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第4話 魔導人形開発(Development of Magic Servant.)
しおりを挟む弟子18日~24日目 裏庭花壇と勝手口の間に座り込み
師匠から一本も取れる事なくやられてこの六日間、悔しい思いを抱えて悶々としながら過ごす。その間ひたすらサーヴァントの強化を考え、魔力を出力に回せる構造の試行錯誤を繰り返した。
紆余曲折した結果、うず高く積まれたゴミパーツ。それに何度も書き直し記録した魔法式の屑データ。それらから得られた結晶が戦闘用魔造召使い・試作体『戦闘者』だ。
サイズを10cmにしてるので、移動に時間がかかる。どうしても速度重視になる為に速く走る構造になった。結果異形の脚を持つサーヴァントになった。狼やラプター(デカい蜥蜴の獰猛な奴)のような後肢で所謂逆関節型を基本にしている。折り畳んで居るとそうは見えないが。
素早く追いかけてくる魔物系の脚部も逆関節なので間違いない。使ってみたら生身で走るより早い体感でビビるが、10cmの全力は早いっちゃ早いんだけど、目で追える程度。矢よりちょっと遅いかな。もう少し早くないと実践的に使えない。念動だけではイマイチ速度が足りない。風の魔法で加速を検討しよう。
◆
弟子24日目 昼食後 再び裏庭花壇と勝手口の間
結局、悔しい想いだけで折角のスケジュールをガン無視の勢いで作ってしまった。それでもサーヴァントの素体は纏まったので中味を作る。何故かパッケージには存在しないサーヴァントの命令魔法。パッケージ魔法には細かい指示を編集したり操縦系統の出力を編集する概念は無かったらしい。現にハード側で出力調整を行なって居るのだから使い捨ての雑用係で戦闘させる発想は無かったのだろう。
今の僕の魔導学では上位互換のゴーレムは作れない。恐らくゴーレムが戦闘を担うのがセオリーなんだろう。師匠と僕くらいがこんな玩具を弄り倒してると言うわけだ。もっとも、師匠とのあの試合や師匠の魔導技術を見なければ弄ろうとも思わなかった。
サーヴァントの中身を作る。そのヒントをアーティファクト・デバイスの書庫ではない方のフォルダを開いて見て回る。それで初めに思い付いたのが『動作ログの痕跡を記録』するトレーサーを作成した。パッケージの数種類からコマンドを抜き出して作った猿真似魔法だ。
次に作ったのは四脚魔力吸引機、略して4MaTだ。ドル師匠が作った魔力回収のコマンド一式を3倍で回収出来るようにした。その際に詠唱をわざわざ行う意味に疑問を持ったけれど、考えても分からなかったので後で師匠に聞くことにした。
作ったからには、早く装備して見たいのが心情だろう。早速シュラッチャの背中に仮装備。見る見るマナ・プールが満たされた。
シュラッチャの感覚共有を使い、トレーサーを作動させ、1cmサイズの新しい作業用サーヴァントを作る。回転関節を一つ作り、それを複製動作出来るか確認。一体分のパーツの指一本、片腕一本を適当に作成動作複製で手と足は互換性の為同じパーツを作り出す。
少々不恰好だが一体分出来たところで、シュラッチャで足パーツを作成。出来た一体分のパーツの方は早々にクリエイトサーヴァントで指パーツを作成させる。この様に分担パーツを複製し生産ライン化して少々手のデカい1cmサイズの作業用サーヴァントの“アーベイト”が完成した。
仮作成してたヤツもちゃんと足パーツを交換して、アーベイトにして、どんどん生産ラインをアップデートする。
もちろん、改良コンパクト化した4MaTとマナ・プール装備。八体のアーベイトが稼働し、5体分の戦闘用サーヴァントのパーツを作ったところで勝手口が開いた。
◆
弟子24日目 夕食前 サーヴァント生産工房化した裏庭
「アイルス、そろそろ夕飯に……なんぢゃ?」
