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第73話 ビリから始める真っ当冒険者への㊙︎特訓術②
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読みに来てくださりありがとうございます。私事で長らくお待たせしています事、深くお詫び申し上げます。この物語だけは完結させたいので応援のほど、よろしくお願いします。
それでは、お楽しみください。
◆
デコグリフ教国 クランデリア自治領
神の奇跡が使用可能故に教会が神に成り代わり統治国家を樹立。小さな国をまとめ自治区として巨大国家として今もなお成長している。その自治区の一つである。
キャシー達は五人パーティーとしてグランデリア自治区所属のギルドへ登録した。
基礎から使える手法を伝える為に『#解毒薬__キュア・ポイズン#の素材になる毒草、"ヴェノドラシソ"』の採取クエストと誰もやりたがらない肥溜めの汲取クエストを受諾して来た。
三人の男達(戦士テンドール、魔法使いアンディ、盗賊モンシア)はコレらのクエストを嫌がった。
その理由は、一つは薬草に対して毒草の取り扱いが少し厄介である事。受注を請けられるのはカッパーCランクでなく、カッパーAランクからになる。嫌がる理由の二つ目は、解毒薬を生成出来る錬金術師の護衛と名前を変えたりするが、その実、錬金術師個人の場合ならともかく錬金術技術者ギルドが絡むと5%の紹介料が毎回入る為その分報酬が安くなる。この差額は地味に効いて来るので割が良いかと問われると微妙な報酬額が冒険者を遠ざける。
◆
何処にでもいそうな戦士テンドールは激怒した。
「ふざけんな!!
どうして、今更、そんな駆け出し共のクエストなんか……!!」
「じゃぁ、お前は来なくて良い。それとパーティから抜けて貰う。勿論冒険者資格剥奪してだ」
「なっ!?」
「貴方達も同意見? まさかさっき言ったことをもう既にお忘れ?」
「冒険者資格剥奪の理由は秘匿事項とこのまま抜けても元の様に犯罪まがいに手を染めかねない冒険者を野放しにしておく訳にはいかない、理由はこの二つですかね?」
「流石、魔法使いだね、此処でパーティーから抜けてその先の生活が貪底なら近いうちに犯罪者になる。しかもそう言うのは、つまらないトコから始まる。例えばパンをくすねるとか大したことのない盗みからだ」
「そ、そんなもん」
「既に手を染めていたのか?
正直に言え、この場で罪を償わせる」
テンドールはジェシカの気迫に気圧されながらも応えた。
「いや、やってねぇ。断じてやってねぇ」
「ふむ、なら構わん。受付に行くぞ」
「待ってくれ姐さん、このクエスやる理由をせめて教えてくれ。そうすりゃあテンのヤツだって、納得するかも知れねーだろ」
「なるほど、お前の言う事にも一理あるな」
「モンシアだ、お前じゃ無い」
「そりゃ、すまなかったな自己紹介されてないしな」
首を少し傾け肩をすくめ、盗賊モンシア以外の二人に視線を向けた。
「テンドールだ」
「アンディ」
「じゃぁ、三人纏めてテンアンモンだね」
「テンアンモン?」
「天安門? 物騒な」
「テンアンモン? 物騒?」
「私たちの故郷の隣の国の、その何というか、逸話のある単語だ。非武装だが、暴徒と化した民衆を軍が虐殺した歴史的事件の門の名前だ」
「へー」
『やはり、命が軽いとその程度の反応か』
『そんな事より、本当に追放する?』
『まさか』
「冒険者を続けたいなら話を聞け、悪いようにはしない……それより、コレらのクエストをこれから午前中で熟し、午後は討伐に出るぞ」
「は? 何言ってやがる!?」
「話を聞け」
『貴方達は一切、喋らないで』
「ぬ?」
キャサリンが口に人差し指を立てて片目を瞑って思念を流して来た。その仕草が艶かしく妖艶で、それを目の当たりにした関係ない男たちもそろってゴクリと生唾を飲み下した。
『悪いようにはしないと言っている』
『これは、便利だな。完全な秘密の話ができる』
『今は思念も送ってこないで話に集中して』
キャサリンが魔法使いアンディに片目で薮睨みを送った。だが、それを見た関係のない男達は何を思ったのかアンディへ一瞬、敵意の目を向けたのだった。
