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スマホの好きな王さま ー王さまの晩餐会ー
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お城の王さまは、毎日スマホに夢中です。
大臣を呼び出すときも、夜眠るときもスマホを手放しません。
王さまからの命令は全てスマホからに変えてしまい、王室から出ることなく指示することになりました。
ある日、隣の国の王さまに会いに行くことになりましたが、王さまは気が乗りません。
そこで王さまは、大臣に代わりに行かせて、お城の中でスマホをやっていようと考えました。
すぐに大臣をスマホで呼びつけて、隣の国へ向かわせました。
王さまは「これでゆっくりとスマホができる」と言いながら、一人で部屋にこもってスマホを始めてしまいました。
その頃、隣の国では盛大な晩餐会が始まり、大臣は銀の皿に盛り付けられた美味しい料理に舌鼓を打っています。
大臣は王さまに言われた通り、料理を1つずつ写真に撮ってスマホで王さまに送りました。
これをみた王さまは羨ましくて我慢できなくなり、コックに同じものを作るように命令しました。
コックたちはこんなに豪華な食材は見たことがなく、どうやって作ったら良いのか困り果てていました。
王さまは夕飯が待ち遠しくて仕方がありません。待っている間にコックたちにスマホで連絡しながら状況を伺っています。
しばらく待っていると、何とも言えぬ良い匂いが漂ってきて、写真で見たような美味しそうな料理が部屋の中を満たしました。
「おっー、これは見事じゃ」
王さまは大喜びで平らげ、コックたちにスマホで伝えました。
コックたちは、ドキドキしていましたが王さまが満足したようで胸を撫で下ろしました。
どうやらスマホで注文して配達された料理で上手くごまかせたようです。
それからというもの、王さまはくる日も来る日も、配達された料理を美味しそうに食べていました。
王さまはコックたちの料理をスマホで自慢したくなり、隣の国、その隣の国...へご自慢の料理のことを広めて行きました。
そして、噂を聞いた周囲の国々の王さまたちをお城に招いて、晩餐会をすることになりました。
──
晩餐会当日、各国の王さまたちがテーブルを囲み、そこにキラキラとした銀の皿が並べられています。
しかし、料理はいつまで待っても出てきません。
なんと、今日は配達が休みだったようでコックたちは大慌てです。それを知った王さまはプンプンになり、真っ赤な顔でコックたちに「すぐに何とかしなさい」と怒って言いました。
コックたちは力を合わせ、急いで今ある食材を使って、精一杯の料理を作って行きました。
キラキラの銀の皿には寂しい彩りの少しばかりの料理が並べられて行きました。それを見た王さまは、周りの王さまたちから何か言われないかと不安でなりませんでした。
「...デリシャス、こんなに美味しい料理は初めてだ」
口を揃えて各国の王さまたちから、丹精こめて作った料理に称賛の声が上がりました。是非王さまとコックたちにお礼を言いたいということで、コックたち一人ひとりにも感謝を伝えていきました。王さまもコックたちも大喜びの晩餐会となりました。
──あとがき
王さまは、スマホだけから物事を見ていたため、コックたちの頑張りや料理の大変さを見失っていました。一方でコックたちも、王さまが知らないことをいいことに、料理の手を抜いてしまいました。スマホだけでの言葉のキャッチボールが、双方のコミュニケーションロスを生み信頼関係を損ねてしまうという教訓になったようです。
大臣を呼び出すときも、夜眠るときもスマホを手放しません。
王さまからの命令は全てスマホからに変えてしまい、王室から出ることなく指示することになりました。
ある日、隣の国の王さまに会いに行くことになりましたが、王さまは気が乗りません。
そこで王さまは、大臣に代わりに行かせて、お城の中でスマホをやっていようと考えました。
すぐに大臣をスマホで呼びつけて、隣の国へ向かわせました。
王さまは「これでゆっくりとスマホができる」と言いながら、一人で部屋にこもってスマホを始めてしまいました。
その頃、隣の国では盛大な晩餐会が始まり、大臣は銀の皿に盛り付けられた美味しい料理に舌鼓を打っています。
大臣は王さまに言われた通り、料理を1つずつ写真に撮ってスマホで王さまに送りました。
これをみた王さまは羨ましくて我慢できなくなり、コックに同じものを作るように命令しました。
コックたちはこんなに豪華な食材は見たことがなく、どうやって作ったら良いのか困り果てていました。
王さまは夕飯が待ち遠しくて仕方がありません。待っている間にコックたちにスマホで連絡しながら状況を伺っています。
しばらく待っていると、何とも言えぬ良い匂いが漂ってきて、写真で見たような美味しそうな料理が部屋の中を満たしました。
「おっー、これは見事じゃ」
王さまは大喜びで平らげ、コックたちにスマホで伝えました。
コックたちは、ドキドキしていましたが王さまが満足したようで胸を撫で下ろしました。
どうやらスマホで注文して配達された料理で上手くごまかせたようです。
それからというもの、王さまはくる日も来る日も、配達された料理を美味しそうに食べていました。
王さまはコックたちの料理をスマホで自慢したくなり、隣の国、その隣の国...へご自慢の料理のことを広めて行きました。
そして、噂を聞いた周囲の国々の王さまたちをお城に招いて、晩餐会をすることになりました。
──
晩餐会当日、各国の王さまたちがテーブルを囲み、そこにキラキラとした銀の皿が並べられています。
しかし、料理はいつまで待っても出てきません。
なんと、今日は配達が休みだったようでコックたちは大慌てです。それを知った王さまはプンプンになり、真っ赤な顔でコックたちに「すぐに何とかしなさい」と怒って言いました。
コックたちは力を合わせ、急いで今ある食材を使って、精一杯の料理を作って行きました。
キラキラの銀の皿には寂しい彩りの少しばかりの料理が並べられて行きました。それを見た王さまは、周りの王さまたちから何か言われないかと不安でなりませんでした。
「...デリシャス、こんなに美味しい料理は初めてだ」
口を揃えて各国の王さまたちから、丹精こめて作った料理に称賛の声が上がりました。是非王さまとコックたちにお礼を言いたいということで、コックたち一人ひとりにも感謝を伝えていきました。王さまもコックたちも大喜びの晩餐会となりました。
──あとがき
王さまは、スマホだけから物事を見ていたため、コックたちの頑張りや料理の大変さを見失っていました。一方でコックたちも、王さまが知らないことをいいことに、料理の手を抜いてしまいました。スマホだけでの言葉のキャッチボールが、双方のコミュニケーションロスを生み信頼関係を損ねてしまうという教訓になったようです。
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