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13 ウィン・シュークルート
しおりを挟む驚きが少し落ち着いて、荷物を運び終わって一段落ついたとき、ノックがかかった。
「ローズバルト侯爵様がお呼びでございます。書斎に案内しますので、わたくしについてきてください。」
いよいよか。どんな顔であったらいいのだろうかと考えながら重い足を運んだ。
迷路みたいな廊下をグネグネ歩いているとき、廊下に飾った肖像画を見て、足を止めた。
写っているのは、ブスッとした幼いルカエル侯爵様と優しい微笑みをしている母君のレナナ・ローズバルト侯爵夫人。
美しいハニーブロンドにトパーズのような瞳。
初代侯爵、ルカエル侯爵様の父、ルベルト・ローズバルト侯爵は商店街で花売りをしていたレナナ夫人に一目惚れした。
第一皇子だったルベルト侯爵は王位を第二皇子に渡して、離縁し侯爵の座についたのだ。
こんなことは前代未聞でレナナ夫人も非難の嵐だった。
そして、第二皇子が病死してもレナナ夫人との生活を望んだため、王位につくことはなかった。
ルベルト侯爵と夫人が亡くなった後もルカエル侯爵はローズバルト家を継いだ為、呼ばれてはいないものの実質第一皇子なのだ。
今は力で証明し、非難されていないものの、昔は王位継承争いに巻き込まれて、レナナ夫人は殺され、ルベルト侯爵はルカエル侯爵に八つ当たり、その理由からか正義感が人一倍強い。
「エディトリス様?」
「。。。。。え?!はい!すみません。」
気づかず先に進んでた、メイドさんがどうかしましたか?という顔をして見ている。
「こちらでお待ちです。」
目的地は、扉の前でも威圧感がすごくて唾を飲み込む。
メイドさんは慌てて「失礼します」と行ってしまった。
いざ、ノックを!と思って、手を止める。
コンコンっ。と鳴らしたつもりが、重たい扉なのか、音が聞こえない。
これ。。。。ノックが聞こえなくて入ったら失礼よね?
ドキドキしながら、力を強くノックする。
コンコンっ!
〝うーん。。。?音がしない?もうちょっと強く!〝
コンコンっ!!
うん!よし!入ろう!
「失礼します。」
扉の開けると、正面に書類を山積みにした机。机を前に椅子に座っている侯爵様。
そして両サイドにはロイ・ハント、ウィン・シュークルートが立っていた。
「何回ノックしたら気がすむんだ。」
「え?!聞こえてました!?!」
「バッチリ聞こえてた」
侯爵様は呆れたように軽くツッコミをいれる。
相変わらず、ウィン・シュークルートは無表情だが、ロイ・ハントはくくっ!と笑いをこらえている。
侯爵様のツッコミに恥ずかしいと言わんばかりにエディトリスはほっぺを赤くする。
「さて、本題に入るが。。。。」
「お待ちください、若様。」
侯爵様の間を割って入ったのは、ウィン・シュークルートだった。一歩前に出て自分にに近づくウィンにエディトリスは一歩下がる。
そして、冷たい表情のまま少し怒りを出し質問した。
「なぜ、ガラトリエ家を警戒していた?」
「それは。。。。。。」
「言い方を変えよう。なぜ、ガラトリエ家が関わっていると知ってた?あの時も、シェリー・ガラトリエを見たとたんに青ざめ、離れた所に行った。何か他に知ってるんじゃないか?」
「っ!。。。。。。」
「知ってるんだな?」
「おい。ウィン。」
「ロイは黙れ」
何て答えたらいいの?
何て答えるのが正解?
本当のこと言ったって信じてくれる分けないじゃない。
「その他に。。。」
「ウィン、やめろ」
「これ以上、若様に関わるのはやめろ。今すぐ」
「ウィン・シュークルート」
はっ!としたように今まで怖い顔で睨んでいた顔が真後ろの侯爵様の方に向き、こわばった顔になった。
「ウィン、よせ。と言ってるのが聞こえなかったか?」
「も、申し訳ありません。」
「お前はもう下がれ。」
「はい。。」
しゅん。とウィンは扉に向かった。
「ロイも下がれ。」
「え?!!俺もですか?!俺は今回何も」
言いかけている所で侯爵は、早く出ていけ。と目で睨み付けた。
「そんなに睨み付けなくても。。。」とブーブー言いながら出ていった。
そして、二人の間に沈黙が流れる。
「まず婚約を結んだのは、ガラトリエ家の動きを調べて欲しいからだ。
そして、やはりお前が言った通り、ガラトリエ家とルネーネはグルだった。」
「!!!」
やっぱり!
グルと言うことは、同盟を結んでいるルカーナに対する裏切り行為。
シェリー・ガラトリエいや、ガラトリエ家は何をたくらんでいるのか。。。。
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