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第十六話
しおりを挟むライカンスロープになったプリシラさんは気を失って今は足元で寝転んでる。「ヤった」と言う感情よりも「やったぁ~」と言います感情の方が大きい。
僕はプリシラさんを放置して…… ライカンスロープになったプリシラさんは大きくて重くてとても運べないので、放置プレイで一人キャンプ地に戻った。
「「えっ!」」
驚け! どうせ喰われたと思ってたんだろう。残念でした。これからお前達を喰ってやるからな。次はどいつだ?! 前にでろ! もちろん心の声で口には出したりはしない。自分、小心者なので。
クリスティンさんがスッと立ち上がった。立ち上がる姿でさえ美しい。先に歩いて森の方へ。歩く姿も美しい。クリスティンさんはそんな女性だ。
月明かりの中、クリスティンさんと手をつないで歩く。クリスティンさん手は細く白くて、とても剣を振るうような手ではない。今は泥や埃にまみれているが、貴族や王室が似合う女性だ。そんな人がここにいる理由……
彼女は不幸体質だと言う。不幸にも心臓発作が起きる。意識しても、意識しなくても起こる心臓発作は人を殺す。
意識して起こる心臓発作。相手を殺す為に起こす心臓発作。これはまだいい。
意識しなくても起こる心臓発作。これはクリスティンさんの感情に左右される。つまり相手に好意があった場合も発作を起こさせる。
淋しい能力。好き相手と愛を交わす事も出来ない能力。クリスティンさんは誰とも交わろうとせず能力の発動が無い白百合団に身を置いている。
クリスティンさんに引かれていた手を引き戻す。彼女がこちらを振り向いた瞬間……
「ガハァッ!」
来たか! 不幸にも心臓発作が。こっちにも対抗策はあるんだよ、クリスティンさん。一人にはしないよ。
神速、自己流心臓マッサージ。
神速は体が速くなるチート。それなら自分の中の心臓の鼓動を自力で加速させる。クリスティンさんに捕まれた心臓を無理矢理。
「……大丈夫ですか?」
クリスティンさん、声さえ美しい。久しぶりに聞いた様な気がする。
「だ、大丈夫です。特異体質ですから」
大丈夫だ。発作は抑えられてる。速さのチートは有効だ。僕は何事も無かった様に振る舞いクリスティンさんの唇を奪って神速の速度を上げた。
クリスティンさんもそれに答え、舌を絡ませて来るが、心臓マッサージの速さがまた一段と上がる。クリスティンさんの感情の強さによって高まる「不幸にも心臓発作」の力。
キスだけで、ここまで神速を使うなんて…… チェーンガンは無理だ。両方を同時に使えるほど器用じゃない。
そうは言っても力を見せ付けなければ、入団どころか、この場で殺される。プリシラさんもキツイがクリスティンさんもキツイよ。
何とか服を脱がせ、持って来たブランケットに寝かせて見たが、月明かりで見るクリスティンさんの白い肌は輝いているようで、女神だって敵わないだろう。
「綺麗です」
これ以上は無理だ! 心臓マッサージも神速を使って全力疾走中。部活での無理な走り込みを思い出す。クリスティンさんに手も出していないのに脂汗が出る。
ここまで来て諦められるものか! 目の前に裸のスーパーモデルがいて「僕ちゃん、心臓が痛いの」なんて言える男は男じゃねえ。口から苦しみの声が漏れそうなのを必死に我慢した。
僕はクリスティンさんの首筋から舐め始めた。ペロリと一舐め、心臓が破裂しそうだ。ペロペロと二舐め、ギブアップしてもいいですか?
クリスティンさんの身体がピンク色に赤らむ。ここで引いたら女の子に恥をかかすもの。絶対に引けない戦いがここにほある。僕は首筋から胸へ、胸から秘部まで一心不乱に舐め尽くす。
だが、少し分かった。この不幸にも心臓麻痺はクリスティンさんの呼吸に呼応している事を…… だから何だって言うんだ! 痛てぇものは痛いんだよ。神速のマッサージで何とか動かしているくらいで痛みは続いているんだ。
ヤる! クリスティンさんは足を開いて待っていてくれてるんだ。ここでペティナイフを突き立てず、何をしろと言うのか! ヤる! ヤる! やってヤる! 僕は鋼鉄のペティナイフをクリスティンさんに突き立てた!
