きゃ…キャパオーバーですわ……」

そう言うとジュリー・ローゼが後ろに倒れた。
「危ないだろう」
俺がジュリー・ローゼの体を支えると彼女の鼻から鼻血が垂れていた。
「や、、、やっぱり体調不良だったのか…!」
俺はポケットに入れていたティッシュを出す。
「これを鼻に詰めろ」
そう言うと彼女は嫌そうな顔をする。
「早くしろ。これは命令だ」
「………わ、分かりましたわ…」
渋々彼女は鼻にティッシュを詰める。
「ま、まさか好きな方にこんな…こんな姿を……。けれどアラン様もひどいですわ…!こんなに素敵な姿を…いけないわ…また鼻血が…」
俺は無言でティッシュを渡した。
「…ん?これはなんですの?」
ティッシュを持ったジュリー・ローゼが床に落ちていた袋を見る。
「…あ」
俺はポケットに手を突っ込んで確認する。


……最悪だ……

「?誰かの落とし物でしょうか?」
「……違う」
「え?」
「君へのプレゼントだ…」
彼女の息の飲む音が聞こえる。
「あ、アラン様から…」
「俺から…」
「私への…………」
「ジュリー・ローゼへの…」
「…プレゼント!?!!!!」
「そうだ…」
俺は赤くなる顔を手で隠した。
彼女は袋を開けると嬉しそうに笑った。
「よ…喜んでもらえたみたいでよかった」
「ほ………本当に嬉しいですわ……!」
そう言うと彼女は目から歓喜の涙を流した。
「本当に本当に!!!嬉しいですわぁあああ!!!」
そう言うとジュリー・ローゼは俺に抱きついた。
「お、おい!」
「本当にありがとうございます!アラン様…!」
俺はつい手を…彼女の背中に…


「待て」
「え?」
「忘れるところだったが貴様…………何故俺から逃げ回っていた?」
「ふふ…アラン様ったらーーー!今は抱き締める雰囲気でしょうーーーー?」
「何故逃げ回っていた?」
「…それは……その」
「何故逃げ回っていた?」
「引いてみようかと…」
「なんだって?」
「いつも押してばかりだったので引いてみたんです!!」
「そ、そんなくだらないことのために!?!」
「くだらない!?!くだらなくなんかありませんわ!!きちんとアラン様の将来の花嫁になりたいからです!!」
「くだらないだろう!!未来の俺の為に今の俺を無視するなど!」
「だっていつも押してばかりで…!意識して欲しかったんですもの!私だってしんどかったんですのよ!!!アラン様のこと無視するなんて!!!そんなの!!!」
「なっ!」
「それにリリー様と何をおしゃべりされてたの!?!」
「そ、そんなとこも見てたのか!」
「だって!浮気されてたら困りますもの!!!」
「浮気!?!しないし!まず婚約していない!」
「しますの!私と!」
「しない!」
「します!!」
そのあとは俺とジュリー・ローゼの言い合いになりその日は終わった。
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