勝手口から師匠が夕飯に呼びに来て裏庭のサーヴァント生産工房と化した現状に呆気に取られた表情をした。
1cm程度のアーベイトが超高温(1600℃程度)切断工具でパーツの切出し、高温(800℃)研磨工具で表面をガラス転移させながら研磨作業を行い、生産ラインを構築していた。
「あ、もうそんな時間でしたか。夕食までに十五体は作りたかったんですけどね」
僕の中でモヤモヤしていた気持ちが、師匠の思わぬ驚きの顔を見て晴れていった。現在、1cm版シュラッチを作成中。次のステップまでに魔力量のバランス考えないと戦闘中にマナ枯渇する。無駄な動きの改善、全身への効率の良い魔力供給などの為に動作データが欲しい。
「アイルス、そのサーヴァントの持っているものは?」
師匠の目が超高熱切断工具や高熱研磨工具に注がれた。
「パーツ作成用の工具魔法です」
「石を熱したナイフでバ、いやスライムでも切るように石を切って見えるんぢゃが」
「師匠が読んだ方がいいと言ったルインズ・ブックの中に【ヴィッセンシャフト】なるものがありそこに書いてある道理を参考に作った結果です」
「ふむ。人が扱うサイズだと恐ろしい武器ぢゃの」
「それだと魔力がすぐ枯渇してしまいますよ。このサイズだから可能なのですから」
実際、800℃にした結界内を圧縮し1600℃の物理的な刃渡り2cmのナイフ型結界は三体に同時詠唱させて作っている。研磨工具は二体で圧縮過程がないだけ楽な分複数作れる。
「威力は凄いが運用にまだ無理がありそうぢゃの」
「やっぱり分かりますか。まだ改良を画策中です」
「そうか。……物理関節にしたんぢゃな」
「マナの無駄を省かないと直ぐに枯渇してしまうので」
「見違えたぞ、アイルス。コレほどとはワシも予想はしておらなんだ」
「小さい方がマナの運用効率が良かっただけです。そのうちマナを鷲掴み出来るくらい小さくしてみたいとも思ってます」
師匠はサーヴァントの持つ工具やその作業の動作を観察し、僕に向かって言った。
「うむ。見事な心意気と実現力ぢゃ。既にワシのサーヴァントを超えた出来ぢゃよ。アイルスよ。そなたはサーヴァントの職人を一先ず極めてみよ。その先は好きに研究するが良い」
「サーヴァントを極めるんですか?」
「うむ。世の中は広く、真理は深い。一生を使っても追い切れぬだろう。そのサーヴァントはお前の真理を求める助けに必ずなる。何故ならワシに訓練で負けた悔しさからぢゃと思うが……。失敗を解決する為の発想力! それは、手数を増やす行動そのものぢゃ。問題解決力の高さは、寛容な心を備える。怒りを制御し、見下す必要のない人生を形作る生存力ぢゃよ。それが形となったお前の人形はこれからもそれを続けていける土台となろう。そうして続けて行けたならば、力となり夢を実現出来よう」
師匠が"教えを説く"といつもの僕の反応を伺う間を取る。僕は、疑問をここで聞くかどうか躊躇った。流れ的には相応しくはないが質問をするには良い機会だ。
「……師匠、お願いが二つあります」
「なんぢゃ?」
「一つは疑問に答えて欲しいのです」
「ふむ?」
「わざわざ、声と身振りで発動コマンドの呼び出しにしてあるのは何故ですか?」
「良い質問だ。簡潔に言うと並列異相処理を行う事で意図せぬ魔法暴発が起きぬ様にしてあるのぢゃ」
「魔法暴発?」
「まだ、魔法がパッケージ化された頃の話ぢゃ。体系化仕立ての魔法は発動準備に今よりも、手間取っての。悪魔族との戦闘で運用するには無理のあるものぢゃった。魔法式の簡略と複数並列処理をこなせる優秀な魔法使いが簡単に育つわけも無い。そこで詠唱と身振りによる並列処理を行わせる発動具が誕生した。まぁ、他にも夢を操られ寝ている本陣で魔法が発動して負けた陣営が居たと言うのもあって詠唱だけだったのを急遽身振りも必要にしたのもあるがの。ま、安全措置と簡略化のためぢゃ」
