天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄

文字の大きさ
上 下
47 / 69
高校生編

第47話 修学旅行《5日目》

しおりを挟む
 朝、目を覚ますと携帯の電源を入れる。

 すふと、無数の着信履歴が残っていた。

「...やりすぎたかな」と、少し反省したがでもやっぱり許せない気持ちの方が勝っていた。

 そうして、胡桃《くるみ》と一緒に部屋を出て、朝食会場に行くと清人くんを見かける。

「おーっす、真凜様。...って、碧は?」

「え?知らないけど...」

「え?またそっちの部屋に行ってたんじゃないの?」

「...来てないよ?」

「いや、こっちにも居ないけど」

 それを言われてようやくことの重大さに気づく。

「...探してくる」

「ちょっ、まずは先生に報告しないと...」

「ごめん。報告は清人くんお願い」と、私はそのまま走って外に出た。

 その時ようやく過ちに気がついた。
私がしたこと...それは彼が家族から受けていた仕打ちと同じだ。

 無視され続けたあの日々と...。
それも好きな人にそんなことをされたんだ。
私はそんなことをしてしまったのだと。

 もう目には涙が溜まっていた。

 謝りたい。ごめんなさいと言いたい。もうこんなことしないって言いたい。抱きしめたい。嫌いにならないでって...。大好きだよって...。

 私は本当にバカだ。自分のことばっかりで...碧くん。会いたいよ。会いたいよ!大好きだよ!走りながら何度電話をかけても、繋がることはない。

 見慣れない場所でマップを使ってひたすら公園を探す。

 1つ目も2つ目の公園にも碧くんの姿はない。

 上がり続ける息を抑えて私は走り続ける。
無駄に体力があったこととか、無駄に足が早かったことに今更ながら感謝する。

 そうして、辿り着いた3つ目の公園のベンチで横になって寝ている碧くんが目に入る。

「...碧くん」



 私の声でゆっくり目を開ける碧くん。

「...真凜ちゃん...。ごめん」

「なんで...碧くんが謝るの...?悪いの私だよ...。碧くんがッ...どういうことをされてきたのか知ってたはずなのに...っッ!私はあの人たちと同じことしちゃったのッ!最低だよっ!私は...私はッ!!」

「...違うよ。同じなんかじゃない。だって、こうやって俺を探しにきてくれたじゃん。息を荒くして、泣いて...。すごく嬉しかった」と、疲れた笑顔を浮かべながらそんなことを言うのだった。

 私は碧くんを強く抱きしめた。

「もうこんなこと二度としない!だから...だから...」

「ね、真凜ちゃん」

「...?」

 すると、私の左手を持ち上げて左手の薬指に指輪をつける。

「...俺と...結婚してください」

 1番聞きたかった言葉。
ずっと...言って欲しかった言葉。
その瞬間、さっきとは違う涙が溢れる。

「...はい!」と、私は精一杯可愛らしく笑った。

 こうして私は初めてプロポーズをされたのだった。

 ◇

 2人とも先生にめちゃくちゃ怒られた。

「...お前らなぁ...ったく...」

「いいじゃないですか!結果よければ全てよしです!」

「...はぁ。頼むぞ、汐崎」

「「はい」」と、2人で返事をした。

「おいおいおいおい、大丈夫だったか?」

「悪い、心配かけた」

「お前、普段は大人しいのに時々すげー大胆な行動に出るからなー。ったくよー。でも、いい顔してんじゃん」

 その後すぐに飛行機に乗って東京に戻った。

 クラスメイト9割は熟睡する中、俺と真凜ちゃんだけは起きていた。

 すげー眠いはずなのに眠れない。
ドキドキが...止まらない。

 すると、俺の手を優しく握りながら真凜ちゃんが「えへへへ」と言ってくる。

 なんだこの天使!マジ天使!改めて見ると本当にかわいいな...。

「...寝てもいいんだよ?」

「碧くんこそ寝ていいんだよ?疲れてるでしょ?」

「いや...なんか目が冴えちゃって」

「そう...なんだ...」

「「...」」

 嫌じゃない沈黙。
お互いがお互いを意識しているのがすごくわかる。

「...これからもよろしくね?」



「...うん」

 すると、耳元に近づいて来て「ね、キスしよ?」と囁く。

「いや...そ、それは流石に...」

「みんな寝てるから大丈夫だよ」

「でも...」

 そんな言葉を無視して真凜ちゃんは俺の耳を甘噛みする。

「ちょっ//」

「...えへへへ//」

「...お前らな」

 そう言われて振り返るとそこには担任の国岡先生が仁王立ちで立っていたのだった。

「「えへへへへ」」と、笑う俺たちは先生からの嫉妬パンチを喰らうのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた

久野真一
青春
 最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、  幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。  堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。  猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。  百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。    そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。  男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。  とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。  そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から 「修二は私と恋人になりたい?」  なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。  百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。 「なれたらいいと思ってる」    少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。  食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。  恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。  そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。  夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと  新婚生活も満喫中。  これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、  新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...