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プロローグ
しおりを挟む鉄格子がはめてある、小さな窓から月の明かりが入り、周りは森のため不気味な風の音が狭い丸い檻の中に入ってくる。
床と壁は石で出来ていて、今の季節は寒い。
鉄格子で出来た扉は長年使われていなかったのか、錆び付いている。
「いよいよ、明日か。。。。」
うずくまった一人の少女は小さい声で呟いた。
彼女の名前はエディトリス・フロントリア。
一週間前までは、商会を束ねる子爵家の一人娘だった。
今は、罪を被され皇后暗殺の罪で、明日死刑執行される身。
要するにはめられたのだ。
シェリー・ガラトリエ伯爵令嬢に。。。!
「私はただ、ルカエル侯爵様に憧れてただけなのに。。」
国一番の美男子ルカエル・ローズバルト侯爵。
ルカエル侯爵は若くして、侯爵家を受け継ぎ、剣の腕前で国を支えている。
国はローズバルト家で成り立っていると言ってもおかしくない。
そのルックスよし。家柄よし。名誉よし。のルカエル侯爵に憧れていた。
なので侯爵様とシェリー・ガラトリエが婚約した知らせを聞き、ショックだったが、侯爵様が嬉しそうだったらいいと思った。
しかし、そのシェリー・ガラトリエにはめられるとは思わなかった。
何回も裁判で訴えたが、シェリー・ガラトリエ伯爵令嬢は表では女神と呼ばれ、優しい=この女なのだ。
皇后毒殺の現場を私は目撃し、伯爵令嬢のしたことに呆然としている間に、シェリー・ガラトリエは周りに助けを求めた。
おかしな話だ。
シェリー・ガラトリエは持ち前の素晴らしい演技力で見事エディトリス・フロントリアを死刑にした。
この牢屋に入れられてから脱走を試みたがダメ。
それで今にきたる。
もう。諦めるしかないのか。。。。
すると、扉が不気味な音を立てて空いた。
「おい。エディトリス。逃げるぞ。」
声の主は幼なじみのルクレティウスだった。
「え。。。。ルークなんで。。?」
「一直線に突っ走るバカなお前がそんな計画的なこと出来るわけないだろう?俺は賢いお前を信じないからな。」
信じてくれたことに涙が出そうになった。
涙ぐみながら、ルークと一緒に牢屋を飛び出した。
裸足でルークの後を追いながら、森を走った。
石や木が足の裏に刺さり痛みがはしる。
すると、後ろから、
「いたぞ!回り込め!なんとしても捕まえろ!」
と数人の声。
「早く気づいたか!?くそっ!」
周りに囲まれた。だが、木が月の光を遮り暗くて顔が見えないらしい。
足止めをしようとしたのかルークは腰に指している剣を抜いた。
このまま明るいところに出たらルークの存在がばれてしまう!
ルークは剣の腕を認められルカエル侯爵家の騎士団団長まで上り詰めた。
私の脱走を手助けしたとなればルークまで罪に問われてしまう。
何てしてでも。。。ルークだけは。。。!
「ルーク。。。信じてくれてありがとう。」
そう、静かにいいルークの剣を自分に刺した。
「。。。え。」
赤い血が草の上に落ちる。
「おい!ルクレティウス団長が捕まえたぞ!」
周りは、騎士たちが歓声を上げるがルークは真っ青な顔をしている。
ルークごめんね。。信じてくれた人に罪を被ってほしくなかったから。。。
そこで私の記憶は途切れた。
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