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高校生編
第64話 私は...私は!
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「監督、変わってなかったね」と、ベッドに入った真凜ちゃんがポツリと呟く。
「そうだね」
「お父さんからちらっと聞いたんだけど...監督、やめようと思ってたみたいだよ」
「...そうなの?」
「うん。多分、いろいろ悩んでたんだと思う」
「...そっか」
「...明日は何する?買い物でも行く?それともどこか出かけたり?」
「...真凜と二人で...イチャイチャしたい」と本音をこぼす。
「...私とイチャイチャしたいの?」
「...うん」
「そっか、そっか。碧くんも大分甘えん坊さんになってきたね」と、暗闇の中手探りで俺の頭を撫でる。
「...ごめん」
「なんで謝るの?別に悪いことじゃないよ?」
「なんか...情けないなって」
「碧くんはいつの間に男らしいキャラにジョブチェンジしたの?私はありのままの碧くんが好きなんだよ」
「...うん」
「よし!じゃあ明日は一日中ラブラブ日和にしよ?」
「...うん」
「えへへ。いっぱいいちゃいちゃしようね」と、いつも通りの笑顔で笑ってくれている...そんな気がした。
◇AM9:15 10月1日
朝から二人でイチャイチャしていると、音が鳴る。
この音は...コンシェルジュからの
「...お客さん?」と、起き上がろうとする碧くんを「私が出てくるよ!」といい制す。
あの碧くんが私と一緒にイチャイチャしたいと言ってくれたのに...!
邪魔されるわけにはいかない!
そのままそそくさとベッドから出る。
『お友達が3人ほど来ておりますが。本日そのような予定はなかったかと思いますが。いかがなさいますか?』
「...今日は用事があるからって断ってくれる?」
『分かりました』
そうしてベッドに戻ると「誰だった?」と聞かれる。
「えっと...荷物が届いたって!」
「そうなんだ」といった瞬間に碧くんの携帯が鳴る。
間違いない。清人くんだ。
そのまま碧くんの携帯をそっと奪い取る。
「え?」
「きょ、今日は私とイチャイチャDAYだから!携帯は禁止...」
「でも緊急の何かかもしれないし...」
「だ、大丈夫!全然緊急じゃないから!!」
「...そう」
そうこうしていると、今度は私の携帯電話が鳴る。
しかも、電話のようだ。
っく、こんな時に思いながら携帯の画面を見ると【お父さん】と表示されていたので、1秒で拒否ボタンを押した。
「電話来てなかった?」
「ふ、フリーダイヤルだから!出なくて大丈夫!」
「...そう」
こっそりと携帯の電源を落とす...。
これ邪魔者はもういない...。
そう思ったのに...。
◇
「あはは...電話が切れたときはびっくりしたよ」
「私はてっきり真凜がわざと切ったと思ったのだけれどね~」
「...お父さん...お母さん...ご、ご機嫌よう...」
「おはようございます」
あの後、すぐにお母さんとお父さんが家に押しかけてきたのだった。
...なんでこのタイミングなのよ!!
「...あはは...二人ともまだパジャマだね...お邪魔しちゃったかな?」
「もう10時よ。二人きりだからと言って少したるみすぎじゃないかしら~?」
「...それで?何しに来たの」
「えっと...二人の進路のこと...聞こうと思ってね」
「...俺...僕は...俳優の専門学校に行こうかと思っています」
「...っ」と、何か言いかけた言葉を飲み込むお母さん。
「うん。そっかそっか。夢を追うことはいいことだと思うよ」
「ありがとうございます」
「...私は...少し迷ってる」
「そっか。何と何で迷ってるの?」
「...東大か...碧くんと同じ学校に行くか」
「...そっか。どこで迷ってるの?」
「...私...今までやりたいこととかなくて...けど、この前の劇をやって...そういうのにすごく興味を持ったの。特に脚本とか監督とか...そういうのに...。けど、将来のこと考えたら東大のほうがいいのはわかってる...から。それに碧くんとも離れ離れになっちゃうし...家は同じかもだけど...」
「そうだね。じゃあ...お父さんから一つだけアドバイス。東大に行きなさい」
全員がお父さんを見つめた。
「真凜の中でいろいろ迷いはあると思う。けど、何をどう考えたって東大のほうがいい。映像系や映画系のサークルだって東大にはある。僕がなぜ森の丘高校に行くことを許可したかわかる?それは最終学歴は大卒になると思っていたから。正直、社会に出て大切なのは最終学歴と資格の有無。大きく分けてこの二つ。企業は否定するかもしれないけど、実際に学歴フィルターは存在する。新卒のサイトでもAランクの学生にはいい情報を企業から発信するのに対して、下のランクの学生には自力でやるしかないんだよ。そこには明確な差が存在する。そんな詭弁も言い訳も正論も学歴というものの前では意味をなさない。就職においてはね」
「...でも「でも...?」
「...私は...」
「悪いとは言ってないよ。夢を追うことは何も間違っていない。けど、夢の追い方は人それぞれだ。誰かの背中を追ってたどり着ける夢なんてたかが知れてる。夢をかなえたいなら自分の方法でかなえなさい」
いつになくはっきりとしゃべるお父さん。
本当に大切なことをいうときはこうやってはきはきとしゃべる。
いつも正しくて、間違ってなくて...だから...だからお父さんが嫌いだった。
「...僕も真凜ちゃんは東大に行くべきだと思います」と、碧くんが続けた。
「...」
「...私は真凜の選択なら...真凜自身が選んだ選択なら...どんな道でも応援するわ」と、お母さんがつぶやいた。
「...私は...私は!」
「そうだね」
「お父さんからちらっと聞いたんだけど...監督、やめようと思ってたみたいだよ」
「...そうなの?」
「うん。多分、いろいろ悩んでたんだと思う」
「...そっか」
「...明日は何する?買い物でも行く?それともどこか出かけたり?」
「...真凜と二人で...イチャイチャしたい」と本音をこぼす。
「...私とイチャイチャしたいの?」
「...うん」
「そっか、そっか。碧くんも大分甘えん坊さんになってきたね」と、暗闇の中手探りで俺の頭を撫でる。
「...ごめん」
「なんで謝るの?別に悪いことじゃないよ?」
「なんか...情けないなって」
「碧くんはいつの間に男らしいキャラにジョブチェンジしたの?私はありのままの碧くんが好きなんだよ」
「...うん」
「よし!じゃあ明日は一日中ラブラブ日和にしよ?」
「...うん」
「えへへ。いっぱいいちゃいちゃしようね」と、いつも通りの笑顔で笑ってくれている...そんな気がした。
◇AM9:15 10月1日
朝から二人でイチャイチャしていると、音が鳴る。
この音は...コンシェルジュからの
「...お客さん?」と、起き上がろうとする碧くんを「私が出てくるよ!」といい制す。
あの碧くんが私と一緒にイチャイチャしたいと言ってくれたのに...!
