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「アラン様!アラン様!!」
彼女はまたにこにことした顔で俺に近づいてきた。
折角彼女がいないであろう早朝に来たのに…。
「今日はなんだ」
俺は気にしないと言うように本に目を向けた。
「今日私良い匂いしませんか?」
「良い匂い…?」
俺はそう言われたしかにジュリー・ローゼからいつもの臭い香水の匂いがしないと思った。
「なんの匂いだ?」
たしかに俺好みの匂いだ
「あ!今良い匂いだと思いましたね!!」
ふふふと笑う彼女は本当に憎たらしい。
「思ってない」
「絶対思ってました!そんな顔してましたもの!」
「思ってない!」
俺はつい本から彼女の顔に目を向ける。
「ふふ、大好きなアラン様のお顔が見れて嬉しいです。」
またやられた。
彼女は頭を使うのが上手いのか??
「これでも侯爵の娘ですから!」
そういえばそうだったな。
興味がなくて忘れていた。
「あ!今!忘れてたって思いましたね!!もう!絶対覚えてもらうんだから!」
「お、覚えている!侯爵家のジュリー・ローゼ…だろう?」
「あら…本当に覚えて下さってるのね………」
驚いた顔は珍しいので俺はつい目を見開いてしまった。
「な、なーんて!!知ってましたわ!私の名前を覚えてくださっている事も私のことをいつか好きになってくださることも!!」
「ならん」
俺が本にまた目を向けると彼女は隣の席に座り本を読み始めた。
彼女は真面目らしく静かに本を読んでいたので何故か落ち着いてしまった。
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