「ぐはっ!」
「あぁぁん」
内から漏れ出す苦渋の声と艶やかな声が絡み合い、僕達は一つになった。 ……で、これからどうする!? やる事は分かってるんだ。このまま腰をズンズンと動かせばいい。
入れただけで、あの心臓発作の痛み。何度も耐えられそうもない。長期戦になれば勝機が無い所か命さえ無い。やはり短期決戦しかないのか。十秒、五秒だって持ちこたえる自信は無い。無理して三秒、それだって何発放てるか……
神速! チェーンガン!
腰の動きに合わせて跳ね上がる脳内カウンター。悶え跳ね上がるクリスティンさんの身体。激しく高鳴る心臓。
三秒で九十七発分の腰の動きをした僕のチェーンガンは心臓の鼓動が止まるのと同じくして撃ちきった。せめて最後にと愛の結晶を中に注いだ。
止まった心臓を動かさなければ。動け! 動け!
と、神速で胸を連打。ドクンッと鼓動を確認して僕のペティナイフはズルリと抜け落ちた。
クリスティンさんはどうなった!? 背中を反らせ動こうとしない。ヤバい、ヤり過ぎたか!? そう思って顔を除き込むと、何かを喋りそうに口が動いていた。何か伝えたい事が有るのかと耳を近付けると……
「ああぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
それは正に絶叫。近付けた左耳から脳を貫通して右耳へ。そしてその声は星空に消えていった。僕は驚き尻餅を着いた。いや、脳を揺らされダウンしたの方が近い。クリスティンさんは絶叫の後、身体を激しく痙攣され死んだ。
死んでない。殺したかと思った。あんなに身体が折れ曲がるし、夜空に届くほどの声を上げ、身体を震わせたのを間近で見たら誰だって死んだかと思う。
僕はクリスティンさんの呼吸を確認して、ブランケットに包み静かにキャンプ地まで運んだ。運ぶ時にクリスティンさんは静に微笑んでいるようだった。
「クリスティンさんの発作は……」
「問題ありません。とても素晴らしい女性でした」
「次はソフィアである」
「わ、私は今回は何もしてませんから最後で……」
「それなら僕がするッス。二人の仇は取るッス。さあ、行くッスよ」
殺してないし、死んでないし、仇じゃないし。ただアラナと正面からヤるのは疲れそうだ。今の僕は心身共に疲労が貯まっている。
左手を制する者は世界を制する。これはボクシングの言葉らしいが、「前戯を制する者は夜の営みを制する」これは何処かのスケベなやつのセリフだ。僕は営みを制するべく、アラナには実験台になってもらおう。
クリスティンさんの時には出来なかった神速のマッサージ。やったのは心臓マッサージで神速を使った全身ソフトタッチな前戯とも言える神速のマッサージ。全身をくまなく揉んでアラナがどうなるか試す。
神速をもらって剣を振り回した時、相手のゴブリンは一瞬で肉片に変わった。これを応用すれば喜んでもらえるし、剣の修行にもなる。
森の中に入ってすぐ、アラナはキスをせがんできた。僕はそれに応じてキスをかわす。剣を振るうより優しく限りなく愛を込めて。
神速! 千手観音!