「いい? 段取りはこうよ。午前中で汲み取りと採取、ゴブリン退治の準備を行い、午後には出発、幸いにも早馬を使えば現地に夕方前には着ける。先行組が先に村と話をして後発組は体を休めて現地に着いたら作成を即時実行に移すのよ。間引いて居たとは言え、いつゴブリンの戦力が整って村を襲うとも限らないは。私達二人だけではままならなかったけれど貴方達が居ればどうにかなる」
話を聞いたテンドールが手を軽く上げた。
「発言を許可します」
「いくら休めても疲れたままゴブリン達に挑むのは無理だ、もっと休みをくれないか」
「それは秘策がある此処では言えないわ」
「ポーションか?」
「まぁそんなところね」
「質問がない? 話を続けても?」
「なんで、奴隷の仕事がクエストに貼られてるんだ?」
「そこから? ま、いいわ。戦うスキルを持たない冒険者の為に定期的に出てるのよ。キャサリンも二回ほどこなしてるわ」
「マジかよ」
「秘策があるって言ったでしょ」
「そっちにも秘策とやらがあるのかよ!」
「ちょっとした工夫よ。誰にでも出来るけど、何故かみんなしてないから秘策なんて言ってるけどね」
「分かった。あんたに従おう」
テンドールが折れた途端、周りからヤジが飛んで来た。
「なんだなんだ? 天下のテンドール様も便所掃除夫か」
「あら、嫉妬? 私のパーティーメンバーにケチ付けるなら表に出てもいいのよ?」
「いやいや、めっそうもねぇ……」
茶々を入れた男は、間髪入れず返してきたジェシカに驚き、自身の仲間を振り返ると既に一人取り残されている状況に慌ててジェシカに愛想笑いを振りまいた。
「いや、はは、失礼しましたー!」
「……やれやれだぜ」
ジェシカは好きだった漫画の主人公の口癖を聞こえないようにこぼした。
◆
公衆トイレ前
公衆トイレの肥溜め掃除及び肥料運び。
この依頼は本来は奴隷が主に行うがそれでも広い市街に設置された公衆トイレは意外に多く度々冒険者ギルドにもクエストとして張り出され、生活魔法のクリーンを使い熟せる者などが、利用している。肥料運びは、溜まった肥を市街地外苑の畑近くにある堆肥場で発酵させる為に肥桶で運搬する事だ。
「お前達にはこれから筋トレ兼武器作りをして貰う」
「武器?」「筋トレ……」「勘弁して姐御ぉ」
「初回だサービスはしてやる。先ずは桶の中に汚物を入れたらこの蓋をセットしここに炭を入れる」
何か言い出そうとする三人に先んじてキャシーが『黙って』と命令する。
「炭はそのままだと火が着きにくいが、この生ゴミや汚物から出る臭気を消臭する特性がある。それは臭気の元を炭が吸着するからだが、知っているか?」
三人ともちんぷんかんぷんと顔に描いた様な表情で肩をすくめた。
「臭気はとても良く燃える。今回は炭をサービスだ。火の着き易い燃料になる。今回のゴブリン討伐で使うからしっかり励めよ。私は馬車の手配、その他を仕入れて来る。キャシーが毒草採取だ。クエスト中は一人二桶運べよ。昼までに終わらなければ、三人にはちょっとしたペナルティだ」
『監視下且つ経験並行記憶出来るから先ず大丈夫。筋トレベースは魔法使いになるけど』
「あぁ、それと運び終わったらコレに炭をしまっておけ」
キャシーがベルトに付けられる鞄を三人に渡すどう見ても炭の塊が3~4個しか入りそうにない。
「炭専用のマジックポーチだ。消臭済みか未処理の炭と頭の中で思ってから取り出せよ。コレもサービスだ。質問も許可する」
「至れり尽くせりで怖いんだが、何をさせようと言うんだ?」
「そうだな。先ずは、私と釣り合いの取れる戦略をキャシーと共にやって貰う。慣れたところで個人のスキルを伸ばし、最終的には一人一人が私の1/5は戦果を上げられる様にする」
「1/5?」
「オーク一体を単独で1分以内に戦闘不能にするのを目安だ」
「姐御ぉ、そんな事可能なのかぃ?」
「もちろんだ、悪いようにはしないと言っただろ? だが、私達の言う通りにする必要はある。さすれば、少なくとも1/10位まで持っていけるだろうよ」
「おお…」
「やる気出たか? ま、はじめは辛いだろうがクエストならこなせる様になる。無理なクエストに行かなければ、生活も直ぐに安定するだろう。返事は『承知』で。……返事は?」
