上 下
3 / 7

3.おはようございます

しおりを挟む

 グレートホールに行くと「おはよう、リルスさん」と、当たり前のように挨拶してくるレスト様。

「...ごきげんよう、レスト様」

「今日も可愛いね」と、ボサボサ頭の私を見ながらそんなことを言う。

 普通なら悪口だと思うところではあるが、この人の場合は本気で言ってそうなんだよなぁ...。

 あー早く帰ってくんないかなー。

 そうして、話をしながら一緒に朝食を食べる。いつもなら楽しい朝食もこの人がいると無駄に緊張感が走る。

 まじで結婚しない限り帰る気ないんかなー。むしろ一発結婚してから即離婚の方が有りか?なんて...公爵相手にそんなことしたら打首待ったなしだな。

 これはもう男性が幻滅することを一つ一つ試すしかないか...。

 男性が幻滅すること...その1。
食べ方が汚い女...または大食い女。

 ということで、お口の周りを汚しながら食べるものの当然動じない。
まぁ、チョコを口につけても何も言わないようなやつはこの程度では動じない...か。

 なら、大食いならどうだ!と、クロワッサンをどんどん口に含む...が、別に大食いではないのですぐに限界を迎えて吐きそうになる...。

 やばい...三つ子くらい生まれそう!
そのままトイレに向かう私であった。

 くそっ!こうなったら作戦その2に移行するわ...。

 男性が嫌いな女子と言えば...やはりぶりっ子である。
ふふふ...25を超えたぶりっこはかなりきついでしょう...。

 やや濃い目の化粧に変えてっと...。
どうだ!これで流石に幻滅するでしょ!

 そうして、ステップ踏みながら戻り、席に座ると同時にウィンクをしまくる。

「化粧変えたんだね。可愛いよ」とだけ言うのだった。

 て、手強すぎる...。

「さて、僕はお風呂にでも浸かるとしよう。どうだい?一緒に入るかい?」

「...遠慮いたします」

「...色々と試行錯誤しているようだけど、そんなことで僕の気持ちは変わらないよ」と、そんなことをカッコつけて言うのであった。

 くそ。イケメンの無駄遣いとはこの事だ。

 なんでこんなイケメンに目をつけられたんだー!

 それからもいろいろなことをして幻滅させようとするが、ことごとく失敗、、、あの男はいつだってにこやかに笑うだけである...。

 そんな日々が1週間も続き、私の心が折れかけている時であった。

 何やら緊急の招集がかかったらしくようやく公爵様が帰られることになった。

「また来るよ」と、カッコよく帰って行ったが、内心はもう来ないで下さいと祈るだけであった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

異世界転生したけどチートもないし、マイペースに生きていこうと思います。

児童書・童話 / 連載中 24h.ポイント:13,804pt お気に入り:1,188

願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:12,759pt お気に入り:7,501

今日で都合の良い嫁は辞めます!後は家族で仲良くしてください!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:163,701pt お気に入り:5,634

 だから奥方様は巣から出ない 〜出なくて良い〜

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,349pt お気に入り:2,356

継母の心得

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:36,588pt お気に入り:24,759

雨の日に会えるあなたに恋をした。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:753pt お気に入り:17

悲恋の恋人達は三年後に婚姻を結ぶ~人生の歯車が狂う時~

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,677pt お気に入り:947

処理中です...