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第17話 帰還の時
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目を覚ますと...体の上にはナーベが乗っていた...。
「あの...なーにをしてはるんでしょうか?」
「なんで京風?」
「...いや...降りてくれよ。普通に。ちょっと重...ごめんなさい。嘘です。なので、そんなににらむのやめてください。怖いです。軽いです」
「...そう。軽いなら乗っていても問題ないわよね?」
「...それで何の用だよ...」
「あら、第一妃のその口の利き方はないんじゃない?」
「...いや...別に第一、第二とかで口の利き方は変えないだろ」
「私ね...結構裁縫が得意なのよ?」
「その遠回しにお前の口を縫ってやろうかみたいな返しやめてくれる?もしかして京風に引っ張られてる?」
...てか、この世界に京風なんて文化あったか?
「まぁ、最近アインに付きっきりだからたまには構ってもらおうと思ってね」
「...そんなキャラだったか?」
「そうね。キャラチェンでもしようかしら。けど、おとなしい系とツンデレ系が埋まっている以上私はクール系にしないとキャラ御三家に穴を開けてしまうことになるから...仕方ないわね。このキャラを継続することにするわ」
「...そっすか。朝から元気だな...。てか、そんなに構ってほしいなら演習場に来ればいいだろ?」
「あそこじゃ、二人きりにはなれないじゃない」
「なれないけど?」
「それじゃあ意味ないわ。私はあなたと二人で話したいもの」
「...そろそろ本題を言え」
「...あら、嫌ね。見抜かれてたのね」と、仕方なさそうにベッドから降りて椅子に座る。
「何か情報でも掴んだか?」
「まぁ、そんなところね。ボヘミア国の戦力についてあなたがどの程度把握しているのかを聞いておこうと思って」
「最大戦力くらいなら...まぁ。トップ3くらいは知ってる」
「...はぁ。戦力は正しく認識しておくことね。あなたの知ってる通り、トップ3である三将官《さんしょうかん》の下に、十二月《じゅうにつき》っていうギルドの中で選ばれた最強の12人がいるのよ」
「へぇ、知らんかった」
「...よくそれで単独で乗り込もうとしたわね。というか執事さんは連れて行かないの?」
「ここの警備もあるからな。連れて行きたいのは山々だが」
「本当に勝てるの?」
「まぁ、単独って言ってもセバちゃんから羊は何匹か借りて行くし、なんとかなんだろ」
「ずいぶんポジティブ...いや、楽観的に捉えているわね。大国ではないにしろ、一国相手にその余裕はどこからくるのかしら」
「俺、最強だから」
「...SSSのダンジョンで手負いになっているのに?」
「...SSSのダンジョンの単独攻略自体5年ぶりだったぞ?その5年前っていうのも俺だし、その前は100年以上前だからな。ボヘミア国は未だにSSSダンジョン攻略したことすらないし、まぁ、総戦力で俺とどっこいって感じだが、羊たちがいれば圧勝できると思うぜ」
「信じていいの?」
「あぁ、神に誓うぜ」
「そう。では、誓いのキスをしてくれる?」
「...何だよ、それ」
「知らないの?主人が戦いに行く前に手の甲にキスをするのよ」
「...そういうのするタイプなのか?ナーベは?」
「労いはするわよ。あなたに感謝もしているし、心配もしている。愛しては...いないけれど」
「改めて言わなくてもいいんだが?」
「第一妃としてこれくらいはやるべきだと思ってね。早く手を出しなさい」
「...おう」と、右手を差し出す。
すると、その手をゆっくりと持ち上げて、「あなたに幸運が訪れますように」と、呟きキスをした。
「...おう。サンキュ」
「あらあら、照れちゃってかわいいわね」
「...必ず戻ってくる」
◇
そうして、数日後いよいよ行動に移すのだった。
マッド以外のボヘミア国の捕虜を約束通り解放することにしたのだった。
「...俺らを本当に無傷で帰すつもりか?」と、カグラッチという男が怪訝そうに私を見つめる。
「あぁ、別に俺の情報も言いたければ好きにいうといい」
「...ラン・ルーズベルト...あんた一体何を考えてる」
「別に何も?さぁて、門までお見送りしますよ。もう2度と俺の顔を見ないことを心より祈っています」と、私は続けた。
◇
あの城を出て少ししてからメンバーに声をかける。
「...マッドだけあの城に残されたのか。お前らはそれでよかったのか?」と、他のメンバーに声をかける。
「...マッドさん自身が納得したこととですし、俺たちにとやかくいう資格はないっす」
「右に同じですね」「オイラは納得はしてないですけど...仕方ないっす」
「...本当...意味のわからねー時間だった。結局、少し牢屋にぶち込まれただけでほぼ無傷で帰還できるなんてな」
「しかし、あの【X】がラン・ルーズベルトなんてな。正直、奴が攻めてきたとしたらどうなると思う?」
「壊滅確定だろ。正直、ギルドの連中が全員でかかっても5秒持つかどうか...。三将官と十二月でどれほど対抗できるかだが...希望は薄めだな」
「...そうか。それはいい情報を聞けた」
「ん?」
「あの...なーにをしてはるんでしょうか?」
「なんで京風?」
「...いや...降りてくれよ。普通に。ちょっと重...ごめんなさい。嘘です。なので、そんなににらむのやめてください。怖いです。軽いです」
「...そう。軽いなら乗っていても問題ないわよね?」
「...それで何の用だよ...」
「あら、第一妃のその口の利き方はないんじゃない?」
「...いや...別に第一、第二とかで口の利き方は変えないだろ」
「私ね...結構裁縫が得意なのよ?」
「その遠回しにお前の口を縫ってやろうかみたいな返しやめてくれる?もしかして京風に引っ張られてる?」
...てか、この世界に京風なんて文化あったか?