「あ、承知」「承知」「へいへい、承知」
____
いつもお読みいただきありがとうございます。
それでは、お楽しみください。
◆
デコグリフ教国 クランデリア自治領
神の奇跡が使用可能故に教会が神に成り代わり統治国家を樹立。小さな国をまとめ自治区として巨大国家として今もなお成長している。その自治区の一つである。
キャシー達は五人パーティーとしてグランデリア自治区所属のギルドへ登録した。
基礎から使える手法を伝える為に『#解毒薬__キュア・ポイズン#の素材になる毒草、"ヴェノドラシソ"』の採取クエストと誰もやりたがらない肥溜めの汲取クエストを受諾して来た。
三人の男達(戦士テンドール、魔法使いアンディ、盗賊モンシア)はコレらのクエストを嫌がった。
その理由は、一つは薬草に対して毒草の取り扱いが少し厄介である事。受注を請けられるのはカッパーCランクでなく、カッパーAランクからになる。嫌がる理由の二つ目は、解毒薬を生成出来る錬金術師の護衛と名前を変えたりするが、その実、錬金術師個人の場合ならともかく錬金術技術者ギルドが絡むと5%の紹介料が毎回入る為その分報酬が安くなる。この差額は地味に効いて来るので割が良いかと問われると微妙な報酬額が冒険者を遠ざける。
◆
何処にでもいそうな戦士テンドールは激怒した。
「ふざけんな!!
どうして、今更、そんな駆け出し共のクエストなんか……!!」
「じゃぁ、お前は来なくて良い。それとパーティから抜けて貰う。勿論冒険者資格剥奪してだ」
「なっ!?」
「貴方達も同意見? まさかさっき言ったことをもう既にお忘れ?」
「冒険者資格剥奪の理由は秘匿事項とこのまま抜けても元の様に犯罪まがいに手を染めかねない冒険者を野放しにしておく訳にはいかない、理由はこの二つですかね?」
「流石、魔法使いだね、此処でパーティーから抜けてその先の生活が貪底なら近いうちに犯罪者になる。しかもそう言うのは、つまらないトコから始まる。例えばパンをくすねるとか大したことのない盗みからだ」
「そ、そんなもん」
「既に手を染めていたのか?
正直に言え、この場で罪を償わせる」
テンドールはジェシカの気迫に気圧されながらも応えた。
「いや、やってねぇ。断じてやってねぇ」
「ふむ、なら構わん。受付に行くぞ」
「待ってくれ姐さん、このクエスやる理由をせめて教えてくれ。そうすりゃあテンのヤツだって、納得するかも知れねーだろ」
「なるほど、お前の言う事にも一理あるな」
「モンシアだ、お前じゃ無い」
「そりゃ、すまなかったな自己紹介されてないしな」
首を少し傾け肩をすくめ、盗賊モンシア以外の二人に視線を向けた。
「テンドールだ」
「アンディ」
「じゃぁ、三人纏めてテンアンモンだね」
「テンアンモン?」
「天安門? 物騒な」
「テンアンモン? 物騒?」
「私たちの故郷の隣の国の、その何というか、逸話のある単語だ。非武装だが、暴徒と化した民衆を軍が虐殺した歴史的事件の門の名前だ」
「へー」
『やはり、命が軽いとその程度の反応か』
『そんな事より、本当に追放する?』
『まさか』
「冒険者を続けたいなら話を聞け、悪いようにはしない……それより、コレらのクエストをこれから午前中で熟し、午後は討伐に出るぞ」
「は? 何言ってやがる!?」
「話を聞け」
『貴方達は一切、喋らないで』
「ぬ?」
キャサリンが口に人差し指を立てて片目を瞑って思念を流して来た。その仕草が艶かしく妖艶で、それを目の当たりにした関係ない男たちもそろってゴクリと生唾を飲み下した。
『悪いようにはしないと言っている』
『これは、便利だな。完全な秘密の話ができる』
『今は思念も送ってこないで話に集中して』
キャサリンが魔法使いアンディに片目で薮睨みを送った。だが、それを見た関係のない男達は何を思ったのかアンディへ一瞬、敵意の目を向けたのだった。
「いい? 段取りはこうよ。午前中で汲み取りと採取、ゴブリン退治の準備を行い、午後には出発、幸いにも早馬を使えば現地に夕方前には着ける。先行組が先に村と話をして後発組は体を休めて現地に着いたら作成を即時実行に移すのよ。間引いて居たとは言え、いつゴブリンの戦力が整って村を襲うとも限らないは。私達二人だけではままならなかったけれど貴方達が居ればどうにかなる」