「そんな事があったからだったんですね……」
「うむ。して、もう一つも質問かの?」
「いえ、サーヴァントの顔がどうしてもうまく出来ないのでコツを教えてください。その、出来ればカッコよくしたいです」
「ほっほっ。お安い御用ぢゃ。一体借りるぞ、待っておれ。さて、夕飯ぢゃから部屋へ入りなさい」
言いつつ師匠は、組み上げたばかりの5体のサーヴァントの一つを拾い上げる。
「はい。師匠。サーヴァントの頭の作成手順も見せて貰っていいですか?」
「構わんよ。昔見た鎧のヘッドを真似るだけぢゃしの。ところで」
師匠はサーヴァントをしげしげと見ながら、リビングへ向かう。腕を上げて見たり、大股のポーズを取らせて見たりしながら、関節の可動を見ていた。ちょっとドキドキした。
「見事ぢゃの。ワシも使いたい位ぢゃ。この関節機構、使ってもいいかの?」
「え? 良いですよ。回転関節はドアのアレを真似ただけの物ですし、球体の方は遺跡の書の『ろぼっと』とか言うのから少し真似して作ってみました。」
「ほほぉ。そんな応用考えもせんかったわ。構造解析も出来るのぢゃな。訓練すれば複雑なギミックを看破出来るようになるの」
「え? ドアの開閉とかを考えただけですよ」
「ソレも技術ぢゃ。いずれ判ろう。冷めてしまうぞ。食べた後でサーヴァントの頭を作ってやろう」
「はーい!」
一番悩んだ頭の作成をして貰える。自分で作ったコレまでの顔はカッコよく作る努力はしたけど、イマイチだったのだ。その日の夕食は5日の悩んでる日々の中久し振りに一番美味しく感じた。
◆
弟子24日目 深夜 ドル師匠の書斎にて
アイルスの新たな革新的アイディアにより、サーヴァントは、汎用性を犠牲にし、有用な付加機能がついた。
我々、魔術師や魔法使いは、魔法研究に没頭するため人を雇うような暇はない。弟子でも出来ればこき使う位だ。そこで、サーヴァントやゴーレムが足りない人手として生み出されたと言っても過言では無い。
サーヴァントが使い捨てとして作られたのは簡単な整理や掃除、研究のアドリブが必要とされる足りない手として。知能は高くなく、汎用性を高くする為そこらにある材料で組める事が利点。同時に壊れやすく言われたことしかできず、持続時間も短い。
ゴーレムは、それら欠点を補う為に生まれた。長期不在にする門番や住処の改築工事もこなす。魔導コアと高い知能を有する為、長期に渡る複雑な命令が遂行可能だ。欠点はその体躯の制作にも魔導コアの制作にも宿らせる知性にも多大なコストがかかる。
アイルスの上級魔導召使ととも言うべき成果は、ゴーレムの長所をも持った新しいサーヴァントとして運用が可能になった。この技術が知られれば、やがて世界を変えて行くぢゃろう。まさに天才と言うべき才能ぢゃ。伸ばさないのは悪手ぢゃろうて。
特筆すべきは、『下手をすれば機能停止しかねないサーヴァントの魔法行使』を実現させるなどと誰もが敬遠した問題を欠点克服とともにやってのけおった。アイルスの閃きには瞬発力がある。
実質、アイルスの組み上げたテトラ・マナ・トルネーダーを効率よく改良したMAdpで休むことなく、動くようになったサーヴァントとゴーレムの差異は自律式かどうかの違いしかなくなった。
予備として作っておいた物も含め、全てのサーヴァントにMAdpを取り付けた。全サーヴァントがパーツのメンテ以外休む事なく稼働可能になった。
儂の研究も共有させて引き継ぎ、恐らくはこの世界の持つ病にもやがては立ち向かえるようになるぢゃろう。教会がひた隠す天使達の秘密と悪魔族の関係性にも。
この研究の引継ぎ事項も含め、物理的な儂の書庫にある本をサーヴァントに命じ、魔導書庫へ納めることとした。歴代の研究とともに納めておけば、やがてアイルスの目に触れよう。
本を広げてページの光景をそのまま記録し、目録を作っていく。遺跡から手に入った本はこれ以上傷まないことでルインズ・データとして永遠に保存できる利点もある。
