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高校生編
第58話 開幕
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『彼の名前は大間来希。高校3年生。数年前までは豪邸に住んでいたのだが、父親が事件に巻き込まれ財産のほとんどを奪われたことで、現在は小さいアパートに妹と母の3人で暮らしていた。ちなみに奪われたというのは俺の見解であり、警察の見解とは異なっていた。警察は自殺として、お金についても父がどこかに隠していると言っていたが俺は父は間違いなく殺されたと思っていた』
「...んじゃ、バイト行ってくる」と、妹に伝えて俺は家を飛び出して街に飛び出す。
『それなりに大きな事件として扱われたのも数年前のことで、現在は警察でこの事件を調べてる人は居ない。俺は独自のルートで集めた情報から目撃者に改めて情報を伺っていた』
「...あの、すみません。今少し時間ありますか?」
「何ですか?急に」と、怪訝な表情をする奥さん。
「...【資産家不審死事件】について少し話を伺いたくて」
「...懐かしい事件ね。けど、あれって結局自殺ってことで決着ついたんじゃ...」
俺は無言で学生証を見せる。
「...大間来希...。もしかして、息子さん?」
「...はい、お願いします。もう数年前のことで覚えていないかもしれませんが、お話を伺えませんか?」
「...まぁ、いいけれど。全部警察には話してるわよ」
「お願いします」
そうして、近くのカフェで奥様と話を始める。
「...警察に話した内容について、本当に全て報道されていましたか?」
「覚えている限りは全部されていたと思うけど」
「では、あの日現場に小学生が居たって話は報道されましたか?」
「...小学生?」
「あの事件を目撃した複数の方が現場で小学生くらいの子供がいたと言っていました。しかし、その情報は報道されませんでした。あの時のこと...もう一度思い出していただけませんか?小学生らしき女の子がいたのではないですか?その話を警察にしませんでしたか?」
「...小学生...あぁ...居たわ。...居た。そうだ。ごめんなさい。今になって思い出したわ。私は警察に話してなかったと思う。事件に関係あるとも思えなかったし...。確か...結構小さい...女の子だった...気が...」
「その子はこんな格好ではなかったですか?」
そして、一枚の絵を見せる。
「...そう。そうだわ。あの日は晴れていたのにこんな感じの黄色いレインコートを着てて...」
「...やはりそうですか」
「...でも...その子の近くにもう1人...同じくらいの年代の子がいたような...」
「...それ、本当ですか!?」
「え?いや、本当にうろ覚えだけど...」
「いえ...貴重な話をありがとうございます!」
同じ証言をした人が3人目。
やっぱりあの現場には黄色いレインコートの少女ともう1人男の子がいたんだ。
当時小学生となれば今は俺と同い年くらいだろう。
しかし、それ以外の情報がない。
顔を見た人もいないし、当時の顔を思い出してもらったところで、特定することは不可能に近いだろう。
そんなある日のことだった。
いつも通りコンビニでアルバイトをしていると、1人の小さい女の子と手を繋いだ女子高生がレジにやって来る。
その小さい女の子は黄色いレインコートを身に纏っていた。
偶然?別に黄色いレインコートなんて珍しくもないよな...。
けど、外を見ると晴天が広がっていた。
こんな晴れた日に...黄色いレインコート?
「...お姉ちゃん...これ邪魔だよ」
「...ダメよ。お姉ちゃんと同じで日光に弱いんだから」
「でも...」
日光に弱い...?昼間からレインコート。お姉ちゃんの方は年齢は俺と同じくらい...か。
全てが繋がった気がして、思わずレジをする手が止まる。
「...店員さん?」と、声をかけられてハッとする。
「あっ...す、すみません」
「...大間」と、俺のネームプレートを見て呟く。
「...え?」
すると、彼女は慌てたように会計を済ませてさっさと言ってしまうのだった。
俺の知り合いだよな?
家に帰るとすぐに小学校と中学校の卒アルを見る。
しかし、クラス写真にやはり思い当たる女の子はいない。
だが、イベントごとに載っている写真を見ている時にある女の子のところで指が止まる。
確か4年生の途中で転校した女の子。
名前は確か...粟野桂里奈。
あのコンビニに来ていたということはこっちに戻ってきたのか?
