時計台がある街の中で

山本 英生

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彼の言う通り、ある意味、私たちは同じだった

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閉じ込められた想いを吐き出すかの如く
文字として書き起こす
どう表現すれば良いかわからぬまま
過去の想いを書き綴る

煌びやかな青春ではなく
一途な憧れが
ガラスのように粉々に打ち砕かれる

あの時の情熱は
今もまだ消えずに燃え続けてる

自分が自分であるが為に
飼い慣らせない心の檻に閉じ込めた怪物が
牙を剥き出し、檻を食い破ろうとする

他人が見る心証と
我が心象の相反する様よ

表面では人を哀れみ同情する心を見せていても
胸の内に渦巻く羨望や嫉妬
挫折や後悔を吐き出す先は

意のままに操ることの出来るこの世界
書き殴る言葉の数々は
まるで心を切り裂いた断片のように散らばる

それは決して美しくなく
欲にまみれ
背徳感に苛まれ
時に力で捻じ伏せようとする

たとえ醜くても
美しくなくとも
卑怯であったとしても
これが私だと叫ぶことしかできない

欲望のままに
感情のままに

自分の書いた物を読み返せば
そこに広がるのは誠に心の中の闇

一筋の光すら、闇に覆い尽くされそうになる

それでも私は書き続ける
闇の中で一筋の光を掴むために

いつかこの筆が、
自分を赦し
自分を解き放つ日が来ると信じて

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