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ある日街に出ていた時つい目に入った。
「ジュリー・ローゼが好きそうなイヤリングだな」
よくジャラジャラと派手なものを着けているが俺はこういう控えめなものが好きだ。
………別にジュリー・ローゼが似合いそうだからとかそんな気持ちで握りしめているわけではない。



いつもなら騒がしく俺に会いにくるジュリー・ローゼが会いに来ない…。
どういうことだ?休み…か?
教室を見渡しても彼女の姿は見当たらない。
俺はポケットに入れていたイヤリングを確認するように握りしめた。

「ジュリー・ローゼ…!ジュリー・ローゼは休みか!?」
教師の声が教室に響く。
「お、おります!おりますわよ!!」
そう言うと教室の隅っこで覆面を被ったドレスを着た令嬢が手を挙げた。
「ローゼ嬢…貴方だったのか………」
おい、あんまり引いてやるな……。
「も、、申し訳ございませんわ…」
それにしてもジュリー・ローゼはなぜあんな姿を??

1限目の授業が終わり覆面令嬢…ジュリー・ローゼに近づく。
「ジュリー・ローゼ」
けれど何故か覆面は何の反応もしない。
「ジュリー・ローゼ??」
「……」
「何故無視をする…」
「…わたくしジュリー・ローゼではございませんので」
そう言うと覆面を取った令嬢はジュリー・ローゼ唯一の友人マリー・アルゼット令嬢だった。
「す、、すまない…人違いだったようだ」
「いえいえ。お気になさらず」
覆面を被っているから気づかなかった……。

その日1日ジュリー・ローゼを追っていたが一度も話しかけることができなかった…。
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