工房用予備も稼動させ、アイルスの設計していたサーヴァントで先送りしていた、儂の作成したサーヴァントの関節の改善点を設計書に書き起こし、ドル製サーヴァントの第二世代を半分のサイズにしてMAdp込みで量産作成させる。
2日目に10体が作成し終え、書庫のデータ取り込みに4体、サーヴァント作成に6体にふり分ける。作成するサーヴァントをさらに半分の1/4サイズにし使用するパーツ素材と作成時間(主に本を傷めないための研磨仕上げでかかる時間)を節約する。
書庫のデータ化は3日目にして14体を投入し、合計20体で本の取込作業に取り掛かからせることができた。
これにより、リビングに据え付けた第2世代魔導器具でアイルスは覚える魔法と参照できる儂の書庫を手にすることとなった。
そして、そろそろアイルスに試練を与えても良い強さになってしまっていることに気付く。グズグズしていたらフライ系を習得してしまうぢゃろう。武器への転用も可能なモノまで作り出しておるし通例では3ヶ月で早い方ぢゃったが、異例の速さぢゃな。
修練洞窟に挑ませよう。特例ぢゃからの。保険として、使い魔のプランクと第3世代魔導器具をつけようかの。きっと死なずにいい結果を持ち帰ってくるぢゃろうて。
___修練洞窟とはエーゼルバニア・フォレストの地下に広がる大洞窟の一部で比較的魔物の少ない洞窟だ。ここには昔から少ない弟子が何人も放り込まれる場所である。___
◆
弟子27日目 夕食前の簡易書斎前
リビングに大き目のオブジェが置かれた。そのオブジェの正面(?)で人間が叫ぶ様な大きな口を開き、耳を塞いでいた。その像の右側にまるでおとぎ話に出てくる下半身がヤギ(?)で皮膜翼と尖った尻尾にツノと牙の魔王が目を覆っている。人間の像の左側には羽毛が見事な翼を背にした天使が口元を右手で隠していた。
なんの意味が込められているのか分からないが、歪なのは全体的に狂ったデッサンのまま立体化したデザインが滑稽さを引き出していた。なんとも微妙な気持ちになるオブジェだったが外観はこの際気にしない事にした。
「師匠、コレなんですか?」
「セカンド・アーティファクト・デバイスを仕込んだ『容れ物』ぢゃよ」
師匠は顔も上げず何やら書き込みをしながら答えてくれた。
「なんか、趣味悪く無いですか」
「天使達が作ったと言われる遺跡にあったレリーフを模しただけぢゃ。この世を示しておるとか無いとか」
「そうですか」
理解出来そうに無いので話を打ち切った。
「セカンド・アーティファクト・デバイスにテレパスでアクセスして見るがええ。書庫を拡大している最中ぢゃが、そこに並べた蔵書よりも多くの書を保管しておいたぞ」
「ホントですか!」
早速、思考詠唱でアクセスする。そこには本棚の世界が広がっていた。凄いけれど読むのはそれだけで骨が折れそうだ。
「今は、まだ絵として本をデータにしたがいずれはデータの書き換えを可能にするつもりぢゃ。ぢゃから、急いで読むことはないんぢゃよ」
「でも、師匠、早く全部読みたいです!」
「ホッホ。ではアイルスにも書き換え可能なデータ化をたのむとしようかのぉ?」
「どうすればいいですか?」
「一文字ずつの絵にしていくのぢゃ。地味な作業ぢゃがな。コレが終われば、このセカンド・アーティファクト・デバイスにしか存在しない『紙を必要としない本』を作ることも可能になるのぉ」
「紙を必要としない本ですか!?」
パピルスが羊皮紙より安くとも本自体の価値はすごく高いと聞いたことがあった。紙を必要としない本なんて凄いとしか思えない。いつでも好きな時に欲しい情報だけ抜き取ることも可能になりそうだ。
「まぁ、本を維持する為の魔力が切れたら消滅してしまうがな」
「でも、魔法陣も魔法式も存在するなら本の情報を再構築するのは可能ですよね! 凄い発明じゃないですか!」
