11 / 27
嫉妬1
しおりを挟む
昼過ぎになって、のろのろと起きる。
今日は土曜で、仕事が休みで助かった。
昨日は随分と美咲に世話をかけてしまった。
あの程度の酒で、まさか酔い潰れるとは。
疲れがたまっていたのだろうか。
タクシーの運転手と美咲に肩を借りて、帰って来たのはなんとなく覚えている。
美咲があの時現れたのは、位置共有アプリのおかげらしい。
俺が駅からずっと動かないから、おかしいと気付いて見に来たと言っていた。
そう言えば、そんなアプリを美咲が入れていたなと思い出した。
説明を受けた時に、美咲のいる場所がわかれば安全の担保になると思った記憶がある。
なんというか、今ドキの子なんだろうけど、すごいなと感心する。
田中さんには姪だと自己紹介したらしい。
美咲を連れて帰った日に、アパートの大家さんやご近所さんに会ったらそう言うようにと設定した仮の間柄だ。
子供だとばかり思っていたのに。
美咲は運送業の倉庫アルバイトを始めていて、今日は出勤していた。
迷惑をかけてしまったお詫びに、外食してショッピングにでも連れて行くか。
美咲は親戚の家で苦労してきたからか、金銭面ではシビアで、俺に甘えようとはしない。
通販サイトの俺のアカウントも自由に使っていいぞと言ってあるが、使った形跡はないし、食費の他に欲しい物が買えるよう現金も渡してあるが、それも殆ど手を付けないでいる。
使ったのは、先日の美容院代くらいじゃないだろうか。
何か良い物をプレゼントしたいと思った。
驚かせようと思って、会社の前で待つ。
すると、若い男女二人組が倉庫から出て来た。
仲が良さそうにふざけ合っている。
彼が美咲がよく話題に出す二つ年上の中川君だなと思った。
母子家庭で、奨学金を借りて法学部に通っている苦学生らしい。
身なりは質素だったが、背は高く、遠目からでも好青年に見えた。
美咲が俺に気づいて、手を振る。
彼は俺に向かって帽子をとってペコリと頭を下げた。
「驚いた! 迎えに来てくれたの?」
「外でメシでもどうかなと思ってさ。昨日のお詫びに」
「じゃ、美咲ちゃん、またね!」
「うん、バイバイ」
美咲は中川君に手を振って見送ると俺の腕を取って嘆く。
「どこに行くの? ああもう、ショック。隼人さんとのデートなのに、こんな恰好なんて!」
「美咲は、」
「なに?」
「いや、なんでもない」
美咲は自分の恰好が気になるようだったが、俺は美咲が彼に俺の事をなんと紹介したのかがずっと気になっていた。
今日は土曜で、仕事が休みで助かった。
昨日は随分と美咲に世話をかけてしまった。
あの程度の酒で、まさか酔い潰れるとは。
疲れがたまっていたのだろうか。
タクシーの運転手と美咲に肩を借りて、帰って来たのはなんとなく覚えている。
美咲があの時現れたのは、位置共有アプリのおかげらしい。
俺が駅からずっと動かないから、おかしいと気付いて見に来たと言っていた。
そう言えば、そんなアプリを美咲が入れていたなと思い出した。
説明を受けた時に、美咲のいる場所がわかれば安全の担保になると思った記憶がある。
なんというか、今ドキの子なんだろうけど、すごいなと感心する。
田中さんには姪だと自己紹介したらしい。
美咲を連れて帰った日に、アパートの大家さんやご近所さんに会ったらそう言うようにと設定した仮の間柄だ。
子供だとばかり思っていたのに。
美咲は運送業の倉庫アルバイトを始めていて、今日は出勤していた。
迷惑をかけてしまったお詫びに、外食してショッピングにでも連れて行くか。
美咲は親戚の家で苦労してきたからか、金銭面ではシビアで、俺に甘えようとはしない。
通販サイトの俺のアカウントも自由に使っていいぞと言ってあるが、使った形跡はないし、食費の他に欲しい物が買えるよう現金も渡してあるが、それも殆ど手を付けないでいる。
使ったのは、先日の美容院代くらいじゃないだろうか。
何か良い物をプレゼントしたいと思った。
驚かせようと思って、会社の前で待つ。
すると、若い男女二人組が倉庫から出て来た。
仲が良さそうにふざけ合っている。
彼が美咲がよく話題に出す二つ年上の中川君だなと思った。
母子家庭で、奨学金を借りて法学部に通っている苦学生らしい。
身なりは質素だったが、背は高く、遠目からでも好青年に見えた。
美咲が俺に気づいて、手を振る。
彼は俺に向かって帽子をとってペコリと頭を下げた。
「驚いた! 迎えに来てくれたの?」
「外でメシでもどうかなと思ってさ。昨日のお詫びに」
「じゃ、美咲ちゃん、またね!」
「うん、バイバイ」
美咲は中川君に手を振って見送ると俺の腕を取って嘆く。
「どこに行くの? ああもう、ショック。隼人さんとのデートなのに、こんな恰好なんて!」
「美咲は、」
「なに?」
「いや、なんでもない」
美咲は自分の恰好が気になるようだったが、俺は美咲が彼に俺の事をなんと紹介したのかがずっと気になっていた。
0
お気に入りに追加
69
あなたにおすすめの小説



イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる