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高校生編
第54話 来訪
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「...清人じゃねーか」
カラオケボックスの部屋に無断で入った俺に龍馬は言った。
「おう。みんな戻って来いよ。学園祭はみんなで楽しむものだろ?」
「...てか、誰にこの場所聞いたんだよ」と、そこにいる友人をにらみつける。
「そんなことどうでもいいだろ。さっさと戻って来いって」
「俺は戻らない」
「なんで?」
「気に入らないから。山口碧が。てか、お前はどうなんだよ。天使様のことを好きだったお前も一緒だろ。なのに、あんなさえない男に搔っ攫われて、何も思わないわけ?」
「...お前は碧のこと何も知らないだろ。あいつはすげーやつなんだよ」
「どこがだよ。全部普通の普通人間。普通すぎてすごいってか?」
「じゃあ、質問するけどこうやって楽しい学園祭をぶち壊そうとしているお前を好きになる人間なんていると思うか?」
「それはあいつと結婚したことがむかついての行動だろ。俺が天使様と付き合っていたらこんなことには...」
「付き合ってようが、付き合ってなかろうが、今のお前が答えだろ。納得できないこと、自己中心的な考えで行動しちゃうお前を真凜ちゃんが好きになるわけねーだろ。浅いんだよ、お前は」
「あぁ?清人、お前言葉には気をつけろよ」
「あ?殴んの?なら来いよ。結局、感情一つコントロールできない猿だもんな」
「てめぇ...」と、一触即発の雰囲気が流れる。
「ちょっ、二人ともやめなよ!」
「うるせぇ!引っ込んでろ」と、俺の顔面にきれいなストレートパンチが入る。
よけると思っていたのか殴った本人も少しびっくりした顔をしていた。
口が切れたのか血が滴りポトンと床に落ちる。
「...気は済んだか?」
「...済むわけねーだろ。...お前を殴ったところで...」
「だろうな。お前の考えてることの全てが理解できないわけじゃねーよ。けど、こういうのは違うだろ。こんなことをしても誰も幸せになんねーだろ。忘れたくても...納得したって言葉を吐いても...やっぱり...心のどこかでは...まだ...」と、自然と涙があふれる。
「清人...」
「前に進まないといけないんだよ。俺も...お前も」
「...あぁ」
それから俺もその輪に加わり声が枯れるまで失恋ソングを歌いまくるのだった。
◇汐崎家
「指スマ...2!!」と、俺が叫ぶ。
上がった指は1本。
「ふっふっふ...」
「っち...なかなかやるな」
「じゃあ、僕の番だね。指スマ3」
上がった指は3本。
「僕の1抜けだね」と、奏さんが笑う。
「...ゆびすま...0!!」
そうして、俺がお皿洗いをすることになった。
いつも通り真凜ちゃんと過ごしていると、奏さん家に遊びに来てこうして三人で楽しんでいた。
「いやいや...やはり勝者というのは気持ちの良いものだね、真凜」
「そうだねー、奏で~」と、二人ともにやにやしながら俺のお皿洗いを見つめる。
「...勝ったんだから二人とも座ってていいんだよ」
「敗者が勝者に命令?冗談はよしてくれよw」
「そうだそうだー!!」
この二人が集まると本当にろくなことがない...。
そうして、お皿洗いを終えて三人でテレビを見ていると、隣にいた真凜ちゃんが奏さんに見えないように恋人つなぎをしてくる。
思わず顔を見ると、「えへへへへ//」と言いながらシーと人差し指を口の前に置き、照れながら笑う。
「ん?どうしたの?」
「ん!?いや、何でもないよ!?」
「...ようやく二人の気持ちが重なったとはいえ、僕がいるのに体をも重ねようとするのはやめてくれよ?」
「そ、そんなことするか!//」と、叫ぶ俺と「してくれないの!?」と余計なことをいう真凜ちゃん。
いつも通りバタバタしながらそれから2時間ほどして奏さんは帰っていった。
二人きりになり、変わらずテレビを見ていると真凜ちゃんがテレビの電源を消す。
そして、時計のカチカチというかすかな音だけがリビングに流れる。
ソファに二人で座っていると、俺の肩に頭を預けながらまた恋人つなぎをする。
「さっき清人から連絡来てさ...。明日から柏崎くん達来てくれるって」
「...そっか。やっぱすごいね。清人君は」
「うん。俺の...あこがれだから」
「...さっきのどきどきしたね」
「う、うん」
「...ずっとこうしてたいね」
「...そう...だね」と、さっきより強く手を握る。
見つめあいながら唇を重ねると、「えい」と言って俺の体を押し倒す。
そのまま俺の体に覆いかぶさり、胸のあたりに顔を置く。
「...すごい心臓がバクバク言ってる」
「...そりゃ...ね」
「私ね...今すごく幸せなの。大好きな人とこうやって一緒に居られることが」
「俺も幸せだよ」
「うん」
「...真凜ちゃん」
「ん?」
「...キスしたい」
「...いいよ?」と、また唇を交わす。
「大好きだよ...。真凜」
「...私も...碧のこと大好き」
そうしていいムードのまま、ベッドに向かったのだが...。
カラオケボックスの部屋に無断で入った俺に龍馬は言った。
「おう。みんな戻って来いよ。学園祭はみんなで楽しむものだろ?」
「...てか、誰にこの場所聞いたんだよ」と、そこにいる友人をにらみつける。
「そんなことどうでもいいだろ。さっさと戻って来いって」
「俺は戻らない」
「なんで?」
「気に入らないから。山口碧が。てか、お前はどうなんだよ。天使様のことを好きだったお前も一緒だろ。なのに、あんなさえない男に搔っ攫われて、何も思わないわけ?」
「...お前は碧のこと何も知らないだろ。あいつはすげーやつなんだよ」
「どこがだよ。全部普通の普通人間。普通すぎてすごいってか?」
「じゃあ、質問するけどこうやって楽しい学園祭をぶち壊そうとしているお前を好きになる人間なんていると思うか?」
「それはあいつと結婚したことがむかついての行動だろ。俺が天使様と付き合っていたらこんなことには...」
「付き合ってようが、付き合ってなかろうが、今のお前が答えだろ。納得できないこと、自己中心的な考えで行動しちゃうお前を真凜ちゃんが好きになるわけねーだろ。浅いんだよ、お前は」
「あぁ?清人、お前言葉には気をつけろよ」
「あ?殴んの?なら来いよ。結局、感情一つコントロールできない猿だもんな」
「てめぇ...」と、一触即発の雰囲気が流れる。
「ちょっ、二人ともやめなよ!」
「うるせぇ!引っ込んでろ」と、俺の顔面にきれいなストレートパンチが入る。
よけると思っていたのか殴った本人も少しびっくりした顔をしていた。
口が切れたのか血が滴りポトンと床に落ちる。
「...気は済んだか?」
「...済むわけねーだろ。...お前を殴ったところで...」
「だろうな。お前の考えてることの全てが理解できないわけじゃねーよ。けど、こういうのは違うだろ。こんなことをしても誰も幸せになんねーだろ。忘れたくても...納得したって言葉を吐いても...やっぱり...心のどこかでは...まだ...」と、自然と涙があふれる。
「清人...」
「前に進まないといけないんだよ。俺も...お前も」
「...あぁ」
それから俺もその輪に加わり声が枯れるまで失恋ソングを歌いまくるのだった。
◇汐崎家
「指スマ...2!!」と、俺が叫ぶ。
上がった指は1本。
「ふっふっふ...」
「っち...なかなかやるな」
「じゃあ、僕の番だね。指スマ3」
上がった指は3本。
「僕の1抜けだね」と、奏さんが笑う。
「...ゆびすま...0!!」
そうして、俺がお皿洗いをすることになった。
いつも通り真凜ちゃんと過ごしていると、奏さん家に遊びに来てこうして三人で楽しんでいた。
「いやいや...やはり勝者というのは気持ちの良いものだね、真凜」
「そうだねー、奏で~」と、二人ともにやにやしながら俺のお皿洗いを見つめる。
「...勝ったんだから二人とも座ってていいんだよ」
「敗者が勝者に命令?冗談はよしてくれよw」
「そうだそうだー!!」
この二人が集まると本当にろくなことがない...。
そうして、お皿洗いを終えて三人でテレビを見ていると、隣にいた真凜ちゃんが奏さんに見えないように恋人つなぎをしてくる。
思わず顔を見ると、「えへへへへ//」と言いながらシーと人差し指を口の前に置き、照れながら笑う。
「ん?どうしたの?」
「ん!?いや、何でもないよ!?」
「...ようやく二人の気持ちが重なったとはいえ、僕がいるのに体をも重ねようとするのはやめてくれよ?」
「そ、そんなことするか!//」と、叫ぶ俺と「してくれないの!?」と余計なことをいう真凜ちゃん。
いつも通りバタバタしながらそれから2時間ほどして奏さんは帰っていった。
二人きりになり、変わらずテレビを見ていると真凜ちゃんがテレビの電源を消す。
そして、時計のカチカチというかすかな音だけがリビングに流れる。
ソファに二人で座っていると、俺の肩に頭を預けながらまた恋人つなぎをする。
「さっき清人から連絡来てさ...。明日から柏崎くん達来てくれるって」
「...そっか。やっぱすごいね。清人君は」
「うん。俺の...あこがれだから」
「...さっきのどきどきしたね」
「う、うん」
「...ずっとこうしてたいね」
「...そう...だね」と、さっきより強く手を握る。
見つめあいながら唇を重ねると、「えい」と言って俺の体を押し倒す。
そのまま俺の体に覆いかぶさり、胸のあたりに顔を置く。
「...すごい心臓がバクバク言ってる」
「...そりゃ...ね」
「私ね...今すごく幸せなの。大好きな人とこうやって一緒に居られることが」
「俺も幸せだよ」
「うん」
「...真凜ちゃん」
「ん?」
「...キスしたい」
「...いいよ?」と、また唇を交わす。
「大好きだよ...。真凜」
「...私も...碧のこと大好き」
そうしていいムードのまま、ベッドに向かったのだが...。
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