他から見たら手が千の数にでも見えるだろう僕の神速のソフトタッチ。顔から首筋、手や足や、リンパ腺に毛並みに合わせて繰り出す神速の千手観音。一分も持たないアラナは崩れ落ち「ニャハハ」と白目を向いて笑っていた。
使えるぞ、千手観音! 僕は夜の営みのを制する事が出来る。ただ、この達成感と虚しさはなんだろう。何もしないうちに終わった感が、否めない。
まあ、ペティナイフの活躍は今度まで取っておこう。いつかアラナにもチェーンガンを繰り出す時がくるだろう。それまでは、ゆっくりお休みアラナ。
「次は私でいいですか~」
オリエッタ。色々と薬を盛られ盛られ、今回だってヤバい薬を入れた恨みは忘れないよ。だから仕返しをちょっとだけ……
「ミカエルさんは凄いんですね~。みんな失神中ですね~」
「オリエッタさんはどうします? 失神してみます?」
「うっ!」
言い終わると同時に唇を奪う。舌を転がしヤバい薬を一つ飲ませた。
「い、今、何を飲ませたんですか~」
「オリエッタさんが僕に入れようとした催淫剤ですよ。凄い薬みたいですね。さすが錬金術師です」
「効かなかったはずじゃ……」
「効かなかったのではないです。飲まなかったんです。このために……」
もちろん薬なんて無い。食事に出たマメを一つ残しておいただけ。飲まされた薬は分からないように吐いたおいた。三秒超えたので拾ってないけど、知らないのはオリエッタだけ。
抱き締めて押さえ付ける、動けないように逃がさないように。
「薬はどのくらいで効くんですか? プリシラさんの言葉から長くても三十分ですかね。効き目はどのくらいですか? かなり長いと思いますよ。全員分ですからね。それを一人で背負うのはどうでしょう。オリエッタさんは背負いきれますか?」
「そ、それは……」
「体が熱くなってきませんか? 薬が効き始めたんでしょう。これからどうします? 戻りますか? 戻れますか? この状態で……」
体が熱くなるのは当然。だって抱き締めてるんだもん。後は薬を飲んだという事実を上乗せさせて出来上がり。雑誌で読んだ事だけど、こっちとは文明レベルが違う所を身をもって知れ。
「そ、そんな~」
オリエッタの黒いゴスロリ服を剥ぎ取り…… 剥ぎ取るのはもったいないから、すかさず千手観音を喰らわせる。アラナと同様に気を失いかけるが、そのまま寝かせるのは勿体ない。
オリエッタは前世では普通だった。危ない薬や人体実験をされる以外は普通にベッドでラブラブしていた。今なら催淫剤の暗示がかかってるから普通に出来るはずだった。
「もっと、ギュッて抱き締めてください~」
千手観音の快楽から解き放たれたオリエッタはおねだりをしてくる。僕は少し強く抱き締めて首筋を舐めた。
「もっと、もっとです~。強く抱き締めて欲しいです~」
淋しがり屋か? 今度は少しばかり力を入れて抱き締めるもオリエッタは「もっと、もっと」と言うだけで、さすがに温厚なミカエル君も本気で抱き締めた。
「やっぱり、これが無いとダメです~」
オリエッタが呪文を唱えると浮いた空間に魔方陣が現れ、見た事は無いけど、聞いた事なら有る、特殊な趣味の方が使う様な、僕には拷問器具にしか見えない物が落ちてきた。
エスさんとエムさん。僕には理解の出来ない世界が広がる。ムチやロウソクは分かる、見た事が有るから。だけど、この水車みたいなのは何だ!? 農業でもするのか?
「最初だからロープでグルグル巻きにして下さい~」
知らなかった、オリエッタにこんな趣味があったなんて。前世ではこんな事をしてない。エッチは普通だった、普通だったよね。ロウソクを垂らしたりなんかしてないよね。
「こ、これで縛ればいいのかな?」
「はい~。ギュッて縛って下さい~」
縛れって言われたって…… 手首を縛るだけじゃないよね。腕から身体を縛ればいいのか? ビデオで見るような特殊な縛り方なんてしらない。僕は取り敢えず手首を縛った。
「この後はどうするんですか~」
どうもしねぇよ。後なんか無いんだよ。これでお仕舞いにしようよ。僕にはこんな趣味なんて無いんだよ。もっと素敵にラブラブしようよ。
「え、えっ~と……」
「これじゃあ、取れちゃうです~」
ブチッと簡単に荒縄を引き千切るオリエッタ。忘れてた訳じゃないけど、力では団で最強だったね。今度は千切れ無いように身体を何重にも巻いた。
「これは、これでいいです~。でも、もうちょっと違うです~」
オリエッタが力を入れて千切ろうとするのを千手観音で止め、無理矢理ショーツを脱がせてペティナイフをあてがった。
一気に突き刺すペティナイフに驚いたオリエッタだったが、チェーンガンの前には、その怪力を使うことも無く気絶していった。
可哀想な事をしてしまった。オリエッタの知らなかった趣味に恐怖してしまった僕は……
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