「ふぅむ。そう言えば情報保存のルール化を整備しておらんかったのぉ」
「是非、作ってください!」
「ま、そのうちにの」
躱された。まぁ必要と思うから並列でこっそり作ってやってみるかな……エネルギー運用どうするかが課題だろうけど。
◆
夕食時も師匠とセカンド・アーティファクト・デバイスの書庫内の話した。
ルインズ・ブックについては師匠はあまり読んでいないと言う。
理由は現在の研究に忙しいとのことだ。いずれは手伝って欲しいようなことも言っていたけど、まだどうなってくか分からないから返答は任せてくれるとも言ってた。
それから近々、歴代の弟子達が修行した洞窟へ行くからライフキーパーを覚えるようにと言われた。
ライフキーパーとは、水の確保、蒸留の仕方、狩の仕方などサバイバルに加え、傷の治し方、病気を未然に防ぐ方法、病気になった場合の持ち直し方、毒の見分け方、解毒の方法などをまとめた覚えるべき魔法を組み込んだ実技のセットである。
弟子の生存率の引き上げ目的で出来は良いから、世に出しても構わないが外界との接点が僕の父さんとだけなので広めてないとか。師匠は、狩用に攻撃魔法ばかりに目が行き過ぎるが、物理的に体系化された方が重要だと教えてくれた。例えば簡易罠設置、薬草の見分け方、傷薬、湿布の作り方、捕えた動物の解体、食べられる変種の魔物の解体、それに料理などの方が魔力切れでも生き残れる為に覚えるべきだと。
師匠は実地訓練として、三日間僕を森の中に連れて行って教えてくれた。実は、その間に新たに起動させたアーベイトに並列思考用としてリ・スーパーバイザー・マニフェステーションをかけて、試しにアーベイトで勉強させてみた。1日が終わってから寝る時に記憶を統合して勉強を完了させる。
おおよそ、八割型記憶の統合に成功した。恐らく二割の失敗。その原因は分からなかった。
ただ、こっそり勉強して驚かせるつもりが、食べる量が増えた為に(三体分でほぼ二倍程、甘いものが欲しくなった)バレた。自分の魂から直接分離させてサーヴァントに付与するのではなく、サーヴァントに付与したエーテルフィルムのコピーから人格分裂させれば偏食が起きずに済む事がそのおかげでわかった。
僕が並列勉強なんてことしてるのがバレたので、2ヶ月先に行かせようと思っていた、修練洞窟へは二日後に決定した。やっと第ニ階梯に入ったのに残念。まぁ、既に第三階梯の筈の圧縮の仕方は不完全ながらできたけど。炎に頼らず熱を操作出来る事や熱量と圧力で全ての物質が水の様に個体、液体、気体、電離体と変化する事も知ることが出来た。
殆どのパッケージでは、今一つ欲しい事象に及ばず、手を加えなければいけない。例えば、クリーニング、ヒート、クール。ここら辺の生活魔法は、洗濯や調理には必要不可欠な位には便利だが、着たまま洗濯や人体にヒートやクールなど怪我をする可能性がある。そこで汚れ(選択物質一つ限定)を特定し分解するデコンポジションやゆっくり暖めるウォーム・アップやクール・ステップ・ダウンを編み出したりした。コレで快適な長期冒険が事実上可能になった。
後は、戦闘力、戦闘補助(罠含む)などの一般的なパッケージの第二階梯のはじめのトコまではセカンド・アーティファクト・デバイスにリスト化していつでも参照出来るようにした。
この他で必要になったら、その場でまた作れば良い。そして、あの修練洞窟へ臨んだ。
____________________
【ステータス】
アイルス・プリムヘッツ(7歳)
弟子31日
◆才能:
アカシック・リーディング(無自覚)
最適設計演算 New
魔力補助精密動作筋肉制御 New
失敗検証 New
検証データ予測演算 New
◆才能→技術化(ユニークスキル)
魔力制御法+魔法最適化→
マジカル・オプティマイザ:Lv 2→3/??
