幼妻と中年

Arara

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枯れおじさんに女出現?2

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 俺は先程もらった豚の角煮を前に悩んでいた。
 田中さんは俺の好物だと知って、わざわざ差し入れてくれているんだ。
 だから、その好意を無にするような事は出来ない。

 食うか?
 さっき昼メシを食ったばかりなのに?
 誰かにあげるのは気が引けるし、かと言って持ち帰るのもなー。
 いくら好意でも、こうしょっちゅうだとマジ困るな。

 先日差し入れされたブリ大根も俺の好物だが、美咲が用意してくれていた夕飯と見事に被ってしまった。
 美咲のだって悪くなかったが、はっきり言うと年季が入ってる分田中さんの方に軍配が上がってしまい、何とも気まずい雰囲気になったのだった。

 被らないようにせめてラインだけでもしとくか。
 
 美咲は愛情に飢えていて、優しくしてくれる男なら俺のような中年のおっさんにでも、愛を求めて何でも差し出してしまう。
 俺は覚悟を決め、美咲には俺の持ち得る愛情全てを惜しみなく与える事にした。
 それが、たとえ俺から美咲を奪う結果を導いたとしても。

 同情から始まり、性愛に溺れ保身で結婚したが、今は確かに美咲を愛おしく想っている。

 ママゴトのような新婚生活に付き合うのは、案外心地良い。
 年甲斐もなく、毎日ウキウキ過ごしている。
 時々、このまま普通の夫婦として、やっていけるのではと考えることもある。
 せめてあと十年若ければ。
 考えても詮無いことだ。

 とりあえず、田中さんには事情を話した方がいいのかも知れない。
 明日にでも、お礼を兼ねて食事に誘うか。
 この前断ってるしな。
 あ、そこで気付く。
 この頻繁な差し入れは食事に誘えっていう催促か?
 まさか、な。

 

 美咲には今晩田中さんと会食することを伝え、家を出た。
 田中さんには、この機会に美咲の事を話そうと思っている。

 ところが、会食が始まり酒もそれほど飲んでいないのに急に眠気が襲ってきて、話をするどころか食事に集中しなければ眠ってしまいそうになる。

 そんな調子だったので、早々に食事会は終わらせたのだが、具合が悪そうな俺を放っておけないからと田中さんが家まで送るときかなかった。
 しかし、美咲がいる家にまさか田中さんを連れて行くわけにもいかない。
 このままタクシーに乗ったら眠ってしまいそうだったので、何とか電車に乗ってふらふらになりながらも最寄り駅まで辿り着いた。

 ベンチに座り、時間もそう遅くないから美咲に迎えに来てもらおうとスマホを出したところで、田中さんに声をかけられる。
 心配で後をつけてきたと言う。

 早く家に帰って休みたいのに、大丈夫だからと言っても帰ってくれない。
 もう家まで送ってもらうか。
 どうせ今日話すつもりだったんだ。

 バレて会社で言いふらされても、事実なんだし、それで信用を失ったとしてもしょうがないじゃないか。
 俺は美咲を愛してる! もうロリコンでもなんでもいい。

 田中さんに、じゃあ、すみませんと手を貸してもらって立ち上がった時だった。

「隼人さん! どうしたんですか?!」

 美咲が息を弾ませて、心配そうな顔で目の前に立っている。
 なんでここにいるんだ?
 俺、電話したっけ???
 美咲の出現に驚いたが、美咲の顔を見てホッとしてしまったのか、限界だったのか、直後俺は意識を手放した。




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