「まぁ、最近アインに付きっきりだからたまには構ってもらおうと思ってね」
「...そんなキャラだったか?」
「そうね。キャラチェンでもしようかしら。けど、おとなしい系とツンデレ系が埋まっている以上私はクール系にしないとキャラ御三家に穴を開けてしまうことになるから...仕方ないわね。このキャラを継続することにするわ」
「...そっすか。朝から元気だな...。てか、そんなに構ってほしいなら演習場に来ればいいだろ?」
「あそこじゃ、二人きりにはなれないじゃない」
「なれないけど?」
「それじゃあ意味ないわ。私はあなたと二人で話したいもの」
「...そろそろ本題を言え」
「...あら、嫌ね。見抜かれてたのね」と、仕方なさそうにベッドから降りて椅子に座る。
「何か情報でも掴んだか?」
「まぁ、そんなところね。ボヘミア国の戦力についてあなたがどの程度把握しているのかを聞いておこうと思って」
「最大戦力くらいなら...まぁ。トップ3くらいは知ってる」
「...はぁ。戦力は正しく認識しておくことね。あなたの知ってる通り、トップ3である三将官《さんしょうかん》の下に、十二月《じゅうにつき》っていうギルドの中で選ばれた最強の12人がいるのよ」
「へぇ、知らんかった」
「...よくそれで単独で乗り込もうとしたわね。というか執事さんは連れて行かないの?」
「ここの警備もあるからな。連れて行きたいのは山々だが」
「本当に勝てるの?」
「まぁ、単独って言ってもセバちゃんから羊は何匹か借りて行くし、なんとかなんだろ」
「ずいぶんポジティブ...いや、楽観的に捉えているわね。大国ではないにしろ、一国相手にその余裕はどこからくるのかしら」
「俺、最強だから」
「...SSSのダンジョンで手負いになっているのに?」
「...SSSのダンジョンの単独攻略自体5年ぶりだったぞ?その5年前っていうのも俺だし、その前は100年以上前だからな。ボヘミア国は未だにSSSダンジョン攻略したことすらないし、まぁ、総戦力で俺とどっこいって感じだが、羊たちがいれば圧勝できると思うぜ」
「信じていいの?」
「あぁ、神に誓うぜ」
「そう。では、誓いのキスをしてくれる?」
「...何だよ、それ」
「知らないの?主人が戦いに行く前に手の甲にキスをするのよ」
「...そういうのするタイプなのか?ナーベは?」
「労いはするわよ。あなたに感謝もしているし、心配もしている。愛しては...いないけれど」
「改めて言わなくてもいいんだが?」
「第一妃としてこれくらいはやるべきだと思ってね。早く手を出しなさい」
「...おう」と、右手を差し出す。
すると、その手をゆっくりと持ち上げて、「あなたに幸運が訪れますように」と、呟きキスをした。
「...おう。サンキュ」
「あらあら、照れちゃってかわいいわね」
「...必ず戻ってくる」
◇
そうして、数日後いよいよ行動に移すのだった。
マッド以外のボヘミア国の捕虜を約束通り解放することにしたのだった。
「...俺らを本当に無傷で帰すつもりか?」と、カグラッチという男が怪訝そうに私を見つめる。
「あぁ、別に俺の情報も言いたければ好きにいうといい」
「...ラン・ルーズベルト...あんた一体何を考えてる」
「別に何も?さぁて、門までお見送りしますよ。もう2度と俺の顔を見ないことを心より祈っています」と、私は続けた。
◇
あの城を出て少ししてからメンバーに声をかける。
「...マッドだけあの城に残されたのか。お前らはそれでよかったのか?」と、他のメンバーに声をかける。
「...マッドさん自身が納得したこととですし、俺たちにとやかくいう資格はないっす」
「右に同じですね」「オイラは納得はしてないですけど...仕方ないっす」
「...本当...意味のわからねー時間だった。結局、少し牢屋にぶち込まれただけでほぼ無傷で帰還できるなんてな」
「しかし、あの【X】がラン・ルーズベルトなんてな。正直、奴が攻めてきたとしたらどうなると思う?」
「壊滅確定だろ。正直、ギルドの連中が全員でかかっても5秒持つかどうか...。三将官と十二月でどれほど対抗できるかだが...希望は薄めだな」
「...そうか。それはいい情報を聞けた」
「ん?」
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