そうして、俺は彼女の捜索に全力を注ぎ始めるのだった。
「...んじゃ、バイト行ってくる」と、妹に伝えて俺は家を飛び出して街に飛び出す。
『それなりに大きな事件として扱われたのも数年前のことで、現在は警察でこの事件を調べてる人は居ない。俺は独自のルートで集めた情報から目撃者に改めて情報を伺っていた』
「...あの、すみません。今少し時間ありますか?」
「何ですか?急に」と、怪訝な表情をする奥さん。
「...【資産家不審死事件】について少し話を伺いたくて」
「...懐かしい事件ね。けど、あれって結局自殺ってことで決着ついたんじゃ...」
俺は無言で学生証を見せる。
「...大間来希...。もしかして、息子さん?」
「...はい、お願いします。もう数年前のことで覚えていないかもしれませんが、お話を伺えませんか?」
「...まぁ、いいけれど。全部警察には話してるわよ」
「お願いします」
そうして、近くのカフェで奥様と話を始める。
「...警察に話した内容について、本当に全て報道されていましたか?」
「覚えている限りは全部されていたと思うけど」
「では、あの日現場に小学生が居たって話は報道されましたか?」
「...小学生?」
「あの事件を目撃した複数の方が現場で小学生くらいの子供がいたと言っていました。しかし、その情報は報道されませんでした。あの時のこと...もう一度思い出していただけませんか?小学生らしき女の子がいたのではないですか?その話を警察にしませんでしたか?」
「...小学生...あぁ...居たわ。...居た。そうだ。ごめんなさい。今になって思い出したわ。私は警察に話してなかったと思う。事件に関係あるとも思えなかったし...。確か...結構小さい...女の子だった...気が...」
「その子はこんな格好ではなかったですか?」
そして、一枚の絵を見せる。
「...そう。そうだわ。あの日は晴れていたのにこんな感じの黄色いレインコートを着てて...」
「...やはりそうですか」
「...でも...その子の近くにもう1人...同じくらいの年代の子がいたような...」
「...それ、本当ですか!?」
「え?いや、本当にうろ覚えだけど...」
「いえ...貴重な話をありがとうございます!」
同じ証言をした人が3人目。
やっぱりあの現場には黄色いレインコートの少女ともう1人男の子がいたんだ。
当時小学生となれば今は俺と同い年くらいだろう。
しかし、それ以外の情報がない。
顔を見た人もいないし、当時の顔を思い出してもらったところで、特定することは不可能に近いだろう。
そんなある日のことだった。
いつも通りコンビニでアルバイトをしていると、1人の小さい女の子と手を繋いだ女子高生がレジにやって来る。
その小さい女の子は黄色いレインコートを身に纏っていた。
偶然?別に黄色いレインコートなんて珍しくもないよな...。
けど、外を見ると晴天が広がっていた。
こんな晴れた日に...黄色いレインコート?
「...お姉ちゃん...これ邪魔だよ」
「...ダメよ。お姉ちゃんと同じで日光に弱いんだから」
「でも...」
日光に弱い...?昼間からレインコート。お姉ちゃんの方は年齢は俺と同じくらい...か。
全てが繋がった気がして、思わずレジをする手が止まる。
「...店員さん?」と、声をかけられてハッとする。
「あっ...す、すみません」
「...大間」と、俺のネームプレートを見て呟く。
「...え?」
すると、彼女は慌てたように会計を済ませてさっさと言ってしまうのだった。
俺の知り合いだよな?
家に帰るとすぐに小学校と中学校の卒アルを見る。
しかし、クラス写真にやはり思い当たる女の子はいない。
だが、イベントごとに載っている写真を見ている時にある女の子のところで指が止まる。
確か4年生の途中で転校した女の子。
名前は確か...粟野桂里奈。
あのコンビニに来ていたということはこっちに戻ってきたのか?
そうして、俺は彼女の捜索に全力を注ぎ始めるのだった。
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