話を聞いたテンドールが手を軽く上げた。
「発言を許可します」
「いくら休めても疲れたままゴブリン達に挑むのは無理だ、もっと休みをくれないか」
「それは秘策がある此処では言えないわ」
「ポーションか?」
「まぁそんなところね」
「質問がない? 話を続けても?」
「なんで、奴隷の仕事がクエストに貼られてるんだ?」
「そこから? ま、いいわ。戦うスキルを持たない冒険者の為に定期的に出てるのよ。キャサリンも二回ほどこなしてるわ」
「マジかよ」
「秘策があるって言ったでしょ」
「そっちにも秘策とやらがあるのかよ!」
「ちょっとした工夫よ。誰にでも出来るけど、何故かみんなしてないから秘策なんて言ってるけどね」
「分かった。あんたに従おう」
テンドールが折れた途端、周りからヤジが飛んで来た。
「なんだなんだ? 天下のテンドール様も便所掃除夫か」
「あら、嫉妬? 私のパーティーメンバーにケチ付けるなら表に出てもいいのよ?」
「いやいや、めっそうもねぇ……」
茶々を入れた男は、間髪入れず返してきたジェシカに驚き、自身の仲間を振り返ると既に一人取り残されている状況に慌ててジェシカに愛想笑いを振りまいた。
「いや、はは、失礼しましたー!」
「……やれやれだぜ」
ジェシカは好きだった漫画の主人公の口癖を聞こえないようにこぼした。
◆
公衆トイレ前
公衆トイレの肥溜め掃除及び肥料運び。
この依頼は本来は奴隷が主に行うがそれでも広い市街に設置された公衆トイレは意外に多く度々冒険者ギルドにもクエストとして張り出され、生活魔法のクリーンを使い熟せる者などが、利用している。肥料運びは、溜まった肥を市街地外苑の畑近くにある堆肥場で発酵させる為に肥桶で運搬する事だ。
「お前達にはこれから筋トレ兼武器作りをして貰う」
「武器?」「筋トレ……」「勘弁して姐御ぉ」
「初回だサービスはしてやる。先ずは桶の中に汚物を入れたらこの蓋をセットしここに炭を入れる」
何か言い出そうとする三人に先んじてキャシーが『黙って』と命令する。
「炭はそのままだと火が着きにくいが、この生ゴミや汚物から出る臭気を消臭する特性がある。それは臭気の元を炭が吸着するからだが、知っているか?」
三人ともちんぷんかんぷんと顔に描いた様な表情で肩をすくめた。
「臭気はとても良く燃える。今回は炭をサービスだ。火の着き易い燃料になる。今回のゴブリン討伐で使うからしっかり励めよ。私は馬車の手配、その他を仕入れて来る。キャシーが毒草採取だ。クエスト中は一人二桶運べよ。昼までに終わらなければ、三人にはちょっとしたペナルティだ」
『監視下且つ経験並行記憶出来るから先ず大丈夫。筋トレベースは魔法使いになるけど』
「あぁ、それと運び終わったらコレに炭をしまっておけ」
キャシーがベルトに付けられる鞄を三人に渡すどう見ても炭の塊が3~4個しか入りそうにない。
「炭専用のマジックポーチだ。消臭済みか未処理の炭と頭の中で思ってから取り出せよ。コレもサービスだ。質問も許可する」
「至れり尽くせりで怖いんだが、何をさせようと言うんだ?」
「そうだな。先ずは、私と釣り合いの取れる戦略をキャシーと共にやって貰う。慣れたところで個人のスキルを伸ばし、最終的には一人一人が私の1/5は戦果を上げられる様にする」
「1/5?」
「オーク一体を単独で1分以内に戦闘不能にするのを目安だ」
「姐御ぉ、そんな事可能なのかぃ?」
「もちろんだ、悪いようにはしないと言っただろ? だが、私達の言う通りにする必要はある。さすれば、少なくとも1/10位まで持っていけるだろうよ」
「おお…」
「やる気出たか? ま、はじめは辛いだろうがクエストならこなせる様になる。無理なクエストに行かなければ、生活も直ぐに安定するだろう。返事は『承知』で。……返事は?」
「あ、承知」「承知」「へいへい、承知」
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いつもお読みいただきありがとうございます。
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