頭脳使用法:Lv 25→27(並列処理により上限解除)
記憶向上+関連記憶→
フラッシュ・デフラグ・フロー
動的空間把握処理能力+予測演算+
動体視力処理速度連動加速→
フラッシュ・シミュレータ
夢想実現化演算→
ブレイク・ダウン・マイル・ストーン
※頭脳使用法で纏められているのでLv 表示なし
◆技能:
見稽古(分析、考察)Lv 0→1
標準語(会話、読み書き)
遺跡語(読み書き)
精霊語(読心会話)
高速切替思考処理
魔力察知 Lv 3
魔法式改造Lv 2
魔法上級改造(並列連動式等)Lv 4
混成魔法Lv 4
物理造形設計技術(木材、石材)Lv 3
研磨整形技術Lv 5 New
※関節部分の精密さを追求した結果。
魔術:
クリエイト・オブ・サモン・マナ・サークル
風の精霊召喚
魔法:
ライト
クリエイト・ミラージュ(ライト派生)
エクストリーム・ハイデンシティ・ライト New
物質強化 New
分子補強 New
パッケージを最適化した強化魔法。
思い込み魔法
記憶圧縮
再監者顕現
並列人格顕現 New
運動能力限定解除
ドルイド・マジック
植物取込共生
■登場キャラクター紹介■
アイルス製サーヴァント達
◆シュラッチャ サイズ:10cm
戦闘を主眼に作られたサーヴァント。
ドル師匠に負け、悔しい思いから産まれた。
クリエイト・サーヴァントで無駄と判断したマナ・
コストを極限まで出力に回した有関節サーヴァント
第一号。
全アイルス製サーヴァントの有関節の出発点。回転
関節と球体関節の発想は、遺跡の書の知識による。
ここでの球体関節は球体を三方向からギリギリ挟み
込む形で成り立つもので現代世界のビスクドール等
の球体関節とは構造が違う。
スライド機構は自力発想。元々は、作成の簡単な
回転関節のみで構成するはずだったが、直接操作し
た時の肩、背骨、股関節の違和感が半端なくぎこち
ない為に難しい球体関節に手を出した経緯がある。
この頃の球体作成は結界を作成し、それを基準に
切削している。模型の発想にありがちな、変形機構
やパーツ交換なども考えてる箇所が見て取れる。
逆関節の脚部を持ち、足の甲が脛と思うほど巨大
化。踵にも独立可動の支えが取り付けられている。
歩行時はスネがほぼ水平になる為、感覚共有してる
と違和感半端無い。脛と踵は生き物にないスライド
機構が備わっている。これにより初速で、かなりの
速度を叩き出せるが加速には少し弱い。
因みに飛び道具や投射式魔法を扱う発想は皆無。
◆アーベイト サイズ:1cm
処女作『ミニ・サーヴァント(仮)』に物理回転
関節を装備。マナ・コストを抑えた作業用サーヴァ
ント。
ミニ・サーヴァントより出力を抑え、且つマナ・
プールと4MaTを備えた、長時間マナが枯渇した環境
下でも稼働出来る常識外れのサーヴァント。
全長1cmだが手は少々デカく作ってありパーツ切
出しと研磨の道具をマジック・オブジェクトで作り
出せる。
生活魔法とそのカスタムのヒートとハイ・ヒート、
及びエクトラ・ヒートで800度まで高めた熱に圧縮を
かけ、熱エネルギーを収束し1600度の切出しナイフ
を形成。
そのナイフでパーツを切り出し、ガラス転移で研
磨する。材料量産専用の作業データ収集用サーヴァ
ント。
◆サーヴァントで使われる魔法について
パッケージ・マジックのクリエイト・サーヴァン
トは関節部を物理的に作ると動作に制限が発生する
事と、汎用的に代替品が使い辛くなるので魔力で構
成した関節を構築する。フルフレキシブルになる反面
魔力消費は著しく、出力にも制限がかかっている。
戦闘で使うなら木の人形の場合、ゴブリンパーティ
の足止め程度や潜伏させておいてパーティーとの挟
み討ち要員くらいしか出来ないだろう。
それでも駆け出し辺りの冒険者にはかなり有効な
手段だ。そこそこ有効な為パッケージでは改良され
る事は殆ど無い。硬い体に乗り移って徒手格闘する
など魔法使いの本分とはかけ離れる事も流行らない
理由の一つだろう。
◆魔力筋繊維
無関節を直接動かす為の動力となる、魔力で構築
する筋繊維。その用途は説明文にするほどでもない
が、念動魔法を筋肉として運用する構築魔法。内部
型と外付けの剥き出し型がある。パッケージ版クリ
