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今日の地球は2度暑い
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「ハル、ちょっと今日暑くない?」
「うん、私なんかTシャツ汗だく…」
──気持ち太陽が少しだけ近づいた気がした。
昨日から降り続いた雨が嘘のように上がり、空に無数の晴れ間が広がった。
「学校の帰りにゲーセン行かない?」
私は、今日も学校帰りにハルを誘った。どうやら高校に入学してからの2人の日課になっているようだ。
2人はタッチパネルで北緯36度、東経140度にセットし「シブヤ」へ向かった。
10分ほどすると、見渡す限り平らな水面に50cmほど顔を出したシルバーで円形の波止場が見えてきた。
2人とも高校入学の時に、両親から通学用として買ってもらった、お揃いの水上ドローンでいつものように飛ばしてきた。最新のC14同位体バッテリーのお陰で連続航行時間は8万時間は行けるはずだ。
ハルはいつも、シルバーの円形の周りをモード2でノーズインサークル飛行するのが上手くて、円を描くように着地するのがお気に入りだ。
到着すると、ハルはじっと水中を覗きこむ。波止場の壁に赤色で3文字の大きな数字が見えるが、今日も水が濁ってて読み取ることが出来ない。ハルはこの文字にずっと興味を持っているようだ。
私たちはこの丸くてずっと前からある旧い場所を「マルキュー」と呼んでいる。
仲良く2台のドローンをマルキュー前に止めて、2人はゲーセンへ向かった。ドローンはいつも塩水に浸けないようにホバリングしたまま浮かばせておく。
──50年前に地球の陸地は全て海に沈んだ。
幸い、まだ南極の氷は、水面から僅かに顔を覗かせている。2人は1年後にマルキューが沈むことをまだ知らない。
「ハル、おばあちゃんは若い頃、マルキューの中に入ったことがあるんだよ」
「うっそー、あり得ないー」
2人は、今日もキンキンにエアコンの効いた空間で、仲良くおしゃべりをしながら、最新のオンラインシミュレーションゲームの「ヒートアイランド2」を楽しんでいる。
「うん、私なんかTシャツ汗だく…」
──気持ち太陽が少しだけ近づいた気がした。
昨日から降り続いた雨が嘘のように上がり、空に無数の晴れ間が広がった。
「学校の帰りにゲーセン行かない?」
私は、今日も学校帰りにハルを誘った。どうやら高校に入学してからの2人の日課になっているようだ。
2人はタッチパネルで北緯36度、東経140度にセットし「シブヤ」へ向かった。
10分ほどすると、見渡す限り平らな水面に50cmほど顔を出したシルバーで円形の波止場が見えてきた。
2人とも高校入学の時に、両親から通学用として買ってもらった、お揃いの水上ドローンでいつものように飛ばしてきた。最新のC14同位体バッテリーのお陰で連続航行時間は8万時間は行けるはずだ。
ハルはいつも、シルバーの円形の周りをモード2でノーズインサークル飛行するのが上手くて、円を描くように着地するのがお気に入りだ。
到着すると、ハルはじっと水中を覗きこむ。波止場の壁に赤色で3文字の大きな数字が見えるが、今日も水が濁ってて読み取ることが出来ない。ハルはこの文字にずっと興味を持っているようだ。
私たちはこの丸くてずっと前からある旧い場所を「マルキュー」と呼んでいる。
仲良く2台のドローンをマルキュー前に止めて、2人はゲーセンへ向かった。ドローンはいつも塩水に浸けないようにホバリングしたまま浮かばせておく。
──50年前に地球の陸地は全て海に沈んだ。
幸い、まだ南極の氷は、水面から僅かに顔を覗かせている。2人は1年後にマルキューが沈むことをまだ知らない。
「ハル、おばあちゃんは若い頃、マルキューの中に入ったことがあるんだよ」
「うっそー、あり得ないー」
2人は、今日もキンキンにエアコンの効いた空間で、仲良くおしゃべりをしながら、最新のオンラインシミュレーションゲームの「ヒートアイランド2」を楽しんでいる。
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