邪魔されるわけにはいかない!
そのままそそくさとベッドから出る。
『お友達が3人ほど来ておりますが。本日そのような予定はなかったかと思いますが。いかがなさいますか?』
「...今日は用事があるからって断ってくれる?」
『分かりました』
そうしてベッドに戻ると「誰だった?」と聞かれる。
「えっと...荷物が届いたって!」
「そうなんだ」といった瞬間に碧くんの携帯が鳴る。
間違いない。清人くんだ。
そのまま碧くんの携帯をそっと奪い取る。
「え?」
「きょ、今日は私とイチャイチャDAYだから!携帯は禁止...」
「でも緊急の何かかもしれないし...」
「だ、大丈夫!全然緊急じゃないから!!」
「...そう」
そうこうしていると、今度は私の携帯電話が鳴る。
しかも、電話のようだ。
っく、こんな時に思いながら携帯の画面を見ると【お父さん】と表示されていたので、1秒で拒否ボタンを押した。
「電話来てなかった?」
「ふ、フリーダイヤルだから!出なくて大丈夫!」
「...そう」
こっそりと携帯の電源を落とす...。
これ邪魔者はもういない...。
そう思ったのに...。
◇
「あはは...電話が切れたときはびっくりしたよ」
「私はてっきり真凜がわざと切ったと思ったのだけれどね~」
「...お父さん...お母さん...ご、ご機嫌よう...」
「おはようございます」
あの後、すぐにお母さんとお父さんが家に押しかけてきたのだった。
...なんでこのタイミングなのよ!!
「...あはは...二人ともまだパジャマだね...お邪魔しちゃったかな?」
「もう10時よ。二人きりだからと言って少したるみすぎじゃないかしら~?」
「...それで?何しに来たの」
「えっと...二人の進路のこと...聞こうと思ってね」
「...俺...僕は...俳優の専門学校に行こうかと思っています」
「...っ」と、何か言いかけた言葉を飲み込むお母さん。
「うん。そっかそっか。夢を追うことはいいことだと思うよ」
「ありがとうございます」
「...私は...少し迷ってる」
「そっか。何と何で迷ってるの?」
「...東大か...碧くんと同じ学校に行くか」
「...そっか。どこで迷ってるの?」
「...私...今までやりたいこととかなくて...けど、この前の劇をやって...そういうのにすごく興味を持ったの。特に脚本とか監督とか...そういうのに...。けど、将来のこと考えたら東大のほうがいいのはわかってる...から。それに碧くんとも離れ離れになっちゃうし...家は同じかもだけど...」
「そうだね。じゃあ...お父さんから一つだけアドバイス。東大に行きなさい」
全員がお父さんを見つめた。
「真凜の中でいろいろ迷いはあると思う。けど、何をどう考えたって東大のほうがいい。映像系や映画系のサークルだって東大にはある。僕がなぜ森の丘高校に行くことを許可したかわかる?それは最終学歴は大卒になると思っていたから。正直、社会に出て大切なのは最終学歴と資格の有無。大きく分けてこの二つ。企業は否定するかもしれないけど、実際に学歴フィルターは存在する。新卒のサイトでもAランクの学生にはいい情報を企業から発信するのに対して、下のランクの学生には自力でやるしかないんだよ。そこには明確な差が存在する。そんな詭弁も言い訳も正論も学歴というものの前では意味をなさない。就職においてはね」
「...でも「でも...?」
「...私は...」
「悪いとは言ってないよ。夢を追うことは何も間違っていない。けど、夢の追い方は人それぞれだ。誰かの背中を追ってたどり着ける夢なんてたかが知れてる。夢をかなえたいなら自分の方法でかなえなさい」
いつになくはっきりとしゃべるお父さん。
本当に大切なことをいうときはこうやってはきはきとしゃべる。
いつも正しくて、間違ってなくて...だから...だからお父さんが嫌いだった。
「...僕も真凜ちゃんは東大に行くべきだと思います」と、碧くんが続けた。
「...」
「...私は真凜の選択なら...真凜自身が選んだ選択なら...どんな道でも応援するわ」と、お母さんがつぶやいた。
「...私は...私は!」
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