エイト・サーヴァントは外付け剥き出し型。
◆4MaT
正式名称:四脚魔力吸引器。
魔法で半永久稼働する魔力収集装置。
核となるパーツの石の上に三ヶ所、下に一ヶ所。計
四ヶ所穴を穿ち、そこに棒状に削ったパーツを差し
込む。形状は三本ツノが生えた一本足の何か。
棒状のパーツには、周囲のマナを引き寄せて中央
の核へ送るのが三本。核から供給先へ送るのが一
本。丁度、漏斗か竜巻の如く三本のパーツが周囲の
マナを取込み、一本のパーツへ送り出す。
棒状のパーツに、組み込まれた魔法陣と式はドル
師匠の発明。
この運用効率なら周囲のマナが豊富で万全の状態
と言う条件付きで、消費魔力が爆炎投射を三発撃っ
た程でもクリエイト・サーヴァントは解除されなく
なった。
◆トレーサー
一度行った動作の記録、複製が可能なコマンド。
作成作業をこれで生産ライン化させるつもりで作っ
ている。
◆コピーについて
離れていても意思疎通が可能になるテレパスは音
と違い、テレパスに出すメッセージは記録され、送
られる過程が存在する為「フラッシュメモリ」を介
せず、保存させれば簡単に複製が出来る。記録する
コマンド自体はドル師匠作成のアーティファクト・
デバイスのものを使用。
◆超高温(1600℃程度)切断工具
削出しでパーツを作るの時間がかかり過ぎるので
考え出した魔法工具。ドル師匠がヤーパンブレード
型のクラブを作っていたのをヒントにパーツ切出し
ナイフをマジック・オブジェクトで作成した。
その際そのままでは、あまり削出しと変わらない
時間コストだったので熱を加えてみた。ヒートでは
イマイチだったので、ハイ・ヒートを使いガラス転移
で形を保ったまま柔らかくなった。しかしサーヴァ
ントの出力頼みでは、パッケージ程ではないにしろ
マナ消費に繋がるので、出来上がった後の余熱振動
吸収する事で魔力変換し、消費コストを抑えた。
余裕が出来たので更に【ヴィッセンシャフト】に
載っていた、圧縮熱の利用を思いつく。周囲の空気
をナイフ型結界を構築し包み、結界内をヒート系の
最上級を使用。800℃まで熱し、圧縮をかけると熱エ
ネルギーを逃さず重ねる事が出来る。幾度かの調整
の結果1600℃と言う超高温のナイフで鉱石を溶解切
断するに至った。
バターどころか、ゼリーでも切り出している様な
感覚でパーツを切出している。形の変更も容易で、
切る、調整、盛るが可能だ。
_____
お読みいただきありがとうございます。
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そんな光の柱から魔物が現れる!?
そんな中、世界中の人々に聞こえた謎の声
謎の声は言う
世界はレベルアップしたと
レベルアップした世界に順応する為、謎の声から人々は力を与えられ、これからの世界を生き残れ!!
だが、そんな世界に変わっても俺はひきこもる?
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前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります
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俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。
なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。
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しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